ベストセラーの著者に牛乳業界が質問状 有害の根拠示せ(asahi.com) 太字オレ
2007年03月28日 12時36分ベストセラー「病気にならない生き方」(サンマーク出版)で、著者の新谷弘実氏が「牛乳を飲み過ぎると骨粗鬆症(こつそしょうしょう)にな る」などと書 いていることに対し、日本酪農乳業協会がつくる学識者の団体が、新谷氏に「科学的根拠を示してほしい」との質問状を出した。
28日付で質問状を出したのは、牛乳に関する知識普及のため、日本酪農乳業協会が栄養学などの専門家16人を組 織した「牛乳乳製品健康科学会議」(会長・折茂肇健康科学大学長)。
「病気にならない生き方」は、内視鏡外科医として日米両国で活動する新谷氏が、自らの臨床経験から導き出したと いう健康法を説いた本で、130万部を超 える。この中で新谷氏は「牛乳ほど消化の悪い食べものはない」「人間が食物とするにはふさわしくない」などと述べている。
同会議は「主張の科学的根拠に大きな疑問を持っている」と、牛乳・乳製品の摂取増加が閉経後の骨量減少を抑える という論文を挙げたり、 牛肉や卵より優れている牛乳のたんぱく質の消化率を引用したりと根拠を示しながら、8項目にわたり反論。新谷氏に主張の科学的根拠を示すよう求めている。 回答期限は4月末。
日本酪農乳業協会の消費動向調査によると、「牛乳を全く飲まない」人の割合は過去19年10%前後で推移してきたが、06年は 13・7%と急増。理由は調査中だが「この本も一つに考えられる」という。
ちがう。この戦法では対手の思うツボだ。
新谷弘実で検索すると、一位に出て来るのはド クター新谷(Dr.shinya)公式サイトだ。
良い水、正しい排泄、正しい呼吸法、適切な運動、休息、睡眠、幸福感、疑うべくも無いうつくしい言葉が円形に配置されている。
そして円の最上辺、もっとも目線の合いやすい画面中央部に「良い食事とサプリメント」。
なぜかサ プリメント。 このコトバだけが7つの円に配された中で異彩を放っている。
ここで「は?」と思うか「おお!」と思うかが分かれ目だ。
なんのって、その上にあるDrシンヤ 推奨商品販売サイトに視線が流れたときのキモチの。
(もちろん「おお!」と思う人を否定はしません。自由で す)
牛乳論争が沸騰すればするほど、彼の本や健康食品は人々の知るところとなります。
彼が"シニアエグゼクティヴ・ディレクター"を務めるヘルシーウェーブ社のサプリメントに注目が集まるわけです。
論争のまとでもなんでも、知ってもらえれば売るチャンスがあるわけです。
"紫黒米に秘められた脅威のパワー" とか、"納豆から生まれたなめらかパワー" とか、"選び抜かれた16種類の乳 酸菌が作り 出すハーモニー" とか。
字面を眺めているだけで充分健康になれそうです。
論戦はタダで宣伝してやるようなものです。
議論が沸騰するほど、世間の話題になればなるほど、新谷サイドにメリットがあり、牛乳サイドは痛手を負います。
痛手とは、本来 の仕事に割く べき時間をそちらに割かれるという事です。ましてその作業はとても不毛で、苦しいものです。
科学的な決着を見る事は決してありません。
なぜなら何事も断定せず、確定済みの現象さえ 疑い、常にメリットとデメリットを比較考量し続けるのが"科学的態度"というものだからです。
そして、この対手は"科学的態度"を持っていません。
2006/04/29掲載:自 然食はおいしい:牛乳有害説の根拠聞く 新谷さん「臨床データから得た」:MSN毎日インタラクティブ
(元記事 消滅に付き当ブログ内へのリンク)
◆ 日本の栄養学が一番の悪です。カロリー計算が中心で、米国から見ると30年遅れている。そんなものに基づいた食育なんかない方がいい。
仮に牛乳に害があったとしても、それと日本中の栄養士さんの仕事を秤にかけるのは「医師の本分」を外れています。
この人には、科学や医学の知識はあっても資質が無い。持っているのは自分を 高く売る資質。ありていに言えば 香具師、詐話師の才覚です。
誠に申し訳ないのですが仁木良哉さんのような真摯な学者さんをいくら揃えても話が噛み 合う余地が薄く、泥仕合の消耗戦しかありません。
なぜならば。
対手の戦術目標は有名になる事だからです。「牛乳有害論」はそのための手段に過ぎません。
健康の代名詞である「牛乳」に「害がある」というイ ンパクトで選んだだけです。
実際に牛乳に害があろうが無かろうが、対手にとってはどうでも良いのです。
ある程度有名になった段階で、
"私は「牛乳をなくせ」など、存在を否定することは言っていない。要は何ごともやり過ぎはよくないということだ。"
などとたかだかとした態度で言い放つことでしょう。
牛乳有害論争の要諦は洗脳戦 です。
洗脳戦において、科学論争は無益どころか有害ですらあります。
論争の激化・拡大・混乱 こそが対手の戦術目標だからです。
取るべき手段は黙殺。
牛乳の敵を制する武器は、やっ ぱ牛乳でしょ♪
さぁ、 牛乳に相談だ。
補足:
マジです。ギャグではありません。
逆に言えば、牛乳生産者が牛乳に相談しない限り、突破口は拓けません。
なぜならば。牛乳のコエの最善の聞き手は牛乳生産者を置いて他に無いからです。
分野は大違いですが、数年前のゲーム 脳騒ぎの中で、多くの会社が学者さんと共同でゲームが子供に与える影響を調べたりといった事に手を出しました。しかしそれがなんらかの効果があっ たという事例を自分は知りません。
その中で任天堂という会社は完全な沈黙を保ち、数年後に頭が良くなる『脳トレ』というゲームを出しました。一応ちょっとしたブームになっているよ うですが、自分はあれがゲーム脳に対する任天堂の解答だと思っています。しかし、非常に残念な事ながら、「ゲー ム脳」という単語は既に一般に定着し、今もゲーム脳の著者は意気軒昂です。
ゲームとは異なり、牛乳には仁木良哉さんのような「牛乳の理化学的性質の研究に50年近く携わってきた畜
産化学専攻、農学博士」が沢山いらっしゃるのが優位点です。ですからこの優位点を活かして科学論争に持ち込むというのは一見妥当です。畜
産化学・農学の歴史は脳科学よりおおいに古く信頼性も高いですしね。
しかしその一方、極めて一般的な存在であるために、商品としての価値や存在意義が把握しづらいところに隙があります。ゲームに比べれば生産者の人が「世
の中で求められている牛乳ってどんなものだろう?」と考えている時間は短いのではないでしょうか?本文中でおもわず「牛乳」を健康の代名詞と書きました
が、逆にそれ以上のコトバが出てきません。自分は「牛乳」を脳内で「健康の代名詞」とだけラベリングして、それ以上考えた経験が無いという事です。生産者
でない限りは、おそらく多くの人がそうでしょう。それだけに「害がある」という説のインパクトは巨大です。
重ね重ね仁木良哉さんには申し訳ないのですが、害があろうが無かろうが、対手にとっては大した問題ではないのです。アレはインパクトで常識にケタ グリをかけ、よろけた拍子に財布の紐をゆるませるというセールストークに過ぎません。
牛乳有害論が目立っている真の原因は、その新奇性、娯楽性です。
それを打ち消すには、人々のアタマからそれを消し去る新奇性、娯楽性が必要です。牛乳の場合は、味でしょうか?
できれば低温殺菌牛乳の低コスト化に取り組んで頂けると嬉しいんですけどね。ぜったい旨いアレわ。
いまあるよりも旨い牛乳、いまあるよりも鮮度の高い牛乳、「うお、なんじゃこら旨ぇ!!」と言わせる牛乳を人々の口に注ぎこまないかぎり、勝ちはありま
せん。
あいまいなXX有害論に対するもっとも有効な撃滅策はXXそれ自身です。
宮本茂も宮崎駿も
手塚治虫も夏目漱石も十返
舎一九も近松門左衛門もそしておそらくは観阿弥世阿弥も出雲阿国も、みんなみんな、最終的には自分の作品で無責任な無教養者どもを唸
らせ、そして黙らせたので
す。
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