06年09月:次世代光ディスクの画質を上げるPHLエンコーダーとは? :本田雅一氏,ITmediaHigh Profile番長御総謹製のエンコーダを、素材ごとに設定をチューンするようなプロが、駆使する世界。
高橋氏は「ひとつはパラメータの選び方、もうひとつ は量子化マトリックスの作り方や映像全体に対するビット配分で すね。特にビット配分に関しては、 DVD時代に高画質圧縮を行うための研究開発を相当やり、実際に映画会社と一緒に高画質化を行ってきましたから、そこでの経験があります」と話す。
高橋氏のいう“パラメータの選び方”は、H.264世代になって大きく画質に影響する ようになった部分だろう。MPEG系の圧縮ではフレーム間の 近似する映像パターンを見つけてコピーする動き予測という手法が用いられるが、H.264では予測のパターンが大幅に増加している。また同一フレーム内で の動き予測という新しい要素も加わった。
さらに動き予測のマクロブロックに柔軟性が増し(4x4、8x8、4x8などさまざまな形状を選べ る)、 エンコーダー側で判別しなければならない 動き予測のバリエーションが想像を絶するほどに増えているのだ(これがH.264の圧縮負荷が高い原因になっている)。
この開発プロセスはx264でも存在する。素材はほとんどDVDだし機材はご家庭のパソコンだし、バラツキも大きいが、アタマ数は充分だ。その領域に 限っては、“最適なパラメータを選ぶ”エンコーダーに 最も近いと言える。“最適なパラメータを選ぶ”エンコーダーを開発すればい いと文字で書くのは簡単だが、 実際のプログラミングは相当に難しいだろう。しかし、だから こそ他エンコーダーに先んじて高画質化を果たせたと高橋氏は話す。
「われわれは研究開発の部隊で、本来はオーサリング事業を行う部署ではありません。しかし、現在はBD事業を立ち上げるために オーサリングや出荷 するディスクの画質面での品質評価を支援しています。おそらくこうした組織は、世界中どこを探してもないでしょう。品質評価をコーデックを開発と圧縮作業 の監修を行った人間が直接行うのですから」
「たとえば過去にはこんなことがありました。DVDの圧縮作業で、どうしても歪みが目立つところがあり、パラメータ変更では取り 切れない。そこに 柏木が来て“あぁ、これはエンコーダーのバグだなぁ”と話し、エンコーダーのソースコードを修正してしまいまし た。品質評価で納得がいかない時、それをエ ンコーダーのレベルにまで振り返って修正することで進化させる。このプロセスがPHLエンコーダーの画質を高めたのだと思います」
つまり、エンコーダーのバグなのか、それとも圧縮規格そのもののクセや限界なのか、それともビットレートが不足しているのか、逆 にビットが余って 無駄になっていないか。その切り分けが正確に行えることこそが、PHLエンコーダーのアドバンテージというわけだ。
筆者自身、PHLでの品質評価のプロセスを知って驚く、、、というよりも、呆れたことがある。気違いです。気違いが居ます!12ftは約3.7m。自分の部屋の天高は2.3mだった(測るなよ)。16:9なら横は6.5m程になる、、、いや測っ てませんよ?^^;縦12フィートの巨大スクリーンで評価を行っているというのは、以前に紹介したことがあるが、最近 はそれでも歪みやノイズを探すこと が困難にな り、コントラストを強調し、歪みやノイズをディスプレイ側で浮き立たせてチェックを行い、そのノイズを消すように配慮しながら圧縮作業を行っている。
明らかにオーバークオリティといえる品質評価は、PHLが事業体ではなく研究開発を目的にした組織だからこそだが、その結果とし ての 映像は素晴らしいの一言に尽きる。
期待したい。期待したい。期待したい(エコー)。エンコーダーは使いこなしと品質評価のプロセスが肝要で、エンコー ダーが同じならば同じ品質になるわけではないが、PHLエンコーダーが広がり、これこそが次世代といえる画質のソフトが登場することに期待したい。