UNIX/Linuxとはなんぞや。と思ってもなかなか掴みどころが無い。雑誌とか見てもどれが使える情報なのやら見分け難い(ど素人マカー向けの*nix雑誌なんて無いしねぇ)。Divxと3ivxとXvidでわけわかめになった時の経験から、歴史を調べてみた。
UNIX
1973に誕生
当初からマルチユーザー・マルチタスクのOSとして作られた。
それ以前のOSは、大型コンピュータに繋がった多数の端末が要求するタスクを順番に処理するものだった(バッチ処理)。
UNIXにより、それらを同時に処理できるようになった。
これに先行して、MulticsというMIT・ベル研究所・GEの共同プロジェクトが失敗している。
Multicsの解散後、独自に開発を続けたベル研がDEC社のミニコン「PDP-7」で稼働するUNICS(1969,アセンブラで記述)を開発した。
UNIXはこれを「PDP-11/45」用にC言語で書き直したもの。
なお、C言語はこのUNIXを作る目的で開発された。
※ところで、PDP-11とそこで稼働する「コンピュータ・スペース」というゲームはビデオゲームの歴史ではちょいと外せない。
70年代のUNIX
1)ソース・ライセンスによる普及
ベル研の母体であるAT&Tは独禁法によりコンピュータ事業への参入を禁止されていため、開発を続ける一方で全米の大学へ無償でソース・ライセンスを与えた。
2)いろいろなUNIXの誕生
これらの大学はそれぞれに独自の改良を加え、「いろいろ
なUNIXの方言」ができた。そのひとつがBSD(バークレー・システム・ディストリビューション)。成果としては、C Shell、vi(テキストエディタ)、TCP/IPなど。
※「無いものは自分で作る」「成果を公開する」といったオープンソース文化の源流はこのへんにあるらしい。これはハッキリ言えば「開発に貢献しない(する意思の無い)ものは相手にしない」という事でもある。
※BSDの開発にはビル・ジョイ(SUNの偉い人)が大学院生として参加してい
る。
80年代のUNIX
1)商用UNIXの登場
AT&Tは会社分割によりコンピュータ事業への参入が可能になり、UNIXのソース・ライセンス事業を開始した。設計図の販売とでも思えば良いだろう。これ基づいて改良した「独自のUNIX」を販売する会社が登場(IBMのAIX、HPのHP-UXなど。SGIのIRIXはもうちょっと後かも)。
2)UNIX搭載ワークステーション
CPUの性能向上により、より小規模で安価なコンピュータへの搭載が可能になった(SUN, Solaris)。SUNはBSD系だったので、BSD系に親しむ人が増える。
3)POSIX(標準API)の制定
これら「独自のUNIX」間でのポータビリティ(アプリの移植性)に問題が生じたため、UNIX互換OS標準のAPIが必要になった。
※MS-DOS登場もこの時期。当時のパソコンにとってUNIXは重すぎた(蟻の上の象)ため、Baby UNIXとも呼ばれる。DOSからのフィードバックはUNIXの進化に大きく貢献。
90年代のUNIX
1)GUIの実現
X Window System(MIT)登場。これも互換性維持の為にCDE(Common Desktop Enviroment)というものがある、らしい。MacやWindowsのようなものでは無く、GUIを実現するための土台のようなもの。X Window Systemの上にウィンドウやボタンなどの「部品」を別に集めて来てGUI環境を作る必要がある。市販OSではこれらの「部品」は作り付けになっている(WinXPはカーネルに、Mac OSXはカーネルの上のAquaに)。
2)UNIX互換のフリーOSの登場。
Linux、FreeBSDなど。これらはソースコードのレベルではベル研の流れを汲んだものではなく、API互換。中でもLinuxの開発体制はバ
ザールモデルと呼ばれ、オープンソース界だけでなく、ビジネス界にも影響を与えた。
※MacではX11。この上に適切な「部品」を積み重ねていけば様々なGUI環境が構築できる。らしい。Nextっぽいのが簡単そうだったので一個試したが後で死兆星を見た。なんつうか、TVのチャンネルが混信してるような不思議なデスクトップになった。びみょ~。
2000年代のUNIX
1)統合デスクトップ環境の整備が進む。
X Window System、CDEをベースとしたgnome, KDEなど。
CDEでお好みのデスクトップ環境を!っても面倒なので、一通りの機能が揃ったセットができた。Look&FeelはWin的だが、CDEベースだけにカスタマイズの余地は大きいようだ。
2)ディストリビューションの配布が盛んになる。
GUI OSの基本的な機能に加え、メールとかブラウザとか、一通りのアプリケーションを備えたもの。
アプリを厳選したシンプルなものから、カーネルのビルドから始めるものまで、様々。
PowerPC MacではYellow Dog Linux, Ubuntuあたりが手を出しやすいと思われ。
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