知った場所:だめにうすさん
本記事は「P2Pとかその辺のお話」さんの記事「DRMフリーへの流れがAppleのDRMによるiPod/iTune支配を延命する? (2007年05月
18日)」を軸に当方の過去記事をマッシュアップしたフィクションです。てゆうか面白かったのでオレもオレもで便乗しました。
厚顔無恥なるパクリであり、許されざる愚行であり、オレの目に映る真実です。
イ)2006夏、海外DRM事情
DADVSI法
フランスでApple(とSony)に対して、DRM技術の公開を義務
づける法律が審議されていた(DADVSI法)。
ポイントは、独自のDRMを利用してデバイス/ストアの囲い込みを行うことは消費者の不利益だ、ということ。
最終的に、DRM技術の公開に関する条項は削除された。フランスでの顛末 。
※DADVSI自体はデジタル時代の知的財
産権をぜんぶまとめて面倒みましょう!という膨大な法律で、いろんな側面がある。
佃煮にするほどある。うっかり深入りすっとかなりイヤ。自由 ・平等・博
愛ってナンデスカ?
※当初案が成立していたら、
VLC/MPlayer/MEncoder/ffmpeg/x264が灰燼に帰していた可能性もあったようで、彼らは盛んにDADVSIに反対し
ていた。Appleもまたイ)1.aを阻止すべく運動していたようだ。この点ではAppleは彼らの同志と言える。改正したいポイントが全く別だっただけ
で。2006年のエイプリルフールネタ はモロにApple狙いの皮肉だよなぁ、と思いながら訳した。欧州の情勢は
複雑怪奇だ。
※サルコジさんのスタンス も
注目。
音楽業界のOpen
DRM
一
方でRIAA1 やIFPI2 、デバイス業界、サービスプロバイダなどを巻き込んで、楽曲の保護は音楽産業全
体のOpen
DRM(一社独占ではない、業界全体の共用DRM)でやりましょう、とい
う流れができあがりつつあった。ただ業界全体としてのコンセンサ
スが取れていたわけでは無い。
全米レコード協会。まぁ、アメリカのジャスラックみたいなもん。
国際レコード・ビデオ製作者連盟。
どちらでも「iTMSで買ったもんはiPodでなきゃ聞けない」とか、「着うたで買ったものiPodに入れても無理!」というフシアワセが減る。
音楽産業全体がハッピー。機器メーカーもハッピー。消費者も今よりはハッピー。
ロ)これでアンハッピーなヒトは2つ。
一挙にDRMの無い世界にならなきゃヤダヤダヤダ!って人。
Apple。
オレとか結構「ロの1」入ってるような気がすんだけど。Cが読めない文系がmencoderに深入りする以上、その底の思想に感染するのは避け難い。自
分はその感染を受け入れる。
それがMac
OSXで望み得る最善のエンコードをもたらす限り 。
ともかく、イ)の情勢で欧米の世論はApple包囲網を狭めつつあった。
このままでは確実にAppleはユーザの目に自由の敵として
写ってしまう 。
どうするスティーブ!
ハ)たったひとつの冴えたやり方
Appleの選択肢は2つ。Open DRM(ex;iTMSのFair Play技術を他社に使わせてあげる)か、はたまたDRMフリーか。
望み得る最大の利益をもたらすのはどちらか、、、THINK !
「Thoughts
on Music 」
構図一変、大・逆・転。
ー
ワルもん
イイもん
使用前
デジタル・コンテンツ流通の支配者Apple
Open DRMを求める消費者と音楽業界
使用後
DRMを求める音楽業界
DRMの無いセカイを求めるApple
これまでDRMの恩恵を最も享受してきたAppleが、一気にユーザの味方に変わる。DRMはユーザを縛る。Appleは消費者のミカタだ!
え?Open DRMを求める消費者?うん、まぁ話ムズイしあいつら。DRMなんか無い方が良いに決まってるだろう?きっとヲンガク業界の回し者だぜ。
追加効果
Appleは本当はDRMフリーでの配信に移行したい。
Open
DRMですか?それは消費者の求めるものぢゃ無い。AppleはDRMフリーを目指しているのです。
だからFairPlayは版元の要求なんですってば。
補強材料
EMIとの提携。これがAppleのスタンスを本物っぽく見せている。
話を持ちかけたのがジョブスさんであるにしても、決断したのはEMI自身だし発表したのはEMIの方針だしiTMSは最初の流通チャネルの一個に
過ぎない。彼が記者発表に同席するメリットは、EMIよりAppleの側にある。
ニ)2007年晩春
AmazonとEMIの提携 (07/05/17)
予見し得る範囲の未来に於いて、これでOpen
DRMの道は遠のいた。
EMIという存在がある以上、DRMにこだわる会社は批判されるし、こだわればこだわるほど自分で自分の首を締める事になる。
Amazonは捨て難い。しかし、DRMを捨てるのは…というWarner、Universal、Sony
BMGの葛藤が長引けば長引くほど、iTMSがその重みを増す。
EMIは現在、4大レーベルの中でもっとも経営が苦しい存在だ。ひらたく言えば売れるアーティストをあんま抱えていない。
Appleは残り3レーベルを自社DRMの「事実上のコンテンツ流通独占」の中につなぎ止めておける。
消費者をiTMS/iTunes/iPod/AppleTV/iPhoneの中に囲い込んでおける。
ホ)余談
スティーブ・ジョブスの公開書簡
いわゆる「信者」では無い「あたらしいマカ」が急速に増えている事を示す。intel
Macの新規購入層は、linuxに詳しいwebプログラマであったり、iPodから入ったタイプであったりする。彼らはMicrosoftにそうしてい
たように、歯に衣を着せず、批判すべきは遠慮なく批判する。それは旧来のマカやMac雑誌に最も欠けていたものだ。マス・マーケット・プレイヤになった
Apple
は、あたらしいコミュニケーション・チャンネルの必要性を感じたと言う事だと思う。スティーブ・ジョブス率いる組織に無駄はありません。ねばー無いです。
社会問題に対するスタンスを公表するならただのニュースリリースで良いはずだが、ジョブスさんという稀代のカリスマ(現実歪曲フィールド)が
ある以上、そのカードを最大限に活かす形がベスト。実際効いてる。
逆に後継者不在の現実も示唆する。このフォーマットならジョブスさんが経営の一線を引いた後も、市場に対して「現実歪曲フィールド」を放射し
つづけられる。
Mac
miniぢゃなくて、そこそこコンパクトで多少の拡張カードが挿せて、好きなモニタを選べる「ふつうのMac」はたぶん出ない。Appleはもうずっと前
からパソコンの会社では無いし、彼らが目指すのはデジタルコンテンツの流通独占だ。
Appleにとって一般ユーザーがモニタや拡張カードを選べるような機械はリスクでしか無い。CPU交換すら困難な設計を取り、次々に買い替
え需要を喚起するニュースや新製品を発表し、Mac Proの価格帯はどんどん上げていくのが正しい。
iTMSが最大のコンテンツ購入窓口である限り、Appleは版元に対して有利な交渉ができる。iTMSが無料IPサイマル放送なんぞ始めた
日にゃあ、SONYも松下もシャープもApple TVの周辺機器メーカーだ。iPod税 の残りで暮らす事になる。
目を覚ませマカー、AppleがBig Brotherだ。
独占は腐敗と停滞を産む。独占は腐敗と停滞しか産まない。
有力な対抗馬は常に必要。しかしオープンソースはハードウェア生産能力を持たない。
ハードとソフト。デバイスとユーザーエクスペリエンス。ハイテクとハイタッチ。対抗馬には、この二つをできるだけ高いレベルでバランスさせる
能力が求められる。
それでAppleの流通独占が危うくなって初めて、Open
DRMへの筋道ができる。完全DRMフリーなセカイが必要かどうかはその後で考えればいい。
もしも「ふつうのMac」が期待できるとしたら、その後だろう。
Appleの独占を崩し得る存在はダレか?。続きはwebで。
へ)この記事の著作権
元記事である「P2Pとかその辺のお話」さんの「
DRMフリーへの流れがAppleのDRMによるiPod/iTune支配を延命する? (2007年05月
18日)」は「
クリエイティブ・コモンズの表示 - 非営利 - 継承 2.1 日本 」で公開されています。
従って本記事は(出来はともかく)同ライセンスに基づく二次的著作物に相当し、また同ライセンスの適用を受けると考えます。
…って事で良いと思うんだけど。
参考記事
iTunes PlusにみるAppleの狡猾 - 日経エレクトロニクス - Tech-On!
更新履歴
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このたびは、私の拙文を利用していただき、
誠にありがとうございます。
以前より貴ブログのファンである私(ドザー)にとって、
これほど喜ばしいことはありません。
情報は共有され、多くの人によって修正、改変、再構築、
新たな情報、表現の付与がなされることで、よりいっそうの
価値を持ちうると考えております。
そういった意味でも、利用していただいたことは、
本当にうれしい限りです。しかも、私の拙文をこうも見事に
作り直し、新たなものを作り上げていただいたことも
本当にすばらしく、そしてうれしくと思っております。
妄想主の私ですら、面白い!!と思ってしまったくらいですから。
そういった意味では、うれしいやらジェラシーやら。
なお、CCライセンスに準拠していただいておりますので、
権利上の問題は一切ございません。
追伸:
あたらしいxxのはなし、これからも楽しませてくださいね。