「カジュアル・エンコード」とは
「エンコード」という言葉を目的別に分けてみま
す。このブログで扱うのは下表の「カジュアル・エンコード」
です。
毎回「TVキャプチャとDVDバックアップにおいては」な
どと書くのが煩瑣なので、仮に分類してみました。
区分 |
用途 |
解像度 |
モ
バイル・エンコード |
iPod・
PSP・携帯機器向け |
最大
320x240
(7万6千1百pixel) |
カジュアル・エンコード |
TVキャプ
チャ・DVDバックアップ |
最大720x480
(34万5千6百pixel) |
ハイカジュ
アル・エンコード |
同上
rawYUVやhuffyuvなどの中間生成物を使う |
同上 |
ハ
イデフ・エンコード |
ハイビジョ
ン・次世代DVD解像度 |
1280x720
(92万1千6百pixel)
1920x1080
(207万3千6百pixel) |
今更言うまでもありませんが
「Macは映像に強い」というイメージはカジュアル・エンコー
ドに
は当てはまりません。最弱です。AVIを土台とする多彩なツール、フィルタ、無数のコ
デックがひしめき合うWindowsが最強です。正確には「らしい」です。持ってないんで^^;。無数のコデックという事ならlibavcodecを擁す
るlinuxこそ本家本元で
す。何万円もするような高いソフトはここでは関係ありません。カジュアル・エンコードでそこまでする事もないでしょう。
この領域において、Mac OSXは最弱です。留保はありません。
Mac OSX最弱の理由
コデックとビデオフィルタがボ
ロボロです。
Apple-H.264の画質に不満はありませんが、
遅すぎます。速度調整の余地もほぼありません。
そこそこの画質とそこそこの速度という「カジュアル・エンコード向けの妥協点」に調整する事ができないと言う意味です。これは基本的に「G4でもiTMS
で買ったものを楽しめるデコーダ」以上のものではありません。エンコにおいては単
に遅いだけです。
ビデオフィルタにおいても、QuickTime上には安定して使える、
優秀なインタレ解除、デ
ノイズフィルタが見当たりません。
.movコンテナは優れています。
なにしろ.mp4の母体です。近代的なコ
ンテナの取り扱いにかけてはvfw/AVIの及ぶところではありません。これに絡む長所として編集があります。しかし、それが意味を持つのはMPEG-1
までです(理由前述)。時間軸圧縮に関してはAppleの技術力は
MsMPEG-4以前のレベルなのではないかと思います。
現在、標準添付の編集アプリではHDも含めた動画編集が可能~しかも非常にラクチン~ではありますが、それはあくまで「Appleの提供するアプリ」で
「Appleの想定する使い方(入出力形式を含む)」をする場合です。そこから一
歩でも踏み出そうとするなら、つまり「カジュアル・エンコード」を楽しむには様々なコスト(手間・お金・習得)が待っています。
Appleが消費者市場で目指すのは
家電とコンテンツ流通の制圧です。そこに「カジュアル・エンコード」があっ
ては
困るのでしょう。OSやQuickTimeアップデートの度に、なにかしらQuickTime上で動くサードパーティ製アプリに不具合が出るのを見てると
そう思います。
土台はスバラシイ。しかし
それを活かした建物を建てられるのはAppleだけ。ビジネス文書におけるWindowsとOfficeに似たものがあります。よりゆっくり、洗練された
形ではありますが本質的にやってる事は一緒です。BootCampはMac
OSX全体をよりクローズドなものにしてゆくというネタ振りだと思ってます。
企業ですからそれもアリですが、すこし面白くありません。
Mac OSXに於ける、QuickTimeに依存しないカジュアル・エンコード/視聴環境を捜索し、案出し、紹介する。
だから、これがこのブログの第一目標です。
正直、実現の可能性は低いです。しかし、ゼロでもありません。5年前に誰がFirefoxの現在を予想できたでしょう。
「エンコなんて土方仕事はwinに」「時間を金で買う」「Macだけいつも差別される」「Appleさんなんとかしてよ!」
違う。そのスタンスが現状を生んだ。Cが読めなきゃ別の手を考えれば良いだけの事。ネダルナ、カチトレ。
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たとえカジュアルエンコードの範囲であったとしても、です。
とはいいつつ私はMacを持っていないので、Macユーザーの方の抱える事情っていうものは把握できませんけど…
結局のところフィルタやCodecがひしめき合っていても、扱うものは非常に限定されてきますので、あんまり意味はないと思います。
実際のところWindowsでも多く扱われているフォーマットはx264、DivX、XviD、WMV9ぐらいですし。(もちろん他にもありますけど)
Windowsがデフォルトで扱えるWindows Media Formatはバージョンが上がる度に仕様が変わって古いバージョンで作成した動画が読めないこともありますので、マイナー中のマイナー規格と言っても良いかも知れません。
というわけでISO規格の母体になっているQuickTimeフォーマットをデフォルトで扱うことのできるMacが私は最強だと勝手に思い込んでいます。
『世界標準の母体』という言葉が付いてるだけで品格が違う気がしますし。
ですが、libavcodecを引っ提げているLinuxのほうが処理効率などもいいため、環境さえそろえることができるなら、実際のところはLinuxが一番ポテンシャルが高いのかな~とも思います。
CPUの使い方、メモリの管理、すべてがWindowsよりも高いレベルにありますし、開発者が多く存在しますからね。
OSを開発する能力があればそれ自体を専用OSにしてしまうことも可能なんじゃないでしょうかね。
長文失礼しました。