慰安婦として働いた人たちは大変だったと思う。いや当人にとっちゃ大変なんてもんぢゃないだろうけども、さらに心ならずも/騙されて/強制的に
慰安婦になった人たちの内心に至っては、自分の想像力を超える。
一方、やってない事にまで責任を負いたがるヒトというのは不思議な存在だ。経験上、普段から口ばかり
で役に立たず、修羅場になると真っ先に逃げを打つ。逃げたという自覚も無いから何度でも同じ事を
繰り返す。大抵は民主
主義、とか、愛国心、とか、そういう捉えどころの無い大きなものが大好きだ。
産経と朝日に同一問題について正反対の記事が出たので比べてみました。
この記事より先には深入りしていません。両記事の文言が全てです。
得点評価は日本国政府の利益となるかどうか。◎が一点。
得失区分は
主観です(この問題に「客観的な事実」や「正しい判断」は
有り得ません)。
1. 産経
【ワシントン=古森義久】米国議会調査局は日本の慰安婦問題に関す
る決議案に関連して議員向けの調査
報告書をこのほど作成した。同報告書は
安倍晋三首相
の一連の言明を「矛盾」と批判しながらも、焦点の「軍による女性の強制徴用」については軍や政府が全体としてそうした政策をとってはいな
かったことを認め
る見解を明らかにした。同報告書はさらに決議案の日本側へのこれ以上の謝罪要求に懐疑を示し、賠償を求めれば、日本側から原爆の被害者への賠償請求が起き
かねないという懸念をも表明した。
議会調査局の専門家により3日付で作成された「日本軍の『慰安婦』システム」と題する同報告書は議員の審議用資料で23ページから成る。
いわゆる慰安婦問題の主要争点とされる「日本軍による女性の強制徴用」について同報告書は「日本軍はおそらくほとんどの徴募を直接に実行はしな
かっただ
ろう。とくに朝鮮半島ではそうだった」と述べ、いま下院に提出されている慰安婦問題での日本糾弾の決議案が「日本軍による20万人女性の性
の奴隷化」とい
う表現で非難する日本軍による組織的、政策的な強制徴用はなかったという趣旨の見解を示した。
しかし同報告書は安倍首相らの強制徴用否定の言明について(1)慰安婦システムの一部分である「徴募」だけの否定の
強調は軍が大きな役割を果たした慰安
所の設置や運営、慰安婦の輸送、管理などを矮小(わいしょう)化する(2)一部の言明は徴用にはいかなる軍の強制もなかったと受
け取られ、日本政府自身の
調査をも含む元慰安婦らの証言に矛盾する-と批判し、「強制性」の最大の論拠としては2002年に米英両国で出版された「日本の慰安婦」
(田中ユキ著)と
いう英文の書を挙げた。
同報告書はその一方、日本政府が慰安婦問
題に対して1990年代前半から「アジア女性基金」の設立などで謝罪や賠償の努力を重ねてきたことを詳述し、
「同基金は元慰安婦たちに償い、助けるための日本政府の真実の努力だ」して、女性たちによるその基金からの賠償金の受け取りを韓国政府が事実上の脅しによ
り阻んだとして非難した。同報告書はとくに
賠償について政府間ではすでに対日講和条約や日韓関係正常化で解決ずみとの見解を示し、もし諸外国が日本にいま
公式の賠償を求めれば、「日本側は戦争中の東京大空襲の死者8万人や原爆投下の被害への賠償を求めてくる潜在性もある」とも指摘した。
下院決議案は日本の首相や政府に改めて謝罪の表明を求めているが、同報告書は河野談話や歴代首相の「アジア女性基金」賠償受け取り
の女性への謝罪の重要
性を強調し、「それでも不十分だとする批判者たちはなぜ不十分なのか理由を明示していない」として、謝罪要求への懐疑を明確にした。同決議
案はさらに米側
の一部が「日本の国会での謝罪決議」を求めることに対しても、「そうした決議が成立する見通しはきわめて低い」として、この種の要求の非現実性を指摘する
形となった。
【失点2】
・安倍晋三首相の一連の言明は
「矛盾」
- 報告書はあくまで倫理ではなく論理、主張の合理的妥当性に基準を置いている。
◎(1)「徴募」だけを強調して否定するのは
軍が大きな役割を果たした慰安所の設置や運営、慰安婦の輸送、管理などを矮小化す
る。
◎(2)一部の言明は徴用には
いかなる軍の強制もなかったと受け取られ、日本政府自身の調査をも含む元慰安婦らの証
言に矛盾する。
【得点3】
・「軍による女性の強制徴用」については軍や政府が全体としてそうした政策をとってはいなかった。
◎「日本軍はおそらくほとんどの徴募を直接に実行はしなかっただろう。とくに朝鮮半島ではそうだった」
◎日本政府は1990年代前半から「アジア女性基金」の設立などで謝罪や賠償の努力を重ねてきた。
- ・・「同基金は元慰安婦たちに償い、助けるための日本政府の真実の努力だ」
- ・・女性たちによるその基金からの賠償金の受け取りを韓国政府が事実上の脅しにより阻んだとして非難
◎とくに賠償について政府間ではすでに対日講和条約や日韓関係正常化で解決ずみ
- ・河野談話や歴代首相の「アジア女性基金」賠償受け取りの女性への謝罪が存在する「それでも不十分だとする批判者たちはなぜ不十分なのか理由
を明示していない」
【観測】
・もし諸外国が日本にいま公式の賠償を求めれば、「日本側は戦争中の東京大空襲の死者8万人や原爆投下の被害への賠償を求めてくる潜在性もある」
【所感】
- 産経は概ね日本に有利なネタを持って来るが、自分達が少数派という自覚がある。洗脳戦の要諦は一に利益、ニに説得力。
- 米国議会調査局のプロ根性に平伏。
- これはあくまで「アメリカ合衆国国民が自己の責
任において自分の態度を決するに当たり、より妥当な判断を下す為の参考資料」。
- 「米国の国益」という観点で透徹しており、美しい。
- 「末端では事実上の強制が存在した可能性」まで全否定/矮小化するのは不利益。
- 逆に日本のネットではこんな意見が⇒だから日本は反省してない、に援用されるリスクあり。このへんも産経はクレバー。愛国を叫ぶ者ほど一
時の快哉を叫ぶ己を愛している。
- 性に関わる問題は人間の本能に直結する。いかなる文化でもなんらかのタブーがあり、一手指し違えば本能的嫌悪感に直結する。
- 全否定・矮小化・反発・強弁・感情論は、斜め上の国という印象・過剰な反証・反発を生み、抗争を激化させる。無益。
- 過剰を避けるには、まず落ち着いて合理的な態度を示す事だ。感情は調味料。
- 焼きそばを作るのに、まず青ノリを鍋に入れるヤツはいない。それでオレは料理がウマいと言っても説得力が薄い。
- 料理のように「喰えばわかる」問題では無い場合、プロセス(結論に至る過程)の説得力がモノを言う。
- 自分自身の過去のプロセスを無視した行動(矛盾)は、信頼を著しく損なう。安倍さんは脇が甘い。
- 河野談話がどうだろうが外国から見りゃ「日本政府の公式方針」だ。
- 「日本の慰安婦」の資料性を日本語で批判しても無意味。彼らに入手可能な資料は英語で書かれたものだから。
- 日本の戦略目標は「ただしい歴史認識を世界に広める」事ではない。沈静化。
- パックス・アメリカーナを批判された時の米国人のテンプレは「個々に間違いがあったかもしれないが、全体としては概ね良かったと言えるの
ではないか」だ。愉快ではないが、受け入れる方が妥当と思えるケースが多い。これは根本的には、彼らが殆どのケースで軍事的勝利を収めて
いるから。今生きている人間がソレを前提とした社会に生きているからだ。
- 大日本帝国の敗滅を前提とした世界は、基本的にはその行動を是認できない。肯定すれば、今、自分達が生きている世界を否定しなければなら
ない局面が
増えるからだ。日本が国際社会において名誉ある地位を維持したいと願うなら、我々は、自己の感情(ex, 先の大戦の反省,
愛国心などの美しいナニカ)に流される事なく冷徹に行動する事が求められる。
- 理屈だけなら慰安婦シ
ステム総体の差し引き勘定や、存在の合理的妥当性をアピールすれば効きそうに思えるが、難易度高。性はどこの文化でもタブーなので合理的な理屈は効きが悪
い。まして、それでは奴隷労働の疑いは晴らせない事を考えると、嫌悪感に油をくれてやる公算が高い。
- 「矮小化」の非難を可能な限り抑止する形で沈静化することが第一目標。性奴隷(文字通りsex
slave)として使役された女性が一人でもいれば、マクロな視点を主張する事自体が大きなマイナス。ある程度の不名誉は甘受せざるを得ないと覚悟し、妥
当な範囲を見定めるべき。
- 中国の戦略目標は「ただしい歴史認識を世界に広める」事ではない。日米分断。
- 米中戦争の前哨戦は既に始まっている。当面の中国の目標は、2008年の北京五輪、2010年の上海万博、2012年の月面着陸(嫦娥
(チャンア)計画)で求心力を維持しつつ、おおむね2020の時点で、台湾武力統合において、米国の武力干渉を正面から跳ね返す軍事・外交・国力を備えた
地域大国となる事。
- このためには日米分断が不可欠。
- 従って、本決議案が話題になるだけで利得を得るのは中華人民共和国。つまり、、、孔明の罠だ!
- この点からも、感情に流されず、冷静な差し引き勘定が求められる。というかべったべたに中国と仲良く
するそぶりでアメリカから譲歩引き出すくらいしてもバチは当たらないとおもう。VC-1は日本メーカーの特許を不当な契約条項で持ってってるって独禁法で
罰金かけても、原爆の賠償よりゃあ安かろうし。
2. 朝日
日本軍慰安婦問題をめぐり、東京裁判に提出された各国検察団の証拠
資料の中から、占領支配したアジア
の女性が日本軍に強制的に慰安婦にされたことを示す
尋問調書などを、林博史・関東学院大教授(現代史)が確認した。17日に日本外国特派員協会で会見して公表する。裁判で証拠として採用されたもので、東大
社会科学研究所図書館に所蔵されている。
東京裁判には、日本軍によるアジア各地での住民・捕虜殺害など具体的な残虐行為を立証するために膨大な証拠資料が提出された。今回、林教授が確認したの
は、オランダやフランス、中国など各国の検察団が提出した調書や陳述書など。
インドネシアで、ジャワ島やモア島、カリマンタン(ボルネオ島)で女性たちが強制的に慰安婦にされたことを示す証拠資料が提出されたことが判明したほ
か、アジア各地で同様のケースがあった。これまで、国立国会図書館所蔵の東京裁判関係資料から尋問調書の一部が確認されていた。
オランダが提出した、ボルネオ島で海軍の情報機関にいた男性軍属に対する46年3月13日付の尋問調書。日本人と親しくしていた地元女性が日本軍に拘束
され、警備隊長に平手打ちをされ、裸で立たされる状況に触れて、取調官が追及する。
彼女たちを拘束した理由について、男性軍属はこう答えた。「抑留したのは彼らを淫売(いんばい)屋に入れることができるための口実を設けるために警備隊
長の命令でなされたのであります」
46年5月16日付の尋問調書では、ジャワ島の民間抑留者の収容所にいたオランダ人女性が強制的に慰安婦にされたことを証言している。
44年1月28日、インドネシア人警察官が彼女を含め計7人の女性や少女を日本軍捕虜収容所事務所に連れていき、日本人に引き渡した。さらに車で小さな
収容所に運ばれた。同年2月3日に医師による健康診断を受けた際、日本人向けの「娼楼(しょうろう)(brothel)」で働かされることを知ったとい
う。
「労働日には娼楼は日本将校のために、日曜日午後は日本下士官のために開かれ、日曜日の午前は兵卒等のために保留された。時々一般の日本人が来た。私は
常に拒絶したが無駄だった」
フランスが提出したベトナム人女性の口述書の抜粋には「日本人はフランス兵と一緒に生活していた私の同国人数人に、光安に設けた慰安所
(brothel)へ一緒へ行くよう強制しました」とある。
中国の「軍事委員会行政院」が46年5月27日付で作成した資料は日本軍の桂林での残虐行為に言及、「四方より女工を招致し、麗澤門外に連れ行き脅迫し
て、妓女(ぎじょ)として獣の如(ごと)き軍隊の淫楽(いんらく)に供した」と記す。東京裁判の判決も桂林の残虐行為に触れた中で、「工場を設立するとい
う口実で、かれら(日本軍)は女工を募集した。こうして募集された婦女子に、日本軍隊のために醜業を強制した」と認定している。
一連の資料について林教授は「これらは各国が作成した公文書であり、判決でも強制したことが事実認定されている。サンフランシスコ平和条約で戦犯裁判を
受諾した日本には、これらの文書の意味は無視できないだろう」と話している。
【失点1】
◎「抑留したのは彼らを淫売(いんばい)屋に入れることができるための口実を設けるために警備隊長の命令でなされたのであります」
- ・・主要争点は「日本軍による女性の強制徴用」。この証言は日本軍属が
警備隊長の指示下で行ったもの。失点採用の理由は、軍属に命令を下せるのは軍人でいいと考えたから。
【得点1】
◎東京裁判には、日本軍によるアジア各地での住民・捕虜殺害など具体的な残虐行為を立証するために膨大な証拠資料が提出された。
- ・・東京裁判は復讐裁判との見方があり、提出資料の証拠能力には疑問点もある。戦後ホットな時期の裁判だけに、この印象は拭えない。
- ・・この一点を以て日本国の得点とするのは特に戦勝国世論に対して著しく有効性を欠くが、敢えて得点採用した。理由は、要素
項目の評定不能率の高さから。
【評定不能4】
◯46年5月16日付の尋問調書では、ジャワ島の民間抑留者の収容所にいたオランダ人女性が強制的に慰安婦にされたことを証言
◯「労働日には娼楼は日本将校のために、日曜日午後は日本下士官のために開かれ、日曜日の午前は兵卒等のために保留された。時々一般の日本人が来た。私
は常に拒絶したが無駄だった」
- ・・言ったのは誰か(Who)? オランダ人女性であってまさかインドネシア人警察官ではないと思うが、
主述関係が切れている。間に小説的な演出を挟んだため。
- ・・おこなったのは誰か(Who)?
- ・・主要争点は「日本軍による女性の強制徴用」。たしかに民間抑留者の収容所から日本軍捕虜収容所事務所
に移ってそこから慰安所送りだから、軍の管理責任は問えそうには思える。しかし主語が不明。「ジャワ島の民間抑留者の収容所」はどこの管轄か?そこから被
害者を連れ出したのが「インドネシア人警察官」なのはなぜか?引き渡された「日本軍捕虜収容所の日本人」とはいかなる
立場の人物か? 感情としては失点にしたいところだが、決め手にかける。「したい」というのは誰が責任者なんだかわからねぇお役所仕事の
結果にも見えるからだ。それで慰安所送りにされちゃたまらんだろ。でもそれはオレの感情なんで採用不能。
◯フランスが提出したベトナム人女性の口述書の抜粋には「日本人はフランス兵と一緒に生活していた私の同国人数人に、光安に設けた慰安所
(brothel)へ一緒へ行くよう強制しました」
- ・・主要争点は「日本軍による女性の強制徴用」。この証言は日本軍では無く、日本人。
◯「四方より女工を招致し、麗澤門外に連れ行き脅迫して、妓女(ぎじょ)として獣の如(ごと)き軍隊の淫楽(いんらく)に供した」
- ・・おこなったのは誰か(Who)?
- ・・女工を募集して騙した者には甚だ虫酸が走るが、誰がやったのか。主要争点は「日本軍による女性の強制
徴用」。この証言の文言に日本軍の文字が無い。カッコで(日本軍)を補足したのは誰か?なぜ主語まで含めて引用しない
のか。中国語であれば主語省略は考えにくい。英文であれば主語省略は絶対に無い。
- ・・人数的に大規模であれば、受け入れ時に日本軍は気付かなかったのかという疑問は残る。
【観測】
- 林教授は「これらは各国が作成した公文書であり、判決でも強制したことが事実認定されている。サンフランシスコ平和条約で戦犯裁判を受諾した
日本には、これらの文書の意味は無視できないだろう」と話している。
- ・・前掲の通り、東京裁判資料の証拠能力の妥当性は議論が別れる。この論争に中立の立場を取る場合、この「観測」は判断材料にカウントし
にくい。そもそも通常の裁判においても誤審、事実認定の間違い、再審請求はあり得る。一般論としては「受諾したから無視できない」は、刑
に服した事実を以て再審請求の道を封じる論になりかねない。資料そのものを無視すべきではないとの結論は同意だが、その過程は粗雑に思
える。てゆうか人倫にもとる。
【所感】
- 慰安所が存在した以上、同情を寄せるべき「被害者」が存在した可能性は高い。倫理的・本能的に無視しがたい「証言」は今後とも存在し得る。適
切な手当が必要。
- 軍や政府が全体として女性の強制徴用政策をとってはいなかった事は現状ではほぼ妥当と思われる。しかし、末端には必ず暴走者
が出る。
- 慰安所が軍の機関である以上、人材不足箇所に補充を行う事で己の栄達を図る者が必ず出る。それが人間というものだ。人種・文化は関係な
い。軍の底辺およびその周辺に、大日本帝国の威光を笠に着て横暴を働いた者が居た事はマクロ的には否定困難。下手人を
捕縛してその責任を負わせるべき。
- これは「昔のことだから/年寄りだから/相手が外交カードに使っているから」ではクリアにならない。その反論自体が甘え
であり、腐敗。
- ネトウヨの脆弱さはこの点の認識不足。証言内容が凄惨であればあるほど、感情的な言い回しで信
憑性を疑ったり、外交カードの可能性を指摘する事じたいが論点ずらし・矮小化・隠蔽疑惑を産む。だけでなく、中韓の文化を持ち出すに至ってはレイシスト
(人種差別主義者)そのもので
あり、うわッこういう連中ならやるね、絶対!という確信を倍増させるだけである。
- 「末端の腐敗」は河野談話の継承とアジア女性基金の推進でストレートに対処可能(実際に腐敗があろうがなかろうが名誉回
復効果を発揮する)。
- なお「末端の腐敗」に焦点を合わせつつ、其の責任を「本来の攻撃目標」に被せるの
は、事実上、日本の世論をカッカさせる挑発効果がある。冷静さを欠いた者ほど対処しやすい。
- ホントに孔明いない?
- 文章が要素抽出しにくい。
- 5w1h不徹底。判断材料に使いにくい。読み手の読解力次第でデコード誤差の生じ得る文章は報道ではなく文学。供述内容の並べかたにドラ
マチックな手法アリ。感情に訴えるキライ有り。採用不能項目がモッタイナイ。産経より高いのに産経より高いのに産経より高いのに。
3. 得点集計
「日本国」にとっての得点です。
|
得点 |
失点 |
得失 |
産経 |
3 |
-2 |
1 |
朝日 |
1 |
-1 |
0 |
合計 |
4 |
-3 |
1 |
失点内訳は
一応、両社のカラーにマッチする項目はイジワル気味に落としたわけですが。正直、個々の証言内容にはずーんとココロが重くなりました。この感情に流されて
いれば朝日記事の日本の失点は-3。
合計失点で-5。得失は-1になっていたハズです。このへんの重み付けは個人的な倫理観と理性のバランスの取り方で全然変わって来ると思います。
それでも安倍さんが口に気をつけてりゃ+1のままだったんですけどね。
4. 方策
大日本帝国両軍が組織的に「女性狩り」を行った証拠は朝日の記事にも出ていません。
組織的に行ったのであれば、文書命令があるはずです。慰安所は人員輸送と衛生管理を伴う大規模な機構ですし、隠蔽しようとしても漏れは必ず出ます。
もし今後それが発見されれば以下は瓦解しますが、それまでのあいだは以下の方向が良いと思います。
目標は
日本国のソフトパワーの保全。その被害を極限する事です。
- 大日本帝国陸海軍が、組織的に「女性狩り」を行った事が無い点は指摘すべき。⇒実行中
- 慰安所自体は軍の指導管轄の元に設置されたものであるから、日本国は「女性狩り」被害者に対し一定の責任を負う。⇒実行中(河野談話・アジア
女性基金)
- 誰よりも重い責任を負うべきは、大日本帝国の威光を笠に着て横暴を働いた各実行犯。⇒未クリア。
- 案1:捕縛して裁判。
- 案2:倫理的には河野談話承継、実利的にはアジア女性基金の目的を、しかるべき時期に国際的な女性の地位向上に変更・対象者拡充。時間軸
上の累積得点積み上げでソフトパワーをプラス化。
NOTE:決してすべきではないこ
と
- 「やったのはXX人だ」:明白な人種差別です。日本国のソフトパワーにとって大打撃です。
- 「日本人がそんな事をするとは思えない」:内面的な信条にすぎず、根拠がありません。日本国のソフト
パワーにとって大打撃です。
- 「全面的に日本の責任だ」:被害者に対する侮辱です。交通事故で
すら責任比率というものがあります。巨大
で複雑な問題ほど、関係者は多岐に渡り、責任比率の判断は複雑化します。つまり、これは本気で事実の解明・再発防止策の構築に取り組む意思の無い証明であ
り、一見立派に見えながら、実は最も不誠実な責任逃れです。a.b.ならまだ肚のソコで「次からは気をつけなきゃ、なにがマズかったんだ?」と検証する可
能性が残りますが、この立場を取る場合は残りません。c.は再犯リスクが最も高い立場です。日本国のソフトパワーだけでなく、倫理上も真実の大打撃です。
※これらはどれも、この問題に接する際に感じる「大きな石を胃に詰め込んだような重苦しさ」を一時的に緩和する効果があります。
5. 所感
この問題は、コア部分に性と奴隷、すなわち近代社会が排除してきたタブーがダブルで、
公的施設にからんでるのがやっ
かいです。動物的な嫌悪感すら絡みますから、スカッと打開できることではありません。ぶっちゃけ痴漢冤罪事件で疑いを晴らすのに大きな労力がかかるのと一
緒です。
個々の証言を無批判に詳細に並べただけの朝日の記事は、被害者の言い分を一方的に採用するようなものです。もちろん被害者の言い分は極めて重要ですが、
それだけでは判断は妥当なものになり得ません。
他方、慰安所そのものが存在した以上、水面下で「暗黙の了解」に基づく運用がなされていたのではないかとの疑惑が残ります。どっちにしろヤッたのは「日
本兵」なのですから、根本的な部分で諸外国の嫌悪感は解消し難いものがあります。
たとえば、芸能人の資格で入国する人たちがありますわな。民間の入国ブローカー・兼・職業斡旋会社が彼女達を国の施設に斡旋したら、そこで人権上のトラ
ブルがあった際に非難感情が向かう先は、やはりまず国でしょう。また米兵が事件をおこした時に、アメリカ人が「
これは末端の問題にすぎ
ず、総合的に見れば米国がアジアで果たしている役割は」とかずらずら数字だの証拠だの出してきやがったら、それは火事に向かってガソリ
ンを放出するような行為です。この種の問題の心理的影響は「末端の問題」と切り捨てるには重すぎます。
中韓がこの問題を外交カードに使っている場合、感情的な応対は「正しい歴史観の押しつけ」そのものです。
日本の世論
が対手の「反日感情」と同じレベルに落ちれば、貴重な外交カードが一枚、相殺されてしまいます。 だからあわてるな。これは孔明(略)。
内容に議論はあれど日本はこの問題について謝罪し、補償も行っています。不十分というならば、日本には
その合理的な理由を直接に聞かせ
てもらう権利が
あります(もちろん義務でもあります)。それをせずに第三国にロビー活動をかけ、非難決議採択を推進する国、事実採択する国があるならば、それは既に実務
交渉(洗脳戦)の領域です。胸を張って大いに対抗策を練るべき事であり、倫理や反省や感情論を持ち出す段階ではありません。
あるいは日本が第二次世界大戦で勝利していれば、ある程度の強弁が通用したかもしれませんが、この世界が大日本帝国の廃滅の上に築かれたものである以
上、我々には慎重さが必要です。たとえ日本語で日本人向けに書くにせよ、どうせ外国人には読めまいという意識では、自己憐憫以上のものにはなり得ません。
話は飛びますが。
第二次世界大戦前夜の日系人社会は、日本を応援する一世と、米国に忠誠をちかうべきと考える二世に分裂していました。
当時の日系人向け新聞は日本語と英語の記事が混在していたのですが、概ね日本語記事は一世、英語記事は二世が執筆していました。その結果、米国社会の日
系人は「日本を支持する日本語の記事」と「米国を支持する英語の記事」が、「一緒に載っている新聞」を読んでいました。たとえばリットン調査団に対する記
事がそれぞれどのような論調になっていたか、一度読んでみたいものです。日本人には、そういう新聞を読んでいる自分を隣人達がどう思うか考えつかない、と
いう鈍さがあります。というより甘えですねこれは。形は違えど、今もそうした部分があるでしょう。
日本語記事の内容は米国人の間で噂となり、日系人社会は、せいぜい良く言って「
とても興味深い人々」と見られていた
ようです。尾ひれもあったでしょうが、根本的な責任は、論理的な対決を避ける日本人の血にあります。これだけが原因でもないでしょうが、枢軸国の中で日系
人だけが収容所に送られた原因は、単に人種差別で片付けるべき事ではないと思います。少なくとも我々日本人だけは。
その一方、日中戦争において中国人は、北米で日本の非を鳴らす宣伝活動を盛んに行い、見事な世論誘
導に成功しています。
我々が議論も英語も苦手なのは今も昔も変わりませんが、基本的に苦手を克服するよりは、
得手を伸ばす方が効率が良いものです。
6. むすび
とはいえ、被害者にとってはんなこたぁどーでもいーのだぐだぐだ抜かすなこのやろおといった所でしょう。どっちにしろヤッたのは「日本兵」なのですか
ら。
深くご同情申し上げ、再発防止に向けて、自分に為し得る事をする意思を表します。
冒頭で、この問題に客観的な事実や正しい判断は
有り得ないと書きましたが、
正邪の判断は神の領域であり、人が人を裁く事は出来ません。
地上に起こる事は全て人が為す事であり、利害調停の域を出ません。
戦争も平和も裁判も交渉も倫理も悪も正義もこの限界の内にあります。
その限定条件の内で望み得る最善を尽くすのが、謙虚というものだと思います。
人間に望み得る最善は「死ぬまで"より妥当な判断"を下し続ける」だと思います。
新聞やブログに決めてもらう必要は無いです。
感じるな。考えるんだ。
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