良いインタレ解除やデノイズフィルタが無い。
- 自分の感性ではインタレ解除の良否が画質を決めます。QuickTimeに留まる限り、AviSynthやAviUtilとの
差は
詰められません。定評あるJES
Deinterlacerは残念ながら手許では安定せず、MPEGStreamclipやDivaのインタレ解除はMEncoderに劣ります。
インフラとしての信頼性。
- 10.3.x時代の話ですが、ソフトウェア・アップデートの都度、なにかしらのQuickTimeアプリで問題が起きました。
毎週素材が溜まるTVキャプチャでは「年間トータル・ダウン・タイム」と
言う単語すら意識しました。アップデートは慎重にすべきなのは基本としても、頼りにしていたアプリやQuickTimeコンポーネントがひっかかればそこ
で"待ち"が出ます。作者さんの対応が間に合わなければワークフローのリストラ。それが固まると次のアップデート。これには付いて行けませんでした。
- なお、MPEG-2素材固有の問題として、有償のMPEG-2再生コンポーネント+QuickTime
Playerは4GB以上のMPEG-2ファイルを最後まで再生できません。このバグは2003年秋には発見されていますが、2006年秋現在もそのままです。無
償で回避するにはMPEGStreamclip。
- 自分は2004/12月頃にターミナルでMEncoderを使う事を覚えましたが、以降、こうした問題はほぼ根絶できていま
す。Jaguar to
TigerのOSバージョンアップ(2005/05月、QuickTime
7)の際にはQuickTimeアプリに軒並み影響が出ましたが(*1)、手許での面倒は皆無でした。2006/秋現在、QuickTimeインフラで
使っているのは録画を除けばMPEGStreamclipでのCMカットのみ。視聴もVLCです。
- (*1)唯一無傷だったのは"なんぴとたりともオレの
前には行かせねぇ"3ivx+Divaだったと思います。オープンソース系でもffmpegXが同年9月頃までインストールできない状態でしたが、これは
AppleがBSDサービスに関わる
ディレクトリの書き込み権限を変更したため。セキュリティ上、Appleが正しいでしょう。D-Vision 3は無傷で動きました。
Appleコンピュータの独占志向。
- かつてMPEG-4のデコード権を巡ってApple MPEG-4, "神速の"3ivx,
Divxの「乗っ取り合戦」がありました。QuickTimeにはユーザーが適用コデックの優先順位を指定する仕組みがありません。むしろ、そういう面倒
は全部ま
かせろ!な会社です。もちろんそれは非常に便利なのですが、もっと良いコデックが出て来た場合に困る事になります。今後、FFdshowの
QuickTimeコンポーネントや、3ivx社のAVCコデックが出たと
しても、数ヶ月単位で
/System/Library/QuickTime/QuickTimeMPEG4.componentや
/System/Library/QuickTime/QuickTimeH264.component/が乗っ取り返す事が想定されます。今度は
iTMSの看板とDRMが絡みますから、少なくともデコードに限っては、コデック選択の自由は様々な制限を受けるでしょう。
- なお、拡張子.m4vはISO/IEC国際標準規格には存在しません。し
かし、Win/linux界では .mp4v, .cmp, .divx, .xvid, .264と並ぶraw mpeg-4 video
streamの拡張子として定着し、尊重されてきたものです。その中にfps指定値や音声が入っている事は、Apple以外の.mp4作成ツールにとっては当然、想定の範囲外です。コ
マンドラインでは指定された拡張子を頼りに出力フォーマットを決める方式もありますから、そうしたものは正当な理
由無く改変を余儀なくされた事になります。
- Appleが様々な国際標準規格をいち早く取り入れ、その普及に努めて来た功績
は少なくありませんが、他プラットフォームにおける貴重な努力を毀損するまでの資格はありません。Appleコンピュータは、自
社独自の拡張子の決定に当たってしかるべき敬意を払うべきだったと思います。
- iPod
に関心がない事、iTMSで買い物をしない事から普段は気に留めていませんが、Appleのやる事=国際標準規格と誤解した無遠慮なiPod厨の言動を
オープンソースコミュニティが迷惑に思っている事は言うまでもありません。
もちろん、オープンソースにもバグや問題は存在します。しかし、元々オープンソースのフリーウェアは
「末
路哀れは覚悟の前」で
す。
その上で、需要有るところ必ずパッチの書き手が現れます。解決できずに投げ出す場合も「コレ
コレの事情で今は無理!」と明示されるのはそう悪くは無いです。それを見た誰かが手を出す事を期待できますし、それが納得出来なければQuickTime
インフラに戻っても良いわけです(まぁlinux界の人は背水の陣なわけですが)。
実感としては、QuickTimeインフラ下でエンコードするよりも安定しており、進化も早いと感じます。
◆◇◆
今後、インフラとしてのQuickTimeが充実していく見込みは薄いと思っています。Appleの利益にならないから。
既に動画インフラとしてのQuickTimeの普及は見込めません。Appleとしては、アプリケーションの登場を促すためにドキュメントやAPIを整
備したり、"爆速無双"3ivxを買収するよりは、iTMS/iTunes/iPod専用の
流通インフラと
して使うほう
がお金になります。ですからQuickTimeテクノロジーは「閉じた」「そう簡単には弄れない」「Appleの想定する使い方から出ないぶんには便利
な」形で活かして行くのが得策です。
「iTMSで買ったものは、大画面iMac、iPod、TVに繋いだMac
mini、お好きなところでご覧になれます。」
そこに「動画エンコード/デコード/フォーマットの自由」があっては消費者が混乱する、と考えている事でしょう。
"iアプリ"では書き出せるのにプロキーが有償なのは一見不整合に見
えますが、"iアプリ"で書き出せるのは「Appleが想定する使い方」を外れないものに限られます(*2)。
スティーブ・ジョブ
ス氏の率いる組織に戦略の不徹底はありません。
Mac OSXに「動画エンコード/デコード/フォーマットの自由」があってはイケナイ。という考えと見ています。
QuickTimeの改善はAppleにしかできませんしし、プログラミング情報をどの程度公開するかもしないかも、「ソフトウェア・アップデート」を
い
つ、どのように行うかもAppleが自由に決める事です。それら全てが人々をiTMSでの購入に向かわせる材料となります。
もちろん今はまだそこまで閉じたものではありません。しかし、だから将来もそうだという事もないでしょう。intel移行とOS9破棄を事前に予想して
いた人は多くは無いはずです。
QuickTimeには優れた点が沢山ありますが、その上にエンコード・ワークフローを築いたり、そこで経験値を積み上げるのはリスキーだと思います。
Mac
OSXにはもう一つの動画インフラがあるべきです。
どっちが良いとか正しいとかではなく、両方あるべき。んでもって刺激すべき。それでこそQuickTime Player
Proの改善も望めるというものです。
- (*2) 「Macはこのソフトを、こうやって使えば、こうゆう事ができます。するとほぉら、こんな素敵なライフスタイル。いい
でしょ?奥さん」。
- 仮に、ユーザー・エクスペリエンス・ドリブン・ビジネスと名付ける。
- 価値の源泉・コアコンピタンスは「ジョブス氏のプレゼン」そのもの。あとは、店の雰囲気、持ち帰る時の誇らしさ、箱をあけた時の
高揚感、使ったときの楽しさ、単にデザインだけでなく製品そのものも、
『演出の一環』。その一連の体験が真の商品。というのはどうか。
- ところで。文具は手っ取り早く無印良品で揃えるオイラですが、消しゴムだけはコクヨです。カドケシが好きで。
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