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記事番号:175

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こ のエントリは旧ブログの焼き直しです。

◆ 印刷機の発明後、著者の知らないところで勝手に本を印刷して売ったり、他社の売れス ジを勝手に印刷して売ったりが「ふつう」な時代が長くあった。
 よく考えると、写本の時代には著作権もへったくれもあっ たもん じゃないもんな。その流れらしいです。写本を作るのはすげぇ手間ですし、それ以外に複製を作る手段もなかったわけですから、むしろ複製を作ってくれてあり がとうってな感じだったのでしょう。
 太古の昔からDRMやコピワンがあったら三国志も史記も古事記も 魏志倭人伝も聖書も死海文書も残ってはいません。価値のあるものは勝手にコピーされて残り、そうでもないものは残らない。価値があるものとはなんぞや、を 誰かが決めたわけではありません。それを手にした一人一人が自分で考え、自分で決めてきた結果です。

◆印刷機は巨大な装置産業だったので、莫大な投資が必要 だった
 16世紀頃に成立した印刷業は急激に成長した。高価だった「本」の価格は大幅に下がり、庶民の知識欲や情報欲を満たした。フォントも写本のねだんにふさ わし い重々しいものではな く、軽い印象のある、読み易いものが工夫された(イタリック)。装丁も写本のねだんにふさわしく専用の書見台を必要とするような巨大 なものではなく、安 く、持ち歩きすらできるようなものが工夫された。情報の大衆化である。
  宗教改革に伴う教会の影響力低下もあって(原因は印刷聖書そのものだ)、コンテント の内容も幅広 かった。有り体に言えばエロかった。心ある人々は「印刷本はからっぽの洞窟」と嘆いた事だろう。少なくとも自分には"デカメロン"と"週刊実話"の区別が 付かない。エロエロっす。

 さて、本が売れるのはイイが写本時代の感覚で他社に同じ内容をバンバン刷られたら持たない。印刷機の月賦が払えない。という事に気付いた印刷会社の面 々は多いに悩んだが、あるとき、賢い人がヒラメいた(参考)。「複 製を作る権利」ってのがある事にしたらどうか?出版社が本を書いた人から「複 製を作る権利」を買って、それを持ってない会社は印刷しちゃイケナイ事にしたらどうだ!?。でも世の中の意識は写本時代の ままだ から反対も大きかった。知識は独占するものじゃ無い!そんなのは悪い事だ!。でも出版社がみんな共倒れになったら誰がみんなの知識欲や情報欲を満たしてく れるの?無いでしょ他に?もう印刷本の無い世界には戻れないよ?と、いうような論争の果てに、あいだを取って「複 製を作る権利」はある!でも一定期間で消滅する!って事になった。

 これがコピーライト(著作権)のはじまりです。
 当時の人たちは、それが世の中の大多数の知識欲や情報欲を満たす為の望み得る最善と考えたわけです。

 おかげ で、すぐれた文章を書ける人は、大勢の人を喜ばせる文章や、大勢の人の役に立つ文章を書いて、沢山のひとから少しずつお金を貰って暮らしてゆけるように なった。それ以前の時代、すぐれた文章を書ける人は、自分の書くものを気に入ってくれるお金持ちを見つけて、その人の結婚式を祝う詩を書いたり、その人の 子供の家庭教師になったりして暮らしてゆくものだった。「作家」とか「作品」というコトバのイメージは、この時代の前と後ではかなり の違いがあります。

 このように、あたらしい技術というものは、人間の社会を大きく変えてしまう事があります。

◆ 「著作権」は別に絶対正義でも天賦人権でも無い。社会的必要に応じて 変わるもの。
  「著作権」と漢字で書くとなにか人を平伏させる効果があるが、もとを辿ればなんのことはない「印刷業者が複製を作る権利」。ドライでビジネスライクなもの だ。「作家にとっては著作とは血を分けた子供のようなもの」というキモチは解らないでもないが、そのキモチ自体が、数百年も続いたパラダイムが作った脳内 ファンタジーかもしれない。自分も同じ脳内ファンタジーは持っているのでそのキモチは尊重したく思うのだけど、100年後には形が代わっている可能性が大 きいと思う。

 なぜならば。

 もし誰かが「お前のブログはオレの著作権を侵害してるから削除しる!」って言って来ても、自分は名前変えてどっかよそにバックアップ書き戻すだけだと思 う。 まぁ、そん時になってみなきゃ解らないですが。少なくとも自分にはそれが出来る。その手段がある。そういうあたらしい技術が今は誰にでも、使えるから。

  逆にここに書いてある文章(大したもんじゃないです、はい。大したもん書ける人はブログなんか書きません)を誰がどんなふうに使おうが、おいらにはソレ を止める事など不可能です。「コピーを作る能力」はここを見る人の全員が持っている。少なくともあなたにはそれが出来る。その手段がある。そういう あたらしい技術が今は誰にでも、使えるから。

 あたらしい「世の中の大多数の知識欲や情報欲を満たす為の望み得る最善」を、頑張って考えないといけないような気がします。

◆「聖書は写本で読むものです。印刷などという邪悪な世界に引き込まないでくれたまえ」
 と、言った人が居たかどうかは知らないが、印刷技術の前 までは、写本を生業とする修道院が結構あった事はほんとう。
  彼らの作る本は事務机のように巨大で、表紙は貴金属の透かし彫りで覆われ、中を開けば一字一 字丁寧に、華麗な装飾フォントで、書かれるというよりも、むしろ描かれているものだった。教会のステンドグラスの明かりの下で ページをめくったりなんかした日にゃあ、まさに感動度250%だっただろう。

 写本職人(修道僧)さんたち が特に強欲だったりなにかの腐敗の温床だった、という事は無いと思う。ほとんどの人たちは真面目に、より美しい写本を作る事に精を出していたはず。たんに 彼らの職業生活を守る事が「社会全体にとってベスト」ではなくなってしまっただけだ。印刷機の発明に よって。
 今でもその手の修道院は写本の技術とともに残っている。文化としてなのか、堅実な産業としてなのかは深入りしてない。

  ついでながら、歴史の教科書では腐敗の代名詞という事になっているローマ法王庁は、 反動宗教改革という自 己改革を断行して生き残りました。改革派が主導権掌握に当たって選んだ戦術は神学論争では無く、未開社会での信者大量獲得。エースの名をフランシスコ・ザ ビエ ルと言います。

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    2007年02月20日(火), しっぽのブログ

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