【原文リンク】日本国首相官邸、知的財産推進計画2007の策定にある『団体からの意見』
第4章 コンテンツをいかした文化創造国家づくり
I.世界トップクラスのコンテンツ大国を実現する
3. ビジネス大国を実現する
(3)著作権に係る課題を解決する
◯4私的使用複製について結論を得る
私的録音・録画について抜本的に見直すとともに、補償金制度については廃止や骨組 みの見直し、他の措置の導入も含め抜本的な検討を行い、2007年度中に 一定の具体的結論を得る。その際、技術的保護手段の進展やコンテンツ流通の変化等を勘案するとともに、国際条約や国際的な動向との関連やユーザーの視点に 留意する。また、技術的保護手段との関係等を踏まえた「私的複製の範囲の明確化」、使用料と複製対価との関係整理等、著作権契約の在り方の見直し、オンラ イン配信への移行を踏まえた音楽関連産業の在り方等についての検討を進め、2006年度中に結論を得る。
(文部科学省、経済産業省)
※文部科学省、経済産業省そ
れぞれの相当箇所を色塗り。
したけど黄色しかねぇや。
P102 (4)私的使用複製について結論を得るに関する意見
[結論]
科学的且つ客観的証拠に基づかない理由に依る私的録音録画補償金制度は即時撤廃すべきである。
理
由1
そもそも、著作物の私的複製により著作権者団体は常日 頃、文化庁審議会の 場等で私的複製により権利侵害を被っている旨を主張しているが、その論には科学的且つ客観的証拠は存在していない。同一家庭内に置いて、その一家族構成員 が購入した著作物と全く同一の著作物を更に2枚3枚と購入する事は非現実的事象である。当然の事ながら著作物を販売している音楽レーベルは事前に承知して いると考えるのが自然であり弁証法的観点からも帰納的である。即ち、黙示の承認があるのだから私的複製にから更に料金の徴収を図るのは二重課金にあたり著 作権者の要求は不合理である。米国ではFirst Sale Doctrineの名の下、著作物は販売した時点で「売り切り」であるとの考えが定着し且つ国際標準となっている。
理 由2
そもそも、仮に私的複製により権利侵害を被ったと主張するなら、その全ての原因は複製防止技術を備えていない著作物パッケージを製造販売しているレーベル に有る。自ら製造販売している製品の不備をハードウェア会社に対して責任転嫁するのは無責任且つ自己中心的な姿勢である。よって、もし私的複製に依り権利 侵害が行われているとの主張を継続するなら即時に複製防止措置の付いた著作物パッケージを製造販売すべきである。
理 由3
2005 年度に開催された私的録音録 画補償金制度議論を行った 文化庁審議会法制問題小委員会並びに2006年度から開始した同庁私的録音録画小委員会に て両小委員である、土肥一史氏 一橋大学教授、松田政行氏 青山学院大学教授/ 弁護士が頻繁に補償金制度存続の論理的根拠とする「国際基準」なるもので、WIPO、ベルヌ条約の基準が取り上げられるが、両名氏は事実誤認を繰り返して いる。そもそも、WIPOに加盟している184ヶ国の内、補償金制度を携帯機器に対して導入しているのは僅か11ヶ国つまり、6%に過ぎない。更に、ベル ヌ条約批准163ヶ国の内、僅か7カ国つまり4.3%しかiPod等の携帯機器に課金していない。依ってもし「国際基準」に日本が合致するのなら約95% の国がとっている「補償金制度廃止」が「国際基準」である。法律家である両名氏が意図的に著作権者団体の意向にそった事実無根の詭弁を弄するのは真摯な著 作権行政を審議すべき同場所で不適切であり、国家国民を愚弄する存在であると言わざるを得ない。上記の事実を事前に承知しながら両名氏を同委員会委員に意 図的に任命した文化 庁著作権課の責任は重大でありその結果責任を取るべきである。就中その中心的存在であった吉川晃前著作権課長、 甲野正道現著作権課 長の責任忌避は免れないと考える。
理由4
IFPI (国際レコード産業連盟)の2007年度Digital Music Reportに記載されて居る様に、iPod ユーザーは一般ネットユーザーの3倍有料コンテンツサイトから毎月コンテンツを購入している。また、同レポートで有料コンテンツサイトを理由する支持理由 50%で、これが一番多い理由である。即ち合法サイトでコンテンツ購入要因となっているのが携帯型ハードウェア機器であると明言している。よってiPod 等のハードウェア機器がユーザーの違法コンテンツを流通させるP2Pサイトへの流れを防止し有料サイト、即ちiTunes Store 等へと導いていると、レコード産業連盟の総纏め役であるIFPI(国際レコード産業連盟)が報告書で断言している。よって日本レコード協会、日本芸能実演家団体協議会、日本音楽作家団体協議会、 日本民間放送連盟が主張の拠り所にしているiPod等のハードウェア機器が権利侵害の元凶であるとする意見は事実無根である所か事実は寧ろiPodこそが 有料かつ合法的なコンテンツ流通の最強の推進役となっている事実を認識すべきである。自己撞着を生じさせている日本の著作権者団体は非を認め傲慢不遜な主 張を即時停止すべきである。著作権者団体の自己中心性こそが日本のコンテンツ流通を阻害し消費者の選択肢を狭小化させ、IT業界の生産性を棄損している主 要因である。
参 考:所管公益法人一覧-文部科学省
理 由5
アップル社のiTunesを通して販売されている楽曲は累計20億に及び昨年2006年度だけでも12億曲を販売した。一日の楽曲販売数は500万曲に及
ぶ。音楽以外にも、音楽ビデオ、TV番組、映画、オーディオブック、ゲーム、ポッドキャストを販売している。アップル社は世界最大のデジタルコンテンツ流
通企業である。iTunesからの売上から世界で最も著作権料を著作権者に納付している企業である。アップル社こそが最もコンテンツ業界に貢献している企
業の一つであると自負している。今後は、著作権者、消費者、政府、機器メーカーが共に協力しコンテンツ業界の発展へと貢献出来る事を願う。
[総 括]
文化庁著作権課に 依る一方的な行政運営には理解不能である。徒に著作権者団体の意見のみを汲取り消費者、機器メーカーの立場は無視し続けている。アップル社を私的録音録画 小委員会から閉め出し、欠席裁判で物事も決める閉鎖的な体質を持つ文化庁の典型的な隠蔽体質を良く表している。平成19年3月27日、文化審議会 著作権分科会私的録音録画小委員会にても多くの小委員会委員が補償金制度の必要性の根幹の議論提示をしたにも関わらず、作為的に「私的録音録画問題に関す る検討の進め方(案)」から削除するなど鼻から「結論ありき」の審議会運営をする著作権事務局には真摯な姿勢は微塵も感じられず、もはや公平公正な著作権 行政を運営する適切な省庁とは言い難く、速やかに著作権行政を他の省庁に移管することを強く望む。
以上
「知的財産推進計画2006(頭書)」。太字は追加。削除は打ち消 し線。で、2007版になった。
第4 章 コンテンツをいかした文化創造国家づくり
I. 世界トップクラスの コンテンツ大国を実現する
3.ビジネス大国を実現する
(3)著作権に 係る課題を解決する
◯4私的使用複製について結論を得る
私的録音・録画について抜本的に見直すとと もに、補償金制度については廃止や骨組みの見直し、他の措置の導入も含め抜本的な検討を行い、2007年度中に 一定の具体的結論を得る。その際、技術的保護手段の進展やコンテンツ流通の変化等を勘案するとともに、国際条約や国際的な動向 との関連や ユーザーの視点に 留意する。また、技術的保護手段との関係等を踏まえた「私的複製の範囲の明確化」、使用料と複製対価との関係整理等、著作権契約の在り方の見直し等 についての検討を進め、オンラ イン配信への移行を踏まえた音楽関連産業の在り方等についての検討を進め、20062007年度中に結論を得る。(文部科学省、経済産業省)
「知的財産推進計画2007」相当箇所は以下の通り。
第4章 コンテンツをいかした文化創造国家づくり「お、ええんでないかい?」と思ったのは章立て。階層 構造の変化。
I.世界最先端の コンテンツ大国を実現する
1.デジタルコンテンツの流通を促進する 法制度や契約ルー ルを整備する
(1)ビジネススキームを支える著作権 制度を作る
◯6私的録音録画補償金制度の見直しについて結論を得る
私 的録音・録画について見直すとともに、補償金制度については廃止や骨組みの見直し、他の措置の導入も含め抜本的な検討を行い、2007年度中に結論を得 る。その際、技術的保護手段の進展やコンテンツ流通の変化等を勘案するとともに、国際条約や国際的な動向との関連やユーザーの視点に留意する。また、技術 的保護手段との関係等を踏まえた「私的複製の範囲の明確化」、使用料と複製対価との関係整理等、著作権契約の在り方の見直し等についての検討を進め、 2007年度中に結論を得る。(文部科学省、経済産業省)
官僚さんの作文は、全文の変更箇所を全部リストアップした上で、ステークホルダー全部の意向とカネの流れを考えて読むものなので、これだけの字面でなにが どうとは言えません(また言っても部分最適解にしかなりません)。のでだらだらと感想。
2007/06/09追記
ということは、丹念に記事を拾ってはいないオイラとしては、激しい文言や主張は眼球でスクリーニングし て、事実関係のみ「まとめ」として、 使えば便利げです。もちろんこれ一個に脳を汚染させるのはデンジャラスでせう。自分が汚染されてるかどうかの目安はおそらく、読んだ時に「おお!オレの言 いたかった事がここにある!素晴らしい!!」と感じるかどうか。およびその強度。
自分のヒフの外から来るものは全てプロパガンダ、洗脳を意図していると見なす。「客観的に"正しい"ものなんてどこにも無い」。
おそらくはWinのヒトと思しきサイトで「PDFは敵!」とか、「PDFなのでみにくいことこの上ない」といった文言を見かけることがあるのです が、もしかしてこの点はMacって便利かもしれません。
OSXではOSにPDFの取り扱いが組み込まれています。現在ではオンラインブックマークなどが充実していますが、それ以前の数年間、手許では WebスクラップはPDFで溜め込んでいました。印刷オプションにPDF書き出しがあるので。
2007年現在のSafaiではpdfリンクを踏めばブラウザの中でそのまま表示します。手許ではFirefox/Caminoしか使っていない ので、ダウンロード&勝手にOS付属の"Preview"が表示するのを待つという一拍が入りますが、数メガもあるような巨大PDFでもない限りは、起動 も動作も「遅い」と感じる事はありません。したがって、この手のコピペ記事は特に手間では無いです。
使った事はありませんが、PDFを扱うフリーウェアもそこそこあるようです。例えばSkimでは注釈などが 埋め込めますが、これも"Preview"に遜色無い速度で動作します。唯一の例外はAdobe Reader 8(もちろんMac版)。なにをしているのかは知りませんが、たかがリーダーのくせに起動がめちゃめちゃ遅く、いっぺんで使う気をなくしました。
悲しいかなPDFのテキストを他にコピペすると化ける事があるのですが(濁点だけでひと文字になったり)これはOS付属の"TextEdit"に いったんコ ピペして、そこからさらに目的のアプリにコピペすると直ります。でもコレは自分がKompoZerやNeoOfficeなどのオープンソース系ばっか使い たが るはぐれマカーだからかもしんない(だってOS9時代の書類全部アウトなんだもんトラウマになりますってクラリスワーク スlove)。
できれば、機種依存文字~ローマ数字や、◯の中に数字が入ったもの~は勘弁して欲しいところです。PDFの中ならともかく、他にコピペすっと化け る。個人サイトはこっちで脳内変換するにしても、大企業や官公庁はちょっとなぁ。
PDFはOSを問わない文書表示フォーマットの始祖鳥みたいなものですし、アドビの手を離れてISO標準規格となる見込みでもあるます。ブラウザ毎に、OS毎に、そして時間軸上でも解釈誤差の激しい HTMLやCSSは、ぶっちゃけ時間を割いて習得するのは非効率だと思う部分があります。内容に依ってはHTMLだけで提供されている情報というのは、そ れだけで信頼に欠ける部分があると見なしています。
てなヨタはともかく、知的財産推進計画を云々するにしても、著作権の非親告罪化を云々するにしても、H.264/AVC規格を云々するにしても、 元のPDFをざっとでも舐めておいたほうが、断片的な印象操作に惑わされる確率は減殺できると思うます。
つまるところ、一方に有益な情報がPDFで公開され、もう一方に「PDFなのでみにくいことこの上ない」という需要があるのなら、それは"中間情 報流通のヒト"にとっては世論操作(洗脳戦)のチャンスだと思ってみたりみなかったり。Winでも軽いPDFビューワーがあれば入れといて損は無いと思う ますですだよ。