妖精が見つからない、だって?
ばかを言っちゃ、いけない。きみに用があるなら、こっちから会いに行くさ。
きみが用があるとき、いつでもボクを呼び出せるようにしろ? ボクのからだに発信器(タグ)を埋め込み、いつでもどこにいるか分かるようにしろ? 交流関 係をすべて洗い出せ?
まあ分からないでもないさ、せいぜい100年か200年で儚く消えるきみたち有肉種にとっては、時間コストが重要なんだ。
きみたちは森を拓き、案内板と標識が完備された美しい公園を作ろうとしている。ボクたちは、原生林にひそんでいる。森の奥に…。ひんやりと湿った空気のな かに、かすかに苦み走った樹脂のにおい。うっとりするような飴色の光。夢のような葉ずれの音。甘ずっぱいのは土の上で朽ちてゆく落ち葉のにおい。
きみたちは分析し、分類し、定義する。どんなに詳しくまとめても、そして、それはいつもこぼれ落ちる…。
更新が時間順でない? 最新の記事が突然消えたり、過去の記事がいつのまにか伸びている? 妖精は変てこで、何でもあべこべにやるのが好きなのさ!
どこに何があるか分かりにくい、だって? ねえ人間さん、ここは人間の森ではないのですよ。においをかぎつけた虫が隠れた蜜を堪能しているうちに、ひそか に花粉を運ばせる。花が見えない者に花は運べない。
分からないならお呼びじゃないのさ! さあ、帰った、帰った。運命の女神が望むなら、きみはボクを見つけ、ボクはきみを見つけるだろうから。
花じゃないよ。花でも、ボクでもないよ。