自分はメモを取りながら、私 的録音録画小委員会中間整理の概要(PDF)を読み進めるうちに「概 要P9」を読んでる時にイキナリ補償金の拡大に大きく傾きました。人として軸が(略
理由は同記事の所感欄に書きましたが、骨子は:
加えてだめ押しとなったのは:
です。タイムシフト・プレイスシフトは認められるべきだ、という部分は納得の行く話なのですが、筆頭に掲げられた「著 作権保護技術」の前にとんでもない大穴が開いています。結論部分に消費者の利益に適うものを掲げつつ、この筋立てのボロさは「著作 権」の重要性やその保護に対して真摯に向き合ったとは認め難いものがあります。この人たちと同じ結論は将来に禍根を残すと考えました。なにより家電メー カーの団体でありながらARIBのやった事(B-CASカード)を眼中に置かぬ論立ては、恥です。
私的録音録画補償金については徹底的な拡大に賛成の方向で書く事に決めました。
PC、ケータイなどの汎用機器は言うに及ばず、私録小委が"私
的録音録画問題の本質を根本から見直す必要が生じ
る"などとして採っていない「録音源・録画源の提供という行為」、すなわち光学ディスク販売、レンタル、放送事業、などにも負担を求
めてゆくべきと考えます。
各業界の抵抗は大きく、金額交渉も至難を極め、理論武装(そもそも論)もアクロバティックにならざるを得ませんが、補償金制度に完全 は有り得ません。補償金制度を採る限り不可避の不公平感は、徴収機会が拡大するぶん、個々の徴収金額を低く抑えることで減殺する事が可能と考えます。
テキスト等についても補償金を求めてゆくとする声があるそうですが、それならデジカメ、コピー、プリンタ、ファクシミリ、そしてコ ピー源を提供している新聞社に雑誌社に出版社に印刷業に本屋さんも含めるべきです。もちろんISPやブログサービスも忘れちゃいけません。違法コピーの蔓 延は技術普及の結果であると同時に源著作物の普及の結果でもありますから、補償金はステークホルダー(利害関係者)になり得る全ての「原著作者以外の人」 がちょっとずつ負担すべきです。
その帰結として「著作権保護技術」がある場合は制度の在り方や補償金額に手心を加えるべしとの立場も取りません。DRMはいつか必ず 破られるものですし、DRM抜きの販売も出て来ています。それらをどーすんだって事で毎回手間がかかりますし、JEITAのようなオタメゴカシを主張する 者に割く時間も惜しいです。「万 人が著作物の複製・改変をし、発信をする時代に所有権を範とする著作権」を維持する場合、私的録音録画補償金はあまねく全ての人が負 担すべきでしょう。私的録音録画補償金は一律一定例外無し。人語をしゃべるオウムと謂えども例外なしッ!!(いやそれデジタルちゃうし)。
もちろん、究極の理想は「権
利者は提供された著作物等がどのような範囲で録音録画されるかを承知の上で提供しているので、補償の必要性はない」、「関
係者は権利者と著作物等の提供者との契約によって解決すべき」です。
しかし残念ながら、テレビ放送網というサクヒン流通回路(および、それを広告資金のカタチで支える製造業)が圧
倒的な優位にある日本の現状にはそぐわぬものがあります。
弱者と強者の間では自由は圧迫の源であり、それを解放するのは法である(ジャンジャック・ルソー)
私は自分が何も知らない事を知っている(ソクラテス)
Doom9 Forumにおけるbond師の常用シグネチャ(MPEG -4の基礎1 - MPEG-4とは? ほか)
もしも「法」がその為にあるものならば、日本の著作権法はこの現状を正す為に使うべきです。
中間整理にある方向で違法サイトからのダウンロードを私的使用のための複製(第30条)から外す 事は不適当と考えます。
「ファイル交換ソフトの利用や、携帯電話向け音楽の違法サイトからのダウンロード(ストリーミング配信は対象外)が、正規商品等の流 通や適法ネット配信等を阻害。」している事はおそらく事実と考えますが、
1:罰則が無ければ「確信犯」に対する抑止力となりません。罰金抜きで歩き煙草が減るものでは無い、という考えに拠ります。
2:単に「違法であること」を以て違法サイトからのダウンロードを抑止する場合「他人から借りた音楽CDからの私的録音」も同様に違法化すべきです。
「他人から借りた音楽CDからの私的録音はOKなのになぜネットで落ちてるのはダメなの?なにが違うの?」という疑問に対する解答が「違法状態が放置され
るだけ」という意見は「みんなでやれば怖く無い」を認める事です。今後、子供達に著作権の問題を教えてゆく機会は増加すると思われますが、この「違法サイ
トなどからのダウンロードは×」と「他人から借りた音楽CDは◯」という不整合は国民の道徳・倫理・遵法精神を堕落させると考えます。
こうした矛盾は、公衆送信可能化権に基づく違法配信者の摘発強化、事業者のサービスとニーズの擦り合わせ、また現行著作権に基づく宣伝などの企業
努力で対処すべきものであり、著作権法に矛盾のある改訂を加えるほどの必要があるとは考えません。
法律は単なる現状追認ではなく、可能な限りシンプルな原則であるべきです。