結論とかは無いです。おもいつくままにだらだら。
H.264/AVCはほぼ日本の家電メーカー(例えば東芝の適応重み付け予測)、IBM(CABAC)、Microsoftのパテントでできている。
MP4コンテナはほぼAppleのパテントでできている。
韓国とEUも数は多くは無いが入っている。特に人口の少なさを考えると韓国企業は極めて優秀と言える。
「国際標準規格」に自社特許を盛り込めば、それを使用する会社や個人からお金が取れる。
というのは企業にとっては大きな魅力だから、実はあんまり大した事の無い特許でもオカネや政治力次第ではねじ込めたりもする。
あくまでも構造/可能性の話。優秀というのはそのへんも含めての話だ。
もちろん、タマがアレではどうしようもないのでそこは当然クリアしていなければならない。
つまり、政治的には「国際標準規格」というのは各国のプロパテント政策の戦場だ。
これは規格の肥大化とパテント料の高騰を産む。MPEG-4 ASPが変則的な形でしか普及しなかったのは主にここに原因がある。
これまでのところパテントホルダー側からx264やmp4boxが直接攻撃を受けたという話はないようだが、根本的にはパテント・リスクは潜在してい
る。
パテントホルダー側の戦術として、GIFやMP3のように普及した頃合いでどーんと主張してみる、という手法がかつてあったが、これは世間の評判がめろ
めろになる。
いずれにせよ企業活動はお金の為、という点で一貫している。慎重に差し引き勘定をした上でなければ、もはや取りにくい手法だろう。
面白いのはEUだ。
2005年の夏にEU全域をカバーするソフトウェア特許保護法案というのが否決された(域内各国にはその法律がある国もあるがEU全体としては無い)。
2006年暮れにはフランスでDADVSI法というのが話題になった。
いずれも成立していればffmpeg/MPlayer/VLC/x264の全てが灰燼に帰していただろう。もちろん、今後もあり得る。
面白い、というのは情報安全保障の観点からEU全域で推進が進むlinuxにとって、ソフトウェア特許のメリットは大きく無い事だ。
EU経済にいわゆるワールドクラスの大企業~トムソンとかフィリップスとかダッソーとかABBとかノキアとか~が占める割合は必ずしも大きいとは言え
ず、
ソフトウェア特許があってはむしろ儲けが減ってしまう中小規模の企業が占める割合がデカイらしい。
メリットを受ける存在はEUより、むしろ北米や日本にある。
オープンソースにストレートな法的攻撃を加えても、それどころかシェアウェアをまんまパクってもまるでイメージが落ちないのはAppleくらいだ。
この点、自分はAppleをオープンソース・マルチメディア最大の脅威と評価している。
リスク評価リストのトップに置くに値する軍備を持っていると言う事で、主義主張思想信仰感情の類いは考慮していない。
昨年のエイプリルフールにVLCが発したネタは、AppleとMacユーザーに対する皮肉だと思う。
企業の間で自社技術を一切外に漏らさない。という手法が流行っている。
特許出願すらせずに完全なブ
ラックボックスの形で技術を商品化すれば、特許検索にも引っかからないと言うわけだ。
特許制度というのは錬金術の反省(盗用をおそれて口伝、非公開、発明者の死亡と
ともにロスト、そして伝説へ)から生まれたものなので、
今世紀中に企業社会の中世化なんてものが見られるかもしれない。一子相伝の液晶パネルとか。
大企業がヒトモノカネを集約的に運用する、というのは構造的にはあまりイノベーションを生まない。
キャッチアップ型経済(戦後復興や発展途上国の開発独裁)には便利だが、ゴールにたどり着くと腐敗が始まる。パイが縮小すれば取り分争いだ。
事業構造の再構築であるはずの「リストラクチャリング」がなぜか「リストラ=解雇」で定着してしまったのは、
イノベーションを生むより人件費切ったほうが儲かる、という意識の存在を示している。
「格差社会」というのも、イノベーションを生むより人件費切ったほうが儲かる、という意識の存在を示している。
ライブドアがああいう形で無力化した事は、中小のベンチャーに冷や水をかけた。
「嫌韓」というのは実際には韓国企業を利する。
韓国製品を買わない。技術を盗んだ。あれらはパクリだ。品質が悪いに違いない。というイメージは、日本企業の国際競争力を確実に削ぐ。
最大のテキはいつだって油断であり、それを生むのは侮りと奢りだ。
少なくとも自分の見聞した範囲では、サムスンの人もLGの人も抜群に優秀でガッツがある。
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