2006年の秋口に終わったアニメの中ではゼーガペインの評判がよさそう。自分も結構好き。
アニメは一応こんだけ録画してる(た)。
- NHK
- エア・ギア
- ガイキング
- ケロロ軍曹
- シムーン
- ゼーガペイン
- ドットハックルーツ
- まんが日本昔ばなし
- 無敵看板娘
- 僕らがいた
- コヨーテ・ラグタイムショー
2ndモニタで一応再生はするんだけど、目線はだいたい他にある。横目であー奇麗だなとか、可愛いなとか、うお、このカットそう繋ぎますかとか、断片的な印象ばかりでお話はまるで把握してない。そんな見方で印象に残るゼーガペインも面白そうなのだが、ここでは『無敵看板娘』の事を。実はこれだけは毎回ちゃんと"見た"。
ギャグアニメなんで、たぶんネタバレもへったくれもありゃしないと思います。
■エンコードログ:2006/07/20-09/24, 2pass, 640x480, 1024kbps タイトル | I枚数 | I比率 | Avg QP (P) |
VGAアニメ平均値 (無敵看板娘を除く33件) | 401 | 0.92% | 20.10 |
『無敵看板娘』平均 (02-12話) | 439 | 0.98% | 22.16 |
※大体一週間ぶん溜まったらMEncoderとx264をビルドしてエンコ。その際設定も弄る事があるが、変更は番組ごとではなく一回のエンコ単位(参考)。全て同一な条件は録画機材だけ。
AvgQP(P)はPフレームの量子化値(全P平均)。低いほど画像の"省略"が少ない。深入りを避けるために肚の中では「画質劣化度」と読み替えている。自分の視覚では20あれば充分。毎週ひとつだけ妙に高い印象があったが、やはり『無敵看板娘』は平均的に画質劣化度が高い。そうしないと1024kbpsに収まらないと言う事。
AvgQP(P)が高いのは、動きが多い、もしくは(and / or)、ディテイルが細かい事を意味する。
ディテイルは別にCGバリバリでも背景美術が凝ってるわけでも無く、
まぁこんな感じで平々凡々。Avg QP(P)は
ノイズ次第でぐっと上がるが、天気かなにかで日ごとに違うので平均すれば影響は減るし、他の番組も録画条件はおんなじ。
『無敵看板娘』は動きが多いという事になる。毎週コンスタントに。
どうもカギはカメラワークらしい。
例えば、パンチ食らった側のふらつき感を強調するためにカメラをパンさせてる、ように思える場面があった。よろめきにあわせて、しかし人物の移動速度とは少し違う速度でパン、人物は単に移動するだけでなく、肩や手もふらふらさせている。その手が机の上のナニカに当たって床に落ちてがっしゃーん、、、みたいな。たぶんモーションベクトルがスゲェ事になってる。ものっすごい地味なテマヒマ。動きの面白さは確かにあるが、それがbitを喰うなんて数字で出なきゃ絶対に気付かなかった自信がある。
ところで、一時期、Xvidで2048kbps,2passを常用していた頃。
これは大概のアニメには過大だったらしく、大きくても1500程度に収まるのが普通で、1800ともなればうわなにこれ"見"なきゃって感じだった(※1)。その中で『無人惑星サヴァイヴ』は唯一、毎週2048kbpsみっちりになる不可解な存在だった。これも一見なんてことのないアニメだが、やはりカメラのパンやズーム、ピントを使った演出などを地味に多用してるようだった。『無敵看板娘』のように毎回ハッキリしたアクションがあるわけでは無いだけに、さらに地味感が強い。
そこでふと気付く。自分が気付かない/地味に感じるのは実写でこうゆうカメラワークを見慣れているからではないか?
制作側を想像するに、こういう手は、実写の経験なりセルをコマ撮りした時代なり、つまりいわゆる"カメラマン"のノウハウが無いと思いつかないのではないか?
アニメがエンコしやすいというのは、制作工程のデジタル化で作り手がそのへんのノウハウを思いつかなくなった、という事情もあるのではないか?
CADの弊害を克服するために、若手エンジニアに製図台で図面を書く練習をさせてる会社ってのがどっかにあったのを思い出した。モニタだけで作業してるとナニカが見えなくなるらしい。アニメ屋でも、ましてエンジニアでもないんでよくわかんないけど。
そしてこの二つ、作った会社がおんなじくさい。作品歴には『ルパン三世カリオストロの城』、『死の翼アルバトロス』、『名探偵ホームズ』、、、動きの面白さで客を圧倒した、いにしえのど根性モノが並んでいた。むむむ、どれも一度はエンコしてログを拝んでみたいものだ(※2)。
アニメはエンコしやすいと言います。実際そういう番組が多いのも、それが役立つノウハウなのも事実ですが、自分としてはそれを書く時には常にタメライがあります。ナニカに対して失礼な気がして。
そんなわけで、自分的にはこの番組、x264移行後最初の難物素材(候補)にしたいと思います。AvgQP(P)が2違ったところで主観的な画質や実用上の問題があるとは思いませんが、ビットレートを削ったり、解像度を上げたり、特に速度目的でモーションベクトル関連オプションを削る場合は要注意な可能性があります。
※1)QPの下限=2で揃ってもその数字と言う事。つまり、Xvidでは過剰ビットレートでの2passは実質的に固定QPと変わらず時間の無駄。他にサイズの不揃いが厭でビットレートを落とした。H.264/AVCの下限=0=(量子化プロセスを切るという意味での)ロスレスで、QP値の変動ももっと小刻み。x264ではこのロスレスも可。
※2)他にディズニーの『シリーシンフォニー』、『ファンタジア』『白雪姫』など。
■アニメそのものの感想
最初は「そんなにノイズ酷かったっけ?」と思って"見た"んだけど。
タメが良い。タイミングが巧い。カメラワークが憎い。ノリが良い。たたた楽しい。単に枚数が多いだけじゃない。目がおいしいとゆっている。
ヒマと容量が許せばApple-intermediateで吐いてジョグシャトルでくるくるして見たい。
動きで目を楽しませるてんですか。原作にもキャラにも物語にも声優人気にも頼らねぇ芸。
棒ひとつ振り回すにも、ここは反動ついてるとおもしろいんぢゃないか?と思ってコマ送りすると、そういう絵が一こまきちんと描いてある。
たぶん一瞬網膜に叩き込まれる事を狙って。
人が描いた絵が動く。それがアニメだろ?アニメータなら、一挙一動に意味を込める。べきだ。
たぶん、そーゆーココロイキが真ん中に居る。
などと思った。
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x264 Rev.570~572にかけてかなり修正が加えられているので、一応ご報告しておきます。
前にビルドがコケるとか書かれていた覚えがあるので、改善されていると良いのですが…