世界情報通信サミット2000:セッション1 -「モバイルとデジタル家電が拓く新ビジネス」たぶん、現在に至 るまでずっとそのままなのでしょう。
※ 太字オレ。勝手に縮めてあります。発言者のみなさんすいません。
池田信夫このインターネットから孤立した方式でデジタル放送が始まると、日 本は世界から取り残されるでしょう。古川 享「古川君、インターネットのような邪 悪なものを放送の世界に持ち込まないでくれたまえ」とまで発言された方もおりました。池 田 信夫日本の 放送業界の既得権益にしがみつく排他的な態度は、かつての金融業界を思わせます。鈴 木 寛放 送と通信の融合に遅れたら、折角、携帯でかなり、盛り返した日本の情報化がまた、10年遅れてしまうと 思います。中村 伊知哉鈴木さんは10年と控え目におっ しゃったけど、テレビとインターネットの結合に失敗したら、日本の情報化は死ぬと思います。
日 本のコンテントの中核をなすテレビ番組をインターネットで流れるようにすること。使いやすい電波帯をテレビ携帯PCなどあ らゆる端末で使える太いデジタル回線にすること。
こういう筋を形づくるのは「政 治」の役割だと思うんですが。「行政」が利害調整をしているうちはスカッと打開できない。どっ ちもダメなら「ネット」の力、かな?
ブルーレイは大好きだがコピーワンスは大嫌い(ITmedia ライフスタイル:2004/10/06)
※太字原文ママ
「私はディスクを踏んで割ってしまうということがよくあるので、大切なコンテンツのバックアップを取れないのは辛い。画質が向上するとユーザーが不便になるというのは絶対におかしい」
麻倉氏がこのような話をある会合で語った時に、とある在京キー局の人がこう語ったという。
「放送は生で見るものです。アサクラさん」
「コピーワンスは、もしかしてエアチェックする気をなくさせるのが目的ですか?との質問に対して、在京キー局の人は『まさしくその通り』と答えて非常に驚いた。こういうことをいっているのだから、ハイビジョン時代になっても放送局の体質は全然変わっていない」
放送・通信の在り方に関する、私見その9(古川亨ブログ:2006年6月16日)
それに対して、1080i擁護派は、「1080iが優れた方式で、議論の余地は無い、プログレッシブの話をするなら帰れ!!」(実際に砧の某研究所で当時の所長に言われた言葉ですが...今の所長さん(E並氏)はとても紳士ですので、私は尊敬しております。決して誤解のないように)郵政省の会合でも何度となく放送のプロ達に諭(さと)されたものです。「君はPC業界に都合の良い方向へ持っていこうとしてるんでしょ」「崇高な放送の世界を邪悪な世界に引き込もうとしている」と..多くの人が同席する会議の場で私は名指しで糾弾されたものです。
将来のデジタル放送の規格に720pは絶対入れないという強い意思とあらゆる活動は「1080iと720pを併記したらどうか」と主張する陣営を徹底的に痛めつけました。
名称 | 画質 | 視聴コスト | 情報 選択の自由 |
情報 蓄積の自由 |
情報 電送の自由 |
---|---|---|---|---|---|
地上波アナログ放送 | ◎ | ◎ | X | X | X |
地上波デジタル放送 | ◎◎◎ | ◎ | X | XXX | XXX |
動画共有サービス | X | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
HDレコーダ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | X |
Mac or Win + iTMS/iTunes/iPod/Apple TV | X | X | △ | ◎ | △ |
HDレコーダ + ロケーションフリー | △ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
Win + Slingbox | △ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
わたしはこの ニュースをこの人に教えてあげたひ。仏 2少女、マンガの国あこがれ日本向け家出 警察に保護 - 国際(asahi.com: 2006年7月頃) ※元記事消滅
日本の漫画やロックに魅せられたパリ郊外に住む16歳の少女2人があこがれの日本を目指して家出。鉄道を乗り継ぎポーランドにたどり着いたところで警察に 保護された。
陸路ロシアを横断し、船で日本に渡る計画を立てていたが、経由国でビザ(査証)が必要だとは知らなかったという。仏紙リベラシオンが報じた。
同じ学校に通う2人は日本の忍者マンガ「NARUTO」や少女マンガ「ピーチガール」、日本のビジュアル系ロックの大ファン。「文化 から生活スタイルまで 何もかもがあこがれ」の日本に行こうと思い立った。
朝鮮半島までの陸路は鉄道を乗り継ぎ、「海は船で渡ろう」と計画。6月22日にわずかな現金と携帯電話、携帯オーディオプレーヤー、 漫画本を持って出発。 ベルギー、ドイツを経由し、25日にポーランドからビザ無しでベラルーシに出国しようとしたところで国境警察に拘束されたという。
フランスでは日本のアニメやコスプレ、Jポップが若者に絶大な人気で「オタク」「カワイイ」は仏語として定着。7月7~9日にパリ郊 外で開かれる日本の漫 画やアニメなど日本文化の紹介イベント「ジャパン・エキスポ」には6万人の人出が予想されている。
ところでシ ベリア鉄道は1904年9月に全線開通してました。従って、行動力の源泉となる「脳内あこがれ密度」は こうなります。
ふらんすへ行きたしと思へども
ふらんすはあまりに遠し
せめては新しき背廣をきて
きままなる旅にいでてみん。
汽車が山道をゆくとき
みづいろの窓によりかかりて
われひとりうれしきことをおもはむ
五月の朝のしののめ
うら若草のもえいづる心まかせに。
米国 | 世界平均 | 日本 |
---|---|---|
4.70% | 3.15% | 2.66% |
インターネットでコンテンツを入手したいというユーザーニーズの取り込みに失敗した音楽業界の前 例に留意すべきだと公言し、Slingboxの ような小さな(しかし独創的な)会社と協調して います。
平成17年2月、コンテンツ産業の現状と課題(pdf直接リン)要するに、テレビ局の支配力 がでかすぎると言っています。それが日本のコンテンツ産業の収益性を阻んでいると。そしてコンテンツ自体の価値を創造する人 々に版権を持たせろと。
- 映画配給会社、テレビ放送局などのコンテンツ流通部 門が寡占的傾向にある中で、コンテンツの制作事業者は、制作資金調達、マーケティ ング等において流通事業者に大きく依存せざるを得ない状況にある。このため、コンテンツ産業では付加価値の多くを流通事業者が取得する構造にあり、コ ンテ ンツ自体の価値を創造する生産部門が必ずしも成果に応じたリターンを得られていない状況にある(P17)
- 我 が国番組のほとんどは資金提供者が権利を確保することが多く、製作会社による二次利用の機会が有効に活用されていない状 況。一部少 数の二次利用展開の成功モデルのほとんどは、製作会社が権利を管理するパターン(例「ドラえもん」「ポケットモンスター」)(P19)
「アニメーション産業の現状と課題(経産省の検索ページへ)」意訳すると「阿漕な商売しとったら承知せんぞゴルァ!」 といったところでしょうか。
※ 太字&下線は原文ママ。
7. 経済産業省のアニメーション産業に関する施策
- 独 占禁止法体系の厳格な運用による放送局のプロダクションに対する優越的地位の濫用の防止
- 金 融機関からの資金調達環境の整備 (コンテンツファイナンス研究会の開催等)によるプロダクションの自立支援
- 海 外の配給会社やブロードバンド等、キー 局以外の流通出口を活用したビジネスモデルの促進
米国 | 世界平均 | 日本 |
---|---|---|
4.70% | 3.15% | 2.66% |
政府の知的財産戦略本部(本部長・安 倍首相)は、音楽や映像を違法コピーした「海賊版」をインターネット上からダウンロードすることを全面的に禁止する 著作権法改正に着手する。27日に開く知財本部コンテンツ専門調査会に事務局案を提案。罰則も設け、08年通常国会に提出をめざしている改正案に盛り込 む。海外でも人気が高い日本のマンガやアニメなどの権利保護を強め、コンテンツ産業の育成を促す狙いがある。
現行の著作権法では、著作権者の承諾なしに複製したコンテンツをネット上に流すことは違法だが、違法コピーをダ ウンロードしても、個人で利用する限りは著作権の侵害とはならない。このため、ネット上で違法コピーを入手する行為が横行しても、規制するのは極めて困難 だ。
政府は「世界トップクラスのコンテンツ大国を実現する」との方針を掲げ、アニメや映画、ゲーム、音楽、出版など のコンテンツ産業の市場規模を、2010年までに15兆円にしたいとの目標を04年に設定している。
知財本部は、現状を放置すれば正規のコンテンツの買い手が減り、正当な利益を得られない制作者が創作意欲を失い かねないと判断。海賊版のダウンロードが違法であることを明確にすることでその流通を減らし、コンテンツ産業を成長分野に育てたい考えだ。
Apple TVの登場で「TVの横戦線」の役者は全て出揃った。
とりあえず、光ディスクに代わる映像フォーマット争いは、iPod系MP4 vs. PS3系MP4という事になりそうだ。
え?地デジ?うんスキだよフルスペック・ハイビジョンパネル。インタレ縞が見やすくて!
「パソコン・携帯デバイス・TVの横を1ファイルで使い回す」が問題なら、期待し得る最善画質はこうなる。
iPod系MP4 ( iTMS / iTunes / iPod / iPhone / Apple TV) |
PS3系MP4 ( Win / PSP / PS3 ) |
|
---|---|---|
HD | N/A | N/A |
SD | 640x480 | 720/480 |
bitrate | 1.5Mbps | 10Mbps(参考) 3Mbps@Peak4Mbps(2ch) |
Profile | H.264 Baseline Low-Complexity profile (Apple 独自) |
Main (CABAC有) |
Level | 不詳 (1.3?) |
3 (2ch) |
複数参照 | × | 3 (2ch) |
Bフレーム | × | 3 (2ch) |
SAR指定 | × | ◎ |
インターレースド | × | ◎ |
画質はPS3系が圧倒的だ。持ってないけど。ざっと符号化ツール見ればわかる。てゆうかPSPアタマおかしい。ハードディスクとTV出力端子付き出 しちゃえ!。
Apple TV専用ならVGAでももっと高度な符号化ツールが使えるが、それでもPS3系に劣る。
OS X ハッキング!第220回iPod兼Apple TVなH.264ムービーについて考える(海上忍さん - 2007/3/30)
そのApple TVが対応するH.264のスペックは、最 大 1280×720ピクセ ル / 24fps / 5MbpsというHD品質(ADCのTechnical Note TN2188 を参照)。一方でiPodが対応する最大スペックは、 640×480 / 30fps / 1.5Mbps。 (*中略)VGA品質 が最適解ということになるはずだ。
海上さんの記事では設定参考として「ムービーからMPEG-4」で1000kbpsが示されているが、上記のTN2188 を読んでみた範囲では、iPodの搭載メ モリに合わせたピークビットレート制限が重くのしかかる。ムービー全体でのbit再配分が旨くいかなければマルチパスの意味も薄い。
一方解り易さ、単純さではiPod系が圧倒的だ。持ってないけど。何しろPSP用は携帯動画変換君のini書き換えてメモステ買ってどこにどんな名前で 配置して~って感じ。agehaにオリジナル無し
追記
Engadget Japanese http://japanese.engadget.com/2007/04/02/emi-jobs-drm/成功を祈り、他社が追随する事に期待したい。
Q:違法コピー歓迎ということか?
Eric(*EMIのエリック・ニコリCEO):違う。われわれは「消費者を信用する」立場をとる。一部に は残念な行為もあるだろう。われわれの狙いは最善の音楽体験を提供することで販売を伸ばすこと。
Engadget Japanese http://japanese.engadget.com/2007/04/02/emi-jobs-drm/映画の「社会適応」は音楽より強い。製作コストが段違いなだけに既存の保護法制も手厚い。この流れが映画まで波及するかどうかはまだなんとも言い難いの だが、
Q:(ジョブズが個人筆頭株主である) ディズニーのビデオなどはDRMフリーで提供されるのか?
ジョブズ:「今日はその質問をされると思っていた」。ビデオは音楽とは違い、流通の90%がDRMフリー (CD)だったことはない。音楽と同等には考えていない。
agehaにオリジナルなんか無いって
監督:Kevin Munroe(TMNT)。
Imagi StudioがCGアニメで参加する新しい映画がロングランアニメ「ガッチャマン」を2008年に映画館に持ち込みます。
オリジナルのガッチャマンは、国際科学機構に雇われた5人の若いスーパーヒーロー忍者が、地球の資源の支配を企む科学的に進んだ「ギャラクター」として知られるワルモノと戦う話です。忍者たちは稀少資源を狙うギャラクターのさまざまな巨大モンスターと戦います。
監督:Kevin Munroeのコメント:「子供のころ、ガッチャマンは私をアニメーションとコミックと執筆に向かわせた最初の影響だった。ガッチャマンの素晴らしい冒険を大きなスクリーンに持ち込むチャンスを得て、私はほんとうに興奮しています。5人のティーンエイジャーが地球のヒーローとなる中で巻き起こるスゴいアクションとホンモノの人間ドラマは、本来そこ(映画館の大きなスクリーン)にあるべきものです。子供の頃の夢がかなったんだ!」
1970年代初期にタツノコプロダクションが作ったガッチャマンは205を超えるTVエピソード、一つのフィーチャーフィルム(映画?)で30年以上のあいだ、世界中の"ガッチャマニアック"なファンを大いに喜ばせました。ガッチャマンではLynne Southerlandがプロデューサーを、Mark Tarboxがラインプロデューサーを務めます。
//IMAGIは香港のCGI製作会社。東京にはサテライトオフィス、LAに開発拠点(?)がある。2007年3月公開のTeenage Mutant Ninja Turtles(TMNT)のCGIを担当。
[2007-04-10]日活、タツノコプロの人気アニメーション『ヤッターマン』と『科学忍者隊ガッチャマン』の実写映画化決定(インデックス)との関連性は解りません。監督名が違うから併行か、よくある企画段階のハナシなのかも。
2007/06/17追記ハリウッド版ガッチャマン 脚本担当決定(6/16)(アニメのニュースと情報)という記事の中に"香港のイマージ・アニメーション・スタジオ"という文言がある。
//ガッチャマンとかキャシャーンとか、あのへんの古いタツノコプロの特徴を一言で言うと、
『斜陽の映画産業から流れて来た脚本家』
ご当人たちは「ホンで飯喰えればなんでもいい」というカンジだったらしいが、だからってガキむけの予定調和なんか書いてられっかくぬやろドラマってもんわなぁ、、、ドラマってもんわなぁッ!!という部分を矯められるわけもなく、ひらたくいえばガキにんなもん見せんなやゴルァ!!という救いの無いエピソードあり~の、ぜってー子供の事なんか考えねぇで好きなもん書いただけだろオマエみてぇなエピソードあり~の、、、。
それに「ずぎゃ~ん!」とやられちまったガキが、どういうわけか世界中に居る。
// 30年前の海外のTV番組買い付け担当者が「こりゃスゴい!!」と思って買ったわけがない。
「アニメ」は視聴率が取れる。実写より手が掛かってるカンジがするからだ。
実際に手が掛かる。従って通常は実写番組より高い。
ところが、相場からするとやたらに安くで売ってくれる国があった。
見てみると、まぁアニメと呼べない事も無いデキだがなにしろ二束三文だ。埋め草番組にしたって効率がいい。
というのが世界中のTV局に日本アニメが売れたほんとうの理由。
70年代後半からアナログCATVで多チャンネル化が一挙に進行した北米では、特に「埋め草需要」は激しかった。
もともと国営放送と1~2社くらいしかTV局の無かったEUでも後を追う形で多チャンネル化が進行し、ここでも「埋め草需要」が沸騰した。
その間、在京キー局6個という世界に例を見ない多局体制を誇る日本は(ホレ、アメリカだって三大ネットワークっていうでしょ?)、
世界の「埋め草アニメ」供給源でありつづけた。
つまり、日本アニメが世界で流行った原因は、ダンピングにほかならない。
その秘訣はスポンサーが払う1億円の番組製作費のうち、製作会社に回るのが800万円という、簒奪構造にある。
「本来の価値の創造者」に正当な報酬が渡らず、権利取得もままならないとあってはそう呼んでも構わないと思う。
子供の頃から浴びるほど日本アニメを見続けていれば、当然慣れる。
そして、その中から良いモノとそうでもないものを分類する能力を身につける。それが教養というものだ。
身につけた「アニメの教養」を映像に活かしたいと想うオトナ達はいまや世界中に居る。
彼らの選択肢は四つ。
1.の国際競争力が維持できる理由が無い。
マスの動きには必ず経済要因がある。
この点で3.および4.の産業政策は極めて興味深い。恐らくは、徹底した業界構造分析の上に戦略を立案している。
それがインテリジェンスと言うものだ。成果は10年を待たず誰の目にも明らかになるだろう。
DRムービーのアニメに下請けで参加する国内スタジオが出てから騒いでも遅い。
「製作会社が、自力で作品をつくれるほどの資本蓄積が出来ない構造(*1)」に目を向けるのが先だ。
国内にはここから人々の意識を逸らすミームが二つある。
ひとつは嫌韓嫌中。好き嫌いは個人の自由だが判断を曇らせる。民族性は経済や機械の性能や作品の善し悪しとは全く関係が無い。
もうひとつは「じゃぱにめーしょんのつよみ」に鳥獣戯画とか日本の伝統文化とか日本人独自の感性とやらをもってくる意見。
こっちは脳みそ膿んでんぢゃねぇの?と思う。
もしそれが「世界に優れた」ものなら、鳥獣戯画が勘合貿易の主要輸出品目(*2)に乗ってないのはなぜだ?。
そもそもラスコー洞窟壁画からこっち「絵画ベースのエンターテインメントを持たない文明」って歴史上いくつあるのさ?
いずれも、1.の改革から目を逸らし(*3)、構造改革の意識浸透を阻害し、国際競争力劣化を加速し、国益を損ねる。
他の効果はない。
世界のデジタルテレビ方式(地上波)
紺・青はEU方式、緑はアメリカ方式、黄土色は中国方式(予定)、ピンクが日本の地上波デジタル・ハイビジョン。
自分はこの図を見て、日本のテレビ技術は世界市場を失ったと思いました。「日本製だから性能が悪い」が世界の常識となるまで、10年とかからないでしょう。
以下の記事は、日経ビジネスオンラインの『誰のためのデジタル放送か?」(前編、後編)を中心にweb上の情報を切り貼りしたものです。目標は、地上波デジタル放送の諸問題のリストアップ。簡易なものですし、特に裏取りもしてません。著作権上問題がある場合はコメント欄にてお知らせ下さい。
地デジにまつわるさまざまな厄介事は構造問題。これを生んだものは、放送免許制が生んだ閉鎖市場。
ひらたく言えば「古い自民党」。抽象的には、民主的手続きの欠如、不足する経済成長ビジョン、過剰な利益誘導政治、などなどなど。具体的には、大量の地方局が既得権益化・圧力団体化し、族議員を通して政策マシーンに影響を与えている(業界団体、兼公益法人、兼官庁組織)。メディア資本による洗脳戦が、これに拍車をかける(テレビ局および系列新聞・MSM)。
これらによる複合汚染の結果、放送市場では競争原理が有効に機能せず、イノベーションに向かう動機が無い。
したがって、課題は構造改革。たとえば郵政改革に匹敵する作業が必要だ。
手をこまねいて地デジを受け入れれば、情報革命どころか、日本そのものが三等国家に成り下がる。
アメリカのTV局はインター ネットの活用方法を探り始めています(事例
1,
2,
3,
4)。
とくにCBSの最高経営責任者は、インターネットでコンテンツを入手したいというユーザーニーズの取り込みに失敗した音楽業界の前例に留意すべきだ
と公言し、Slingboxのような小さな(しかし独創的な)会社と協調しています。なかなか巧くは行っていないようですが、YouTubeとの提携にも積極的です。
一方、日本のTV局は、コピワンで視聴者の利便性を下げ、YouTubeを監視する部署を作り、録画NetやまねきTVのような小さな(しかし独創的な)会社を訴えるなど、敵対的な動きを強める一方です。
そこに巨大な需要がある事は確実なのに、手をこまねいて「自分以外」の非を鳴らすだけ、というのは当事者能力を欠いています。「放送は生で見るものです。アサクラさん」とか、「崇高な放送の世界を邪悪な世界に引き込もうとしている」てのは商売人の台詞というよりは、むしろ「印刷聖書には神の祝福が無い。手にする者は破門!」てのに近いでしょう。
人間はだれでも「わたしのいうとおりにしなさい」を原則に行動するものですが、通常はなんらかの力で威圧したり、利便性を提供したり、倫理観で裏打ちしたりとミックスするものです。組み合わせのバランスが悪いと通りが悪くなり、非難されたり売り上げが落ちたり権威が減退したり学校で無視されたり、します。
特に、競争相手のいない市場では、このバランスを意識する事が困難になりがちです。自分の利便性が相対的に落ちている事に気付くのが遅れ、倫理的な主張だけを強化してさらに支持を失うといった悪循環に陥りがちです。例えば、アメリカの自動車産業(80年代)や、日本の半導体産業(90年代)は、外国メーカーにそんなに安く売るなんて良く無いと文句を言って回ったものです。その後、いずれの業界も代償を支払う結果になっています。
安定した高収益が入って来る構造には、イノベーションを殺すというデメリットがあります。無風状態のカースト制度の頂点に長く居れば居るほど、外からくる変化にどうしていいかわからなくなるものです。ただの技術革新の事ぢゃないですよ。アタマが固くなり、視野が狭くなるという事です。
総務省が放送区域を県域に限定している事。理由は以下の三つがあげられる。
これは、田中角栄が派閥議員に利権を分配するシステムとして編み出した。地方局の社長は地元選出国会議員と関係が深いケースが多い。
角栄さんって事は元々は、高度経済成長がもたらした「格差社会」を糺すっつうニシキノミハタがある。「カネが無ければあるとこから持ってくれば良い」というストレートな治水灌漑の発想だ。どこもキャッシュフローが真っ赤で当然だろう。折角ひいた水を溜め池においとくだけでは意味が無い。「地域経済活性化のために」全部吐き出してるに違いない。
日本の汚職利権政治家の特徴は、集めたカネをまめに手下にばらまく事。ナニワブシや任侠親分みたいな気風がある。彼らからすれば「市場の原理」こそ私利私欲の権化にみえるだろう。
だが、どんな正義も30年も安住してりゃ腐る。
東京にある放送局が事実上地方局を支配している事。
新聞社が放送局の株式を保有。この結果、MSMが報道できる範囲が狭まる。端的にはクロスオーナーシップの問題点、地デジの問題点などには、構造上、筆先が鈍ると考えられる。
逆にここに着目して、TV局より新聞社を買収してしまえば速いという考え方もあるが、新聞社は一般に「言論の自由を守る為」株式を公開していない(経営状況もわりと不透明だったりする)。
番組の著作権は放送局が持ち、制作会社や制作者には著作権が与えられにくい。 作品の権利を『価値の創造者』であるクリエイタではなく、インフラの保有者が持つ事には様々な弊害がある。
1)経済価値の毀損
コンテンツの潜在価値よりも、自分が保有するインフラの利益最大化を重視してしまう。多メディア展開ビジネスの成功例は『価値の創造者』が権利を保有しているケースが多い(例:ポケモン)。
2)不適切な報酬体系
『価値の創造者』であるクリエイタに成果に応じた報酬が渡りにくい。
記者会見を記者クラブ加盟社が独占
この項、放送利権(wikipedia)ほか
加盟200社。地上波テレビ局はこのうち約130社。さらにそのうち地方局は一県一波政策により約110社にのぼる。
民放連の意向は、キー局からの“補助金”でなんとか成り立っている地方局の利害を反映しやすい。
地方局の経営は、ローカル広告だけでは成り立たないので、系列のキー局や関テレなどの制作側が補填するのだ。地方局は、タダでもらった電波を又貸しし、商品(番組)を供給してもらう上に金までもらえるという、世界一楽な商売である。
池田信夫 blog テレビ業界という格差社会
「地方局炭焼き小屋論」:放送衛星から日本全国にダイレクトに電波が降ってくるようになると、地方局は炭焼き小屋みたいに時代遅れで意味のないものになってしまうと。とにかく衛星放送を止めさせようと運動した。その結果、日本はこの分野で米国よりも10年は遅れてしまった。
米国では地上波は少数派。85%ぐらいの人はケーブルでテレビを見ている。
日本ではケーブルテレビの免許を市町村単位に限ったのでなかなか普及が進まなかった。
・規模の経済が効かない。今でも日本のケーブルテレビは半分ぐらいは赤字。
・そういう状況を作り出したのが特に地方の地上波放送局。競争相手をあらゆる手を使って封じ込めてきた。
キー局は変わることをひたすら拒否するようなバカなことをやっててもしょうがないと思っている。自分たちで制作したコンテンツを持ってるから、それらを様々に再利用するチャンスがある。しかし、そういうことにさえ、地方局からごたごた文句がついてくるわけです。「地方には地方局がある。その頭越しに映像番組を配信されちゃ困る!」ってね。そういう地方局が民放連では多数派だから、キー局が仕切ることができない。国連と同じですよ。大国も1票、小国も1票なんです。
■TV 局がコピープロテクトをかけたいのはどこの国も同じだが、日米ではその決定プロセスに大きな違いがある。
米国では:3年ほど前に同様の議論があった。FCCが、日本よりもずっと緩い制限をかけようと技術条件を提案したところ、大反対が起き、訴訟で潰れた。
日本では:FCC 案よりもはるかに“横暴”なコピーワンスを、視聴者にほとんど何の説明もないまま導入。3年前の4月1日から突然デジタル放送にプロテクトがかかって見えなくなった。「B-CASカード」を挿さないとテレビが見られない。それを事前に知っていて、理解していた人は僅かでNHKには1日に何千件もの苦情と問い合わせの電話が来た。
■コピーワンスの技術仕様を詰めたのは、社団法人電波産業会(ARIB)。
名目上は民間企業が集まって自主的に検討したという形だが、幹部は総務省のOB。実質的に総務省がやらせているのに、形式上はアカウンタビリティー(説明責任)もパブリックコメントも必要ないという、“抜け道”になっている。
テレビはともかく、それ以外のメディアもこの件を問題にしなかった。テレビ局と新聞社は全部系列だから。
■B-CAS(ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ)
顧客情報管理センターに日本全国のテレビと個人の情報を集めている。無料放送でそこまでする必要があるのか(カードを挿しておかなければ放送が見られない)。NHKと民放、メーカーなどが作った会社だが、マスコミの取材に応じようとせず、実態が不透明。こうした会社が、視聴者への説明もなしにB-CASシステムを一方的に押しつける権限はなにか?
■放送が真に「公共の使命」を担っているのなら、こうした意思決定プロセスは不適切。
B-CAS社が個人情報流出をおこした場合、MSMがきちんと報道するかどうか疑問が残る。
この項、ITmediaアンカーデスク:デジタル放送にまつわる、いくつかの裏事情(小寺信良さん: 2005/07/04)より
■デジタル固有の脆弱性
CSデジタル放送が新しいロゴマークを配信したときに、テレビのファームウェアが壊れ、テレビ自体が何も映らなくなったケースがある。
※シャープ:液晶テレビ
■この脆弱なシステムが個人情報を抱えている
デジタル放送対応テレビでは、クレジットカードでのショッピングが可能だが、カード番号を含む個人情報は、テレビ内部にも記録が残る。B-CASカードにも個人情報を記録するエリアがある。個人情報をどこに記録しておくか、またデータをどのように暗号化するかなどの判断に関しては、すべてがメーカーまかせになっており、共通のガイドラインなど存在しない。
また、同メーカーのリモコンを使って、せいぜい4ケタの暗証番号を使えばこの機能にアクセスできる。
さらに、廃棄や譲渡の際には初期化が必要。
このシステムをイマドキWinny使ってるようなレベルよりさらに「デジタル慣れ」していない人々が使う事になる。
※この項、ITmedia +D LifeStyle:デジタルテレビに潜む危険と脆弱性(小寺信良さん: 2005/08/29)より
※あまねくすべての人がサービスを享受できるべき、とする公共サービスの理念。
(災害時には)被災者にとってテレビによる情報提供というのは非常に重要だ。避難場所にどこかからテレビを引っ張ってきてアンテナさえ立てれば、とりあえずなんか映る、というぐらいレガシーな部分を残しておかないと、放送というのは役に立たないのではないか。
前項のような複雑さ、デジタル固有の脆弱性を抱えたシステムだけに頼りきるのは時期尚早の印象をぬぐい去れない。アナログ停波は大規模災害をいくつか乗り切って、固有の問題を洗い出してからでも遅く無いように思う。震災時に家のテレビが生きていたからといって、それを避難所でみんなに使ってもらおうという気にならないケースも出て来るだろう。
※この項ITmedia +D LifeStyle:デジタルテレビに潜む危険と脆弱性 (4/4)(小寺信良さん:2005/08/29)より
サイバー法の権威として知られるスタンフォード大のローレンス・レッシグ教授の考え方によると、現在のインターネットでは著作権の概念が著作権者によって果てしなく拡大解釈される方向に進んでいる。今ほど、著作権者の立場が強くなった時代は歴史上存在しないという。
技術は、法とその運用の的確なバランス感覚を持つことで発展するため、単に規制するという一点張りではトータルな社会的コストが上昇してしまう。そうなると権利者も損をする可能性があるため、線引きは容易ではない。
著作権者や企業の権利はどこまで保護されるべきなのだろうか、どこまでユーザーの自由は認められるべきなのだろうか。
※この項、ユーザーが勝手に作ってしまった「ガンダム」新作ゲームタイトル:IT-PLUS(07/04/13)より
放送映像の著作権を保護しなければならないという放送局や著作権者の主張はもっともですが、肝心なのはバランスです。著作権を守れと声高に叫んでいるのは、真ん中に入って仲介している人たちとの印象がぬぐい切れません。つまり、放送局や映画会社、出版社が、販売業者の独占的利潤を守ろうとしている面が強いです。
「著作権」というコトバ自体がまぎらわしいので、ちょっと区別をつけたほうが良いと思います。
- 著作者人格権
- 公表権、氏名表示権、同一性保持権など。
- 必ず「著作者」が持っている。放棄できない。
- カネにならない。
- 著作財産権
- 著作物の財産面に関する権利。コピーライト、公衆送信化可能権、など。
- 契約で譲渡できる。「著作"権"者」と「著作者」が同一人物とは限らない。
- カネになる。
ITmedia +D LifeStyle:著作権保護期間延長はクリエイターのためになるか (2/3) より作成。
人を平伏させる効果があるのは、A.です。B.はそうでもありません。でも、フツーの人々にとってはどちらも「著作権」ですから「著作権者団体」はわざとこれを混同させるように喋ります。「著作者」の中にも、混ぜこぜに喋る人が居ます。人間の習性を応用した営業トークです。
ここでは法律上の正確さは脇に置いて「原著作者の権利」と「コピーライト」と言い換えてみます。
ミもフタもありませんが、実は著作権をめぐるあらそいというのは、タダの価格交渉です。著作権というとすぐに文化だ芸術だと言う感じで平伏してしまいますが、ほんとうは関係ありません。そういうものの価値はですね。キミのココロの中にあるのさっ(ageha 続・あたらしい著作権のはなし)。
そうは言っても放送映像の著作権を保護しなければならないという放送局や著作権者の主張はもっともです。なにも無視して良いとは思っていません。
ところで、なぜ、放送局がコピーライトを持っているのでしょうか?
経産省は2005年にコンテンツ産業全般に渡る分析を公開しています(平成17年2月、コンテンツ産業の現状と課題(pdf直接リン))。その中から適当に拾うと、、、
要するに、テレビ局の支配力がでかすぎると言っています。それが日本のコンテンツ産業の成長を阻んでいると。そして『価値を創造する人々』に版権を持たせろと。
これよりやや古い報告では経産省の今後の施策が挙げられています(平成15年「アニメーション産業の現状と課題」(PDF直リン))。抜粋してみると、、、
要するにキー局の経済的支配を切らねばならないと言う事です。具体的な金額を示した図もあったので模写してみました。
ここではアニメを中心にしてみましたが、「あるある大辞典」のような番組でも、『価値を創造する人々』に渡る金額は大同小異のようです。なお、「地方局」の取り分が一番デカイです。一県一波政策のおかげでキー局は地方局を支配しているというよりは「お金を払って放送していただく」立場にも見えます。それが下請けに回るかどうかはまた別の話ですが、地方局を整理すれば随分とコストカットできそうに思えます。
その結果がこの数値です。
コンテンツ産業のGDPに対する割合米国 | 世界平均 | 日本 |
---|---|---|
4.70% | 3.15% | 2.66% |
(※首相官邸知的財産戦略本部/知的財産推進計画2006・別冊参考資料(H18.6.8)P30より)
あとMac OSXでは完全に手段がねーです。昨年のDVDレコーダーの国内出荷台数は、前年比18%減となった。世帯普及率はまだ40%台なので、これは市場が飽和したためとは考えられない。その最大の理由は、関係者が一致して指摘するように、コピーワンスのおかげで操作が複雑になり、普通の視聴者には扱えない機器という印象が広がったためだ。たとえば、あずまきよひこ.comで紹介されているように、番組をPCで見るためには、DVD再生ソフトやDVDドライブなどをすべて買い換えなければならない。
池田信夫 blog デジタル家電の足を引っ張るデジタル放送
もちろん、コピーライトが無ければ「原著作者」が食べて行けませんから、無くて良いというものではありません。
しかしながら、日本の現状では、TV局のコピーライト強化は、只でさえ強力なTV局の支配力をさらに強化する事になります。極めてバランスを欠いています。
のみならず、日本最大の情報流通網であるテレビのコピーライト管理が、他の分野に影響を及ぼさないワケがねーです。著作権、著作物のフェアユース、正当な引用の範囲、言論の自由。いずれも多大な影響を受けるでしょう。って事で、どーせなら大きく出てみましょうか。
自分はコピワンのみならず、機械的なコピー防止策はいかなるものであれ全て、この条項に抵触すると考えています。知的財産権の侵害は、個別具体的な事例ごとに下手人を取っ捕まえて、判断を下すべきものでしょう。全国民の、全ての著作物のフェアユースを、あらかじめ一律に制限するのは、過剰防衛です。
たとえばこの記事は、ほとんど他人様の書いたものを切り貼りしただけです。自分としてはオリジナリティがあるなどとは思っていませんが、世間様の目に晒すのは、おいらの自由です。原著作者から文句が出れば話し合いに応じるのは当然ですが、あらかじめ、一律に、機械的に、誰かに制限される謂れはねーです。
コピワンは、ニュース・映画・ドラマ・アニメ・ドキュメンタリー等の映像を引用してそれについてナニカ書く、という自由を強く制約します。それがフツーな世の中というのは、言論の自由の鮮ない(すくない)社会だと思います。
さらに、コピワンは国民全員が否応無く強いられる事であるにも関わらず、国会での議論もなく、パブリックコメントもなく、法的根拠はもちろん、誰が責任者であるかもわからない不透明な手続きで、一業界の都合で導入されています。これは言論の自由および法治主義の破壊行為です。
太古の昔からコピワンやDRMがあったら、三国志も源氏物語もこの世に残ってはいません。これらが残っているのは「これはとっとく価値がある」と思った人が自由に写本をつくれたからです。コピーによる劣化の無いデジタルだからこそ、極力オリジナルに近いものを後世に残せるハズです。別に学者に "価値のあるもの" を決めてもらう必要も、政府に補助金を出してもらう必要もありません。現世利益を無視するつもりも海賊行為を認めろと言うつもりもありませんが、機械的なコピー防止策は、文明を破壊します。
仕事の資料として映像を取って置きたい人には不便だし。これは授業で生徒に見せようという先生にも不便だし。うわ、見逃したっ!録画持ってねぇ?と学校で借りるのも不便です。それは映像市場を確実に衰退させるでしょう。てゆうか映像で商売するならまず客をシャ、あわわ、映像漬けにしなきゃマズいと思うんだけどなぁ。
自分でも学級会じみてるとは思いますが、これが原則です。そこすっ飛ばして著作権著作権言うても説得力が出ません。それが原則ではあるがこの業界にはかくかくしかじかの理由があるゆえに、例外的にコピー制限が必要なのだ。という手順を踏んだ正々堂々の論者をおれは知りません。
「映画の著作物」って規定があるのは永田喇叭さんがそれやったからなのよ~ん。
もちろんデジタル放送ではゴーストやスノウノイズが出ないという利点は大きいです。しかし、それらを勘定に入れても「地デジは画質が良い」と言えるかどうか、疑問があります。
走査線で映像を切り刻めばデータ量が減らせる。インターレースはただそれだけのものです。電子銃の無いFPD(液晶など)で使う理由はありませんし、デジタルコデックへの実装も難しくなります。なにより、作りたい映像をインターレースドで思い浮かべる作家は居ません。そもそも不自然な映像です。
一般的にはインタレ縞など見えませんが、実はそれは社会適応の一種だと思います。実際、エンコにハマってから自分は通常のテレビ視聴でも見えるようになりましたし、そのへんのストップウォッチでも1/100秒までは測れますから、少なくとも網膜は、1/60秒単位のインタレ縞を捉える性能を備えているはずです。
これはつまり、社会全体が「残像現象」があるからインタレ縞は見えないのですよと言う「科学的な説明」で納得していただけなのだと思います。まぁ、見えたからと言って楽しめないと言うほどではないですが、見えるもんは見えるんだいっ。フルスペック・ハイビジョン・パネルならなおさらくっきりと。
もっともこれはエンコ厨に限った話で、大多数の人は気にならないと思います。でもね。そうした社会が、720pに慣れた海外市場向けに「画質の良いテレビ」を作れると思う?
現在の地デジはMPEG-2。放送データの解像度は1440×1080。ビットレートは15Mbps程度。これは不十分です。仮にフレーム周波数 30.000hzで映像のBPPを計算するとこうなります。
ー | BPP | Vbitrate | w | h | fps |
---|---|---|---|---|---|
DVD規格ギリギリ | 0.87 | 9000 | 720 | 480 | 30 |
平均的なDVD | 0.58 | 6000 | 720 | 480 | 30 |
HDレコーダの「エコノミー」 | 0.39 | 4000 | 720 | 480 | 30 |
地デジ | 0.32 | 15000 | 1440 | 1080 | 30 |
これでブロックノイズが出ないわけがありません。地デジも本来はもうちょっと高いビットレートで運用する予定だったのですが、運用を開始してみると電波状態が思いのほか悪く、下げざるを得なかったようです。BSデジタルハイビジョンでは1920×1080でもうちょっと潤沢なビットレートを使っていたのですが、地デジ開始に合わせて同等に下げたと言います。
もちろん解像度が段違いですから、少々ブロックノイズが出たところでそう気になるものでもないでしょうが、生中継、特にスポーツなど動きの速い素材は厳しい筈です。
bpp = vbitrate(kbps) * 1000 / (width * height * fps)
静止画でいう色深度(256色とか、1670万色とか)と同じもので、1ピクセルあたりのbit量。ちなみに720pの場合:
ー | BPP | Vbitrate | w | h | fps |
---|---|---|---|---|---|
720p | 0.54 | 15000 | 1280 | 720 | 30 |
平均的なDVD並のBPPが使えます。ブロックノイズ・リスクという点で考えると、このへんが妥当な線でしょう。1920×1080(フルスペック・ハイビジョン・パネル)は解像度過剰です。MPEG-2の進化には先が見えている事を考えると実用上のバランス感覚を欠いていると思います。なぜ、無駄な解像度を採用したのでしょうか?
池田信夫さんの記事によると、解像度はさして重要では無いようです。
20年ほど前、NHKのハイビジョン・プロジェクトで視聴者のブラインド・テストをやったとき、われわれが衝撃を受けたのは、ほとんどの視聴者が画質を見分けられないということだった。ハイビジョンの番組と、普通の番組を単に横長にしたものを30インチ以下のモニターで見せると、90%以上の人が区別できない。いろいろな条件を変えて「どっちの映像がきれいか」と質問すると、もっともはっきり差が出るのは、色温度とコントラストで、解像度は最下位だった。
池田信夫 blog デジタル家電の足を引っ張るデジタル放送(2007-04 -19)
また、NHK技研の『日本放送技術発達小史ーテレビは進化する』にもこの結果を示唆する記述があります。以下抜粋すると、、、
"未来のテレビ"研究は1964、東京オリンピックの年に始まっている。"未来のテレビ規格"は70年代中盤に固まっているが、研究の順序としては、まず心理実験で人間が好む画面の縦横比(アスペクト)が5:3ないし6:3であること、臨場感を向上するには視角(映像が視界に占める範囲)は25度以上、できれば30度以上が望ましい事を突き止め、これを前提に「走査線は1100本以上が望ましい」という結論に至っている。
その理由は、 5:3(後に映画との互換性を考慮して16:9に変更)の縦横比で視角25度以上を得るには、画面の高さ (H)の3倍の視距離をとる必要がある (50インチのディスプレイで約2m)が、その3Hの距離で走査線の粗さを目立たなくするには、一本の走査線は、視力1.0の人の分解能である視角1分以下に収める必要がある。そーなるのが1100本。というもの。
自分はここから「ハイビジョン」の本分は、臨場感の向上にあり、縦1100本の解像度はインタレ縞対策に過ぎないと理解しました。1920×1080=200万画素だからナニカが向上すると言った記述は上記リンク先には見当たりませんでした。
デジタルであればインターレースは必要ありません。この後、80年代に入ると「ハイビジョン」に危機感を持った欧米から「デジタルテレビ」のアイデアが出て来ますが、彼らが持ち出した720p(1280×720プログレッシブ)と1080i(1920×1080インターレースド)は同等画質という説には一定の根拠があると思いました。
「ハイビジョン」と「デジタルテレビ」は元来別のものです。
アナログ | デジタル | |
---|---|---|
SDTV | NTSC:日米台 PAL:主にEU SECAM:主に旧共産圏だっけ? |
DVB-T: 世界一普及しているデジタルテレビ方式。多チャンネル化に重心。 HDTV も可能。 |
HDTV | "ハイビジョン"(MUSE方式) NHK技研が開発した世界初のHDTV |
デジタル・"ハイビジョン"(BSデジタル)1920×1080i@29.97fps 地デジ:1440×1080@29.97fps(横を1920に拡大して表示) 北米のATSC方式や一部の衛星放送:1280x720p@59.94fps |
「ハイビジョン」が"理想的な未来のテレビ"に端を発しているのに対し、「デジタルテレビ」は"未来の電波利用"という別のレイヤー、要するに「これからはデジタルだ」という確信に端を発しています。日本語の文献には枕詞のように「日本の技術力に危機感を持った欧米が」という一節がついていますが、ホントかなぁ?。
80年代を通じて90年代半ばまで、日本(というかNHKと旧郵政)は、「未来のテレビ」と「未来の無線利用(というよりデジタル革命)」のバッティングを読み切れず、アナログMUSEでバンザイ突撃を繰り返しました。理想のテレビへのこだわりを捨てきれなかったのか、なにか利権が出来上がっていたのかは知りませんが、損切りをすべき時に怠った事は確かです。
NHK技研がハイビジョン規格を固めたのが70年代である事も注意すべきでしょう(当時は高品位テレビと言った)。当時と現在では、テレビの使われかたが異なっているからです。彼らは50inを想定していますが、それは「居間に集まり一家団欒のひとときを過ごす」イメージではないでしょうか?。これは現在のライフスタイルとは重ならない部分があります。「自分の部屋にテレビがある」というのは今や普通の事ですし、其の場合ワンセグの解像度は小さすぎ、1080ではデータが大きすぎます。巨大なホームシアターで全需要をカヴァーできる時代ではありません。つまり、地デジの解像度は現在の市場と不整合、全国民に移行を強いるには、無駄なコストが多すぎると言う事です。
この項は池田さんのブログに30インチで実験したとあったのを見て思いつきました。というか正直に言うとNHKが衝撃をうけていた事に衝撃をうけた。だってソレわ720x480を320x240モニタで見て違いがわからんと言うようなもんぢゃないんかと、オマエラ先輩の背中見た事ないんかと、思ってしまったので。20年前って概ねバブル景気。バンザイ突撃フェア大絶賛実施中の時期です。いや池田さんがどうこうではなく、そこで衝撃をうけた「われわれ」つまり組織内の共通認識、空気に澱み(よどみ)を感じたと言う事です。『覇者の奢り』みてぇ。
次世代DVDやゲームしか映さないならともかく、全国民に移行を強制するTV放送としては、1920×1080(フルスペック・ハイビジョン・パネル)は不適切です。"デジタル放送"という新種の概念が出て来た段階で、"ハイビジョン"の概念は再構築(リストラクチャ/ゼロベースの再定義)が必要だったのだと思います。
そもそも「画質が良い」だけでは死亡フラグです。ベータやD-VHSが廃滅したのは、より利便性に勝る存在と競合して破れたからです。
利便性の問題はあずまきよひこ.com: ENTRY [著作権むずい] に集約されています。コピワンです。いままで普通に出来ていた事が、できなくなる。他に選択肢が無く、後戻りもできない。それは退化と言います。繰り返しますが北米にはこれは無く、英国にもありません。
なお、この点は地デジチューナーのD3/4/5端子出力を1080iのMPEG-2(なりなんなり)で録画すれば済むハズです。ただパソコンでそういう録画システムを組むのは面倒ですから、「箱から出せばそのまま使えるソリューション」が欲しいところです。 DVDレコーダの世帯普及率はまだ40%台であるにも関わらず、昨年の国内出荷台数は、前年比18%減となったという事ならば、HDレコーダ内部でやっちゃえばヒット確実に思えますが、大手メーカーはARIB/民放連が政治的な足枷となって身動きが取れないでしょう。中小ベンチャーや国外メーカーの参入はB-CASが阻むというわけですね。良く出来ています。
地デジ移行でテレビの利便性は確実に低下します。世界最低のレベルに、です。コピーライトがなきゃ商売あがったりだという主張には同情しますが、ここまでの規制に同意した覚えはありません。放送利権は、あまねく全ての国民にそれを強制する資格を、一体ダレから、どうやって、貰ったのでしょうか?
ラッダイト運動(wikipedia)
ラッダイト運動(Luddite movement)は、1811年から1817年頃、イギリス中・北部の織物工業地帯に起こった機械破壊運動である。産業革命にともなう機械使用の普及により、失業のおそれを感じた手工業者・労働者が起こした。産業革命に対する反動とも、後年の労働運動の先駆者ともされる。機械所有の資本家には憎悪の対象であったが、詩人には創作の霊感を与えた。
デジタル革命でも、ネオ・ラッダイト運動とかデジタル・ラッダイト運動とか言うものが起きると予想されていました。果たしてどこでどんな形で起きるのかはさまざまな予測がありましたが、どうしても「犠牲になるのはいつも庶民」という感じで「デジタルデバイド」とか「情報弱者」とか「巨大メディア企業に就職しなくちゃ!」みたいな方向にアタマを持って行かれがちでした。
んが、こうして並べてみると地デジこそがデジタル・ラッダイトだという気が、します。デジタル革命って「情報の大衆化」ですからね。それに対応できずに横暴な手段に訴えるものは、情報機器を所有する人々の憎悪の対象となるのでしょう。そこに霊感を感じる詩人がいるかどうかは知りません。
情報の結節点の上に築かれた放送利権は、
放送利権には、情報流通のサイクルからご退場願うべきです。
agehaにオリジナルなし
消費者団体訴訟制度(しょうひしゃだんたいそしょうせいど)とは、契約トラブル等により被害額は少額だが被害者が多数にのぼるサービスを提供している業者に対して、消費者団体が被害者に代わって訴訟を起こすことができる制度。
日本政府の新しい消費者行政の一環。同制度を盛り込んだ改正消費者契約法が2006年5月31日に成立。2007年6月7日からの施行が予定されている。
参考ブログ
【関連記事】
ageha内
外部リンク
立場や知識範囲が違えば、判断も、ものの見方も異なるのは当然です。いろいろな意見がありますので、コメント欄も合わせてご参考下さい。
【追記履歴】
2007/05/21:【関連記事】を追加TechCrunch Japanese でも『Digg、暴徒に屈す』というタイトルで記事にしているので、両者とも言及 しているDiggのファウンダーのひとりKevin Roseのブログというのを読んでみた。全訳はmaclalalaweblogさんがいつものように丁寧に訳されているので、大意はソチラで掴んでいただ きた ひ。ユーザー参加型ソーシャルニュースサイトの Digg にとって、5月1日は大変な日だった。
誰かが HD DVD ハッキングの解読キーに関する記事を投稿したのだ。削除要請を受けた Digg のスタッフはただちにこの記事を削除した。Digg の検閲だと怒ったユーザーがすぐに再投稿、それをスタッフが削除するというイタチごっことなり、混乱に手がつけられなくなった。
(中 略)
Digg の Kevin Rose が敗北宣言を出したのは、米国西海岸時間5月1日午後9時のことだった。
(中略)
Today was an insane day. And as the founder of Digg, I just wanted to post my thoughts…
In building and shaping the site I’ve always tried to stay as hands on as possible. We’ve always given site moderation (digging/burying) power to the community. Occasionally we step in to remove stories that violate our terms of use (eg. linking to pornography, illegal downloads, racial hate sites, etc.). So today was a difficult day for us. We had to decide whether to remove stories containing a single code based on a cease and desist declaration. We had to make a call, and in our desire to avoid a scenario where Digg would be interrupted or shut down, we decided to comply and remove the stories with the code.
But now, after seeing hundreds of stories and reading thousands of comments, you’ve made it clear. You’d rather see Digg go down fighting than bow down to a bigger company. We hear you, and effective immediately we won’t delete stories or comments containing the code and will deal with whatever the consequences might be.
If we lose, then what the hell, at least we died trying.
Digg on,
Kevin
自分の印象としては、コレ敗北宣言に見えない。もちろん人それぞれですけど。そもそもDiggどころかソーシャルなんとかってのをソーシャルに使った事が ないんで見当違いのリスクはありますぐぁ。
最初の黄色『出来る限りの事を自分達で やろうとし てきた。』は、自分達のやって来た事というよりは、そういう生き方を良しとするスタンスが背景にあるように見えた。やや大げさ に飛躍すると「自由への支持」。だから次のピンク『モデレートする権限 (Power)をコミュニティに委ねて来た。』 も、なにが価値のある情報かはひとりひとりが決めるべきだ、というスタンスの現れと理解した。これに続くOccasionally以下はそうはいってもポ ルノ・違法ダウンロード・人種差別などは倫理的にもやばいし、最終的には自由を損ねてしまう。だから利用規約として明記して削除してきましたよ。という流 れというか文脈というか、に見える。思いっきり脳内補間してっけど、アメリカ人の脳内でもそういう補間が働くと思う。freedomと自由は、意味と歴史が少し違う。
だから緑の『だ から今日は、(排除命令(cease and desist declaration)を受けて記事を排除するかどうかという)難しい判断を迫られた。』 という一節は、や~今日はてぇへんだったよ~というボヤキでは無くて、Digg存続の為に、すなわち望みうる最大の自由を維持する為の判断だった と説明したいのだ。と思った。
後は大勢がそれに反対したんで削除やめますってな感じなんだけど、それはユー ザーの"造反"に”屈した”とは地味に違うように感じた。
もっぺん大げさに飛躍するとユーザーはDiggが提示した「自由・情報の価値付けを マスメディアではなくユーザーの判断に委ねる事・情報の民主化」を支持した。ように見える。次々に解除キーがDiggされたのは、それを「正当な行為」と 考えるユーザーの多さを示していると思う。だいたい違法ダウンロード情報の削除には、みん な文句言ってないわけだし。Digg ユーザーの「不当・正当」の線引きはそこにあるというわけだ。
一種の民意。一種の直接民主制。言論の自由。それが現行法(DMCA)では違法排除命令の根拠となるのなら、一種の法改正圧力。 ちっちゃな地方自治体から国のてっぺん まで、無数の「末路哀れは覚悟の前」 が徹底してんのがアメリカのソコヂカラだ*1。
最後の赤『deal
with whatever the consequences might be.』、結果がどうなろうともそれと
『deal with』。
maclalalaweblog
さんでは『受け入れる』、今日のニッパウさんでは『対処する』としておられるんだけど、dealってなんかもうちょっとプラスのイメージがあるように思
う。ポーカーとかでなんか盛り上がる方向
で使わなかったっけ?、ディーラー、取り扱う。~を処理[処置]する、対処する、取り組む、、、。
Kevinさんは、Diggが示したのは「情報の民主化」であって、ここで違法排除命令に従えばいままでの自分がしてきた事がウソになると気付い てしまった、ように読めた。脳内お花畑全開すっと 『覚悟完了!』とか『戦って戦って戦ってそして死 んで行くのがオトコなんぢゃないんですか沖田さん!』とか。ソッチ系。解除キーもろだしのタイトルとも整合する。会社のブログで顔出し で。『みんなの力をオラに分けてくれ!』とか。アメリカ人てほんまチャレンジ好きよね。
コレ、下手すっとDMCAとAACSの違憲性/不当性を正面切って問う、ベータマックス/DeCSS訴訟に続く歴史的な法廷闘争になる。
、、、と思った。
◆◇◆
おれはそういう事しないけど、レーザーディスクとか、VHSで10年買いためたおいらのコレクションはどうなるの?っていう人はままある。映像商売の上得 意だ。情報のデジタル化はそういう”アナログのかなしみ”をなんとかするチャンスなわけで。
これもやらないけど、DVD買ったは良いけどボクのLinuxでは見られませんてのがDeCSSの開発動機なわけで。これスエーデンかどっかの最高裁まで 行って勝ってる。
もちろん海賊行為や全部タダでいいぢゃないなんて積もりはないですよ。でもみ
んながコピーする機械を持っているなら、コピー業者を保護する必要性は、減る。コピー業者を保護するコピーライト(著作権)は弱めた方が、社会全体のしあ
わ
せ総量が増える。
ダイレクトに作者さんにお金を届ける途が見当たらないのは問題だけど、それを作るにも旧来のコピー業者の「法的に正しい行動」が邪魔に
なる。じんわりとそーゆー時代が進行しているのぢゃ。著作利権が戦っているのは情報の民主化とゆー歴史そのものなんだと思う。もちろん、和解交渉を有利に
もってくにはどっちも全力で戦わないといけないわけで。
GoogleはViacomが、「YouTubeは著作権を侵害して いる」として起こした$1B(10億ドル)の訴訟 に返事を出した。Googleの答えは―「上等だ。陪審裁判でとことんやろう」だった。
(中 略)
YouTubeのビジネスモデルの運命、さらに多数のウェブスタートアップ企 業の命運がこの訴訟の行方にかかっている。
*1)著作権にまつわる違法合法の議論がくだらないと思うのは、自分で考えて自分で決める事を放棄しているように見えるからだ。
主権在民なら、法律は全て国民の総意の表現でなければならない。違法合法以前に自分で考えて自分で決めて、法律がそぐわないなら法律を代えるようになん
かする。というのが民主制の基礎だと思う。
だから、改正手続きが60年間も未整備だった
日本国憲法は、戦後ずっと非民主的な状態だった。変えたくなっても変えるシカケが無いという運用は、中身がどうこう以前に欽定憲法も同然だ。『主権在民』
とは決して両立しない。同時代の各国憲法に比べれば抜群に先進的なのは確かだが、それを"不磨の大典"扱いで信仰の対象にしてしまっては仏作ってタマシイ
入れずだ。古典的護憲論は国民の「自由」を蝕む。と思う。天皇機関説が主流になった段階でほ
いほい明治憲法に追加できてたら(少なくとも大正デモクラシーの時期なら統帥権を内閣の輔弼事項に入れとくくらいはできたハズだ)、馬鹿みたいな敗戦の遥
か手前で軍部の暴走は食い止められてたんですよ。メカニカル&オートマチックに。
agehaにオリジナルなし
また、残りのケースが少なくなってくると、Bankerからの電話も増えて、客席や応援席か ら「Deal!!」のコールが壮絶になってくる。さらに、低額賞金と高額賞金の可能性が五分五分になれば相当なプ レッシャーになるため、それに打ち勝つ精神力と決断力も必要となる。
【知った場所】:TechCrunch Japanese アーカイブ » ヨーロッパでは45%のユーザーがテレビをオンラインで視聴Online TV viewing 'on the rise'
Almost half of European broadband users are using their computers to watch television online, a survey claims.The ability to "take control" of their viewing was the motivation for many users said Motorola, which interviewed 2,500 people including the UK.
This week the BBC's iPlayer was given the green light*1 meaning shows such as Doctor Who and EastEnders are to be made available online.
And ITV has said it would offer many of its shows to internet users.
This would create "the most comprehensive commercial website" of any major broadcaster worldwide, ITV said.
Meanwhile Joost, the on-demand online video service backed by the founders of Skype, has launched commercially.
The internet television service boasts more than 150 content channels - from cartoons*2 to music videos and films.
■調査によると、EUのブロードバンドユーザのほぼ半数が、コンピュータで、オンラインでテレビを見ている。
英国を含む2500人へのインタビューを行ったモトローラによると、視聴の"主導権"を取れる事がその動機となっているという。
今週、BBCのiPlayerはDoctor WhoやEastEndersのような番組のオンライン視聴にゴーサイン*1を出した。
さらにITVによると、彼らは自己所有の番組の多くをネットユーザに提供する予定だと言う。
ITVは、これは世界中の主要ブロードキャスターのうちで「一番包括的な商用ウェブサイト」になるでしょうと述べた。
其の一方、Joostが商用サービスを開始している。これはSkype創設者が設立したオンライン・ビデオ・サービスだ。
インターネットTVサービスは150以上のコンテント・チャンネルを誇る。カートゥーン*2からミュージックビデオ、そして映画まで。
BBC iPLAYER BBC iPLAYERについて
- iPlayer will allow viewers to catch up on TV programmes for seven days
- Some TV series can be downloaded and stored for 30 days
- Viewers will be able to watch shows streamed live over the internet
- Users will not be able to download programmes from other broadcasters
- Classical recordings and book-readings are excluded from iPlayer
- 視聴者は7日間の間、TVプログラムにキャッチアップできる。
- 一部の番組は30日間、ダウンロードして保存できる。
- 視聴者はライヴストリーミングで番組を視聴できる。
- 他のブロードキャスターからのプログラムはダウンロードできない。
- クラシカルな録画(*意味不明、VHSとか?*)やブックリーディングには非対応。
*1: given the green light:青信号を出す。
*2:cartoons:animeとanimationとcartoonは区別すると思う。cartoonはバグスバニーとかあのへん。animationはディズニー、animeは外来語。
Flexibility
The Motorola study suggested that 45% of European broadband users were watching some television shows online with the French being the most enthusiastic in consuming their favourite programmes via the web.
"Viewers across Europe are no longer satisfied with fitting into schedules dictated by broadcasters and are turning to the choice and flexibility offered by TV over the internet," said Motorola's Karl Elliott.
"We are witnessing a nation of citizen schedulers who are in control of their entertainment, allowing them to watch what they want, how and when they want it."
Other findings of the survey included 45% of respondents expecting to be able to make video calls via their television by 2012 while 35% wanted to be able to pause, rewind or fast forward live broadcasts.
■ 柔軟性
モトローラの調査は、EUブロードバンドユーザの45%が、なんらかのTV番組をオンラインで視聴していると主張している。中でもネット視聴に最も熱心なのはフランス人。
モトローラのKarl Elliottは「EUの視聴者はもはや放送事業者が提供するスケジュールに合わせる事に満足せず、ネットTVがもたらす多彩な選択肢とフレキシビリティを選びつつある。」と述べた。
「我々は、自分の娯楽を自分で決める、市民が番組編成を行う国を目撃しているのだ。彼らは、見たいモノを、見たい時に、見たい方法で見る」。
この調査から言えるもう一つのポイントとして、回答者の45%が2012までには、TVでTV電話ができるようになると期待している事がある。また35%がライブブロードキャストの一時停止・巻き戻し・早送りを望んでいる。
TechCrunch Japaneseでは、コンテンツの実態はP2Pダウンロードであろうと補足した上で、"P2Pネットワークを通じてストリーム配信するというJoostのようなビジネスモデルが有効であることをさらに強く裏付けるものとなった。"と結論付けている。
そう、重要なのは需要の存在だ。
【Joostについて】
ザッと見渡しただけでもビッグネームがチラホラ。押井守や今敏、新海誠などは言うに及ばず、(中略)
これだけの作品が揃う番組なので、すべて録画しておきたい……と考える人もいるはずなりが、そう簡単には録画できない事情があるなりよ。(中略)
いつ、どのタイミングで放送されるのか、視聴者には全く知らされないなりね。テレビ番組表にも掲載されないので、「出会えたらラッキー」という、まさに運任せとなるなりよ。(中略)
NHKから目が離せないなりね。
一分間の番組の為に一日中NHKを録画するとか、テレビの前を動かないとか、情報取得コストが高すぎる。非効率だ。それは作り手と受け手と作品にとって不幸な事だと思う。「自分が何を、いつ、どのように、楽しむかは自分で決めたい」んですけども。
関連エントリ
大きい脂肪質の警告
本記事はweb上の情報を組み合わせて創ったフィクションです。 いかなる実在の人物、団体、企業、地デジとも関係ありません。 いろいろと、自分で考えて、自分で決めて下さい。 コメントにはお応えしない事があります。トラバは歓迎します。 あとデイビッド・ハルバースタムさんに捧ぐ。 |
で、バックリンクを辿っ て見つけたこの方の記事。世 界のデジタルテレビ方式(地上波)
紺・青はEU方式、緑はアメリカ方式、黄土色は中国方式(予定)、ピンク系が日本の地上波デジタル・ハイビジョン。
自分はこの図を見て、日本のテレビ技術は世界市場を失ったと思いました。「日本製だから性 能が悪い」が世界の常識となるまで、10年とかからないでしょう。
おそらくARIB(B-CAS)&jateからすれば、ヨーロッパ方式をとるとフィリップスやサム スン、LGにスケールメリットで負ける→結果的にコピーガードしてまで自分達の利権を守る為 の"囲い込み"が出来なくなると踏んだので半ば独自方式にした のであろう、2Gの携帯電話の方式をPDCにしたのと同じ事だ。
『スケールメリットで負ける』と いう文字列を見てぞわっと来た。
WOWOW やスターチャンネルのような有料放送を受信する権利の認証のために、このカードが必要というだけならまだ話はわかる。だが無料放送を録画ではなく単に表示 するだけなのに、このカードがなければまったく映りもしないというのはどうだろうか。例えば将来的に海外のメーカーが日本市場向けに製品投入を考えた場 合、このカードの存在が障害となって、フェアな競争が行なわれなくなる可能性がある。
ITmediaアンカーデスク:デジタル放送にまつわる、いくつかの裏事情(小 寺信良さん: 2005/07/04)
ARIB の認証過程がMicrosoftにとって「複雑怪奇」に見える事は本田雅一さんが指摘されています。
従来、日本のデジタル放送をWindowsでサポート しょうとすると、以下のような問題があったという。
・複雑怪奇な承認プロセス
複数の標準化団体 (ARIB、D-PA、B-PA)
正式な認証プロセスの欠如
・複数の放送規格が混在
ISDB-T、ISDB-S、ISDB-C
仕様書が膨大かつ日本語でしか存在しない
・新しいインタラクティブTVの仕様を採用(BML:Broadcast Markup Language。データ放送用のコンテンツ記述用マークアップ言語)
・(国際標準に則っていても)日本国内での再度の追加テストが必要
・今日のISDBチューナは日本特別仕様でコストが高い
どれも日本人の我々からすれば特に驚くべきことではないが、ワールドワイドでの統一仕様として量産を行ない、それによって低価格化を図ろうという場合に は障害になる。
(*中略、MSがARIBと共に様々な努力を払っている状況を述べて*)
こうした努力が実れば、2007年にはPCで現在のハイビジョンレコーダと同程度、もしくはそれ以上に柔軟性のある録画環境を構築できて いることだろう。
本田雅一の「週刊モバイル通信」■ 第339回 ■Vista世代では地デジ対応も簡単に?(2006 年5月24日)
これらはメーカーサイドが、鎖国市場を作ろうとしてる「傍証」くらいにはなります。でもいくらなんでもそれだけじゃ弱いよなと思って章にはせず、冒頭に追 い出して おきました。2はNHK受信料絡 みの気もするし、3は著作権だしなんとかなるだろって書いてあるし、そもそもおいらマカだから関係ないしと思ってちゃんと読んでなかったのですが、、、、 1~3の事情にですね。
こいつが加わると、家電メーカーが鎖国を志向する動機が一気に立ち上がる。っ て事でまずはライジング・サムスン(←語呂が良いw)のはなし。
株式時価総額(2007/04~05 頃) | 営業利益率(2005年) | 売上高(2005年) | |
サムスン電子 | 12兆0000億 | 14% | 6兆1741億 |
SONY | 6兆4000億 | 3% | 7兆4754億 |
松 下 | 5兆9000億 | 4% | 8兆8943億 |
シャープ | 2兆4000億 | 6% | 2兆7971億 |
東芝 | 2兆9000億 | 4% | 6兆3435億 |
日立製作所 | 3兆0000億 | 3% | 9兆4648億 |
三菱電機 | 2兆2000億 | 4% | 3兆6041億 |
企業の競争力は売上高だけで見るものではありません。ここでは営業利益率と株式時価総額に注目します。あくまで「こういう見方もできるぜ」という 一例です。
サムスンとSONYの売上高はほぼ同クラスですが、営業利益率に4
倍以上の差があります。
営業利益率というのはほんとうの最終利益とは少し違うのですが「本業がど
れくらいもうかってるか」を見るのに使います。つまり、サムスンの本業はソニーの4倍以上の効率と言う事です。
さて、100円のものを売って利益が14円の
会社と3円の会社があったら、どちらのはたらきぶりが効率が良いと思いますか?どちらの株を
買いますか?他の人より高い値段を出しても買いますか?…それを示すのが、株式時価総額です。
サムスンとSONYを比べると株式時価総額は2倍の差がありま す。サムスンのはたらきぶりはソニーの倍の価値があるという事です。ソニーと松下が合併すれ ば時価総額は対等になりますが、はたらきぶりはそれだけでは変わりません。サムスン株のほう が有利です。売り上げが2倍になるかどうかもわかりません。競合商品は整理しないと無駄だからです。うまく整理がつけられるかどうか。それはは たらきぶり次 第です。
自分はこれが資本主義の基幹原理と認識しています。
もちろん数値指標が全てと
いうわけではありませんが、違いが「どのくらいあるのか」を数字で測る手がかりにはなります。画質をPSNRや
SSIMで測るのと一緒です。いろんな人がいろん
な難しいことを言いますが、これも難しい画質指標がたくさんあるのと一緒です。
さて、サムスンとその他では資金 力、即ち投資能力に雲泥の差が あります。
01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | |
設 備投資費 | 3兆670億円 | 4兆144億円 | 6 兆630億円 | 8兆762億円 | 1兆1722億円 | 1兆0700億円 | 1兆0400億円 |
研究開発費 | 2兆131億円 | 2 兆841億円 | 3兆433億円 | 5兆446億円 | 6 兆275億円 | ? | ? |
米 国特許取得件数 | ? | ? | ? | 6 位 | 5位 | 2位 | ? |
自分は製造業ではこの資金力こそが技術 力と理解しています。むかしむかし、日本のメモリー産業はこの投資能力に破れて壊滅しました。今年の技術だけを見 て勝ってる負けてるという議論に興味はありません。日本のメモリー産業の顛末がその理由です。来年は?再来年は?その 次は?自分はメモリーやハードディスクを買うときは、できるだけサムスン製を探します。だってそういうものはたくさん作ってる方が信頼性が高いに決まって る もの。中の技術なんて知ったこっちゃありません。その為にお金払ってんですから。同じ払うなら一円でも有効に使ってくれる会 社に払いたい。エンコ厨ですから。
一万円でハードディスクを買うとしましょう。サムスンの利益は1400円。日立なら300円。そこから開発投資を出すとしたら?何年か後にまた1万円で HDを買う時にはサムスンのほうが日立よりうんと進化しているハズです。お金は一円でも有効に使うものです。エンコ厨ですから。
それにしてもサムスンの投資額はあまりにも信じ難いです。てゆうか05年の投資額って売り上げより多いんですけど?。wikipediaの信頼性もいろい ろあるようですし、数字にも弱いのでいくつか他からも数字を拾ってみましたが、まぁ、だいたいこれで良いのじゃないかという印象を受けました。たぶん株式 時価総額を活かした 資金調 達の方法がいろいろあるのでしょう。転換社債とかマネーゲームとか金融工学とか。
実を言うと、肚に落とす為に電卓でちくちく換算したのですが、数字が出る度に、そのぶっ飛びぶりにぞくぞくきました。無茶苦茶です。この経営手法
は、極めてクリエイティブ&くそ度胸
に支えられていると思いました。日本の半分の人口、日本より低い食料自給率、分断国家に重い軍事負担という制約の中で、よくまぁやったものです。よほど七
転八倒して考え抜いた経営手
法があるのでしょう。韓魂和才みてぇなコトバもあるかな。ないかな。
いずれにせよ、日本企業には真似できない資金を、継続的に設備や研究開発に叩き込んでいるわけです。2004の数字で
すが半導体投資は日本の大手五社の合計と並んでいるそうです。
そんな経営はおかしいとかアンフェアだとかいう
のは簡単ですが、事実は事実。カネはカネ。白でも黒でも鼠を獲るのが良い猫です。
実は日本メーカーの営業利益率だって世界的にはヘ
ンです。資本主義の原則ではあってはならない低さ。そしてこれこそが日本を繁栄に導き、欧米
から「世界一成功した社会主義国」と揶揄され「日本企業はアンフェアだ」と非難された理由の一つです。このへんのカラクリを七転八倒して考え抜いたおっ
さん連中のハナシはNHKの『その時歴史は動いた』とかでよく見かけます。
ま、いまさら其処に戻るなんて馬鹿な真似はすべきではあ りませんが、、、しかしいまだにそうゆう営業利益率だったのか。営業利益率は格差社会の進行と同時に伸びて行かねば意味が無いではないか…。おっとここは サムスンのハナシでした。
日本での知名度は殆ど無く日本での販売活動はあまり活 発では無いが、世界では最も有名な会社の一つである。現在100以上の国で販売活動がなされている。世界各地に56生産法人、124販売法人を展開する多 国籍企業。 サムスン電子は、21世紀の始めに「5年で最も大きいエレクトロニクス会社になる」と発表した。
EU や北米に行った事のある人は知ってると思うんですが、特にサムスンの看板、広告はわりと至る所で見られます。電器屋でも結構良い位置にあります。ここ数年 は液晶テレビがSONYの同等品より値段が高い事も珍しくは無いです。なぜこれだけデカく、ブランドイメージも出来上がってる会社 が日本でだけ存在感が薄いのか?
その理由を語る前 にもう一度、「世界のデジタルテレビ方式」の図を見て下さい。
戻るの面倒でしょうからコレで。別窓で開いてね。ついでにアナログ放送方式の世界分布も。コレで。
アナログ放送の分布を、極めて乱暴に言うと
こうなります。
ア ナログテレビの放送方式 | |
---|---|
PAL | EU 諸国の植民地だったとこ |
SECAM | フ ランスの植民地だったとこ(あんど旧ソ連) |
NTSC | そ の後に拡大した米国の覇権。 |
情報の流通経路を抑える事はカネと権益に直結します。「放
送のデジタル化」はこの古い構図を塗り替える覇
権争いでもあったわけです。
北米が緑(ATSC)なのは自国製ですから当然ですが、米国はわりとどうでも良かった。どうせ次の覇権のカギはIP網だし、ウチの国ぢゃ地上波なんてほと んど誰も見てないしって感じです(CATVや衛星放送が大半)。
IP網に覇権を持たないEUはそこを突いたわけです。落ち穂拾いの感はありますが無いよりはマシ?。いえいえとんでもない。EU・オーストラリア
を除けば、
DVB-T領域の全体で、情報
網の主軸がIP網に移行するのは何年後か、なんて誰にも解りません。予見し得る将来の範囲ではテレビ放送こそ情報網の主軸!っ
てとこでです。まだラジオ
なんでねぇのかってとこまで抑えてますけど。中国を除くユーラフリカ全土、BRICsのうち2個、ついでにオーストラリアまで獲りゃあ、大金星です。規格
としては最後発だっただけに出来(需要とのマイッチング)も良かったらしいで
す。
中国はドコにも屈せません。家電製造に結構賭けてますから。規 格規格規格特許特許特許でお金がでてく一方ぢゃ先がないんですよ世界の工場として。冗談でもなんでも規格と名のつく物にはぜんぶ自国規格作って自国パテン ト をねじ込んで、外国への払いを相殺しようという、EVD同様の抗プロパテント政策の一環と思われます。プロパテント政 策(80年代に米国が始めた)が始まるより前に技術をパクリまくれた日韓と は別の、彼らなりの工夫だと思います。万里の長城?。
インドは対抗上、DVB-Tに乗らざるを得なかったという ところ。タタ財閥のみなさんが家電に出てきそうに無いのはちと残念ですが、重工業と最先端サービス産業という極端な取り合わせに集中するつもりでしょう か。そうか柿 ピーが好物か。わさびせんべいとかどうかな。
面白いのはブラジル。薄いピンクはSBTVD-T。日本方式にH.264を載っけたブ ラジルチューンです。日本の技術を借りて南米大陸に覇を唱えようと いう意思の現れと見る事ができます。アナログ方式の図と比べると、結構行けそうな感じですね。
EU
とブラジルは、「インターネットの普及に劣る地域での覇権」を最大化しようという「国家情報戦略」を意識しているように見えます。
で、G7でもBRICsでもないけど『電子技術立国』という、びみょ~な舵取りを迫られる小国が二つ。台湾、そして韓国。
台湾は紺(DVB-T,EU式)。具体的な製品設計、現場の製造技術に強い国ですから、勝ち馬に乗っておくのが賢いです。
韓国は緑。北米以外で唯一無二の
ATSC。…ここに引っかかったんですよおいら。なぜ、DVB-Tではないのか?一体キミタチは何を考えているのか?
サムスンは国産信仰の強い日本市場は最後に攻 めるという、外堀戦略を採用していると考えられます。
日本市場攻略を後回しにした結果、当分の間彼らはデジタルTV市場に振り向けるリソース (ヒト・モノ・カネ)を、北米・EU・中国の三分割で済ませる事ができます。各市場で日本 が直面するのは、自社では追いつけない速度で進歩し、遠ざかってゆくサムスンの大部隊。彼らが日本市 場の制圧に乗り出すのは、携帯電話とおなじく、この三市場から日本メーカーを叩き出した後でしょう。
その際も、外国での評判が日本国 内に浸透するまで充分に待って、慎重に慎重にゆっくりと進出してくると思います。これも携帯電話と同じ。包囲殲滅戦の 開始時期は日本国内の動向次第ですが、速ければ、準備そのものは2009第一四半期には整うと思います。08 北京オリンピックで始まる中国式デジタルテレビで充分な橋頭堡を築いた後。万全を期す為にも、まずは、北米でナンバーワンブランドを獲る 事に集中する必 要があります。
だからこその北米以外で唯一無二のATSC。 地上波の視聴者が少ないアメリカ市場では、ノウハウや問題点の洗い出しが充分にできません。ザッピングの応答速度、暗号強度、使い勝手の不満、実際に消費 者が重視するのは「ど の画質」なのか、などなどなど。なにしろデジタルですからOSが入ります。オンラインアップデートも入ります。特に著作権管理スキームは実際に運 用して みないとなにが起るかわかりません。その実験場に 国内市場をまるっと使おうという肚。
韓国は、北米でナンバーワンブランドを獲るためだけに、5 千万人で『ドッグフードを喰べる』を選択したわけです。
こ
れが戦略と言うものです。
ちょっと『サムスンは国家な
り』って気もしますけど、、、、悲しいけどコレ戦争なのよね(何。
ところで Wikipediaのサムスン電子に取締役会名簿が乗ってますが「構
造調整本部」ってなんでしょうね?まさか365日リストラクチャリングだ
けやる専門部隊?(事業構造の最適化、解雇とはぜんぜん意味が違う)。
対する
日本は日米欧中ブラジルチューン。開発リソース5分割。生産・物流管理の手間だけでサムスン
の1.6倍かかります。
そもそも各社とも自分達より遥かに優勢なヒト
モノカネを擁する相手と開発競争しなきゃいけないわけなんですが。
欧州においても事情は複雑で、実 際の運用面では“放送規格としてのDVB-Tをサポートすれば、すべてが解決”とはならず、さまざまなローカルの事情に合わせた作り込みが必要になる。
本田雅一の「週刊モバイル通信」■ 第339回 ■Vista世代では地デジ対応も簡単に?(2006 年5月24日)
放送されたtransport streamの中には、再生を妨げる"user data"が入っていることがある(特にフランスのCanalSatellite)
デジタルテレビで最も重要な「性能」は安定して動く事。その為に最も重要な「技術」はファームウェア・OS・ソフトウェアの「品質」。ソ フトウェア工学っ ていうのかな。最終製品を自社ブランドで売るならば、「モノ作り大国」っていうコトバそのものが邪魔だと思う。
まぁ、このuser dataのナカミがなんなのかは知らないし、MPEG-2 TSのuser dataくらいそう大した事ではないと思うけど。おおっと、そう大した事ではないと思うって思ってしまうあたりが「外注にやらせりゃいーや」と格 差社会を生むのかも。
「ブランド」は細かいトラブルが一 度あるたびに、着実に傷ついてゆく。どれだけ「技術」が優れていても映らなきゃ意味が無い。
このへんに必要なレベルの人員配置をきちんとできるかどうかが「品 質」。消費者にとっての「性能」、「技術力が高いというイメージ」を決めます。営業利益率が高いほど、株式時価総額が高いほど、ボスが「このトラブルを完 全に潰せ!」って言う確率が増える。
基本戦力は下記の式で出せると思う。
営業利益率5%の会社の開発リソースx6社 ÷ 5規格(または4) vs 営業利益率12%の会社の開発リソース ÷ 4規格(または3)営業利益率5%そこそこの各社がとるべき戦略は、「合併と重複機 能のスリム化」だと思う。
正 面衝突を避けて安全地帯に籠城する。
と言う事で鎖国にスジが通る。オレの脳内では通ってしまった。『絶対防衛圏』と呼びましょうか。
1)B -CASというシカケは運用次第で非関税障壁に なります。
なにしろ全国民の個人情報を集めてますから。
"個人情報をどこに記録しておくか、またデータをどのように暗号化するかなどの判断に関しては、す
べてがメーカーまかせになっており、共通のガイドラインなど存在しない。"
外国企業:
「えーと日本向けのテレビ作りたいんで個人情報保護のガイドライン下さい」。
B-CAS社:「あ、そーゆーのないです」。
ちょいと腰が引けますわなフツーは。
2)コピワンがあれば実務機関(ARIB)の認証工程 が非関税障壁に使えます。
本田雅一さんのこの記事はマ イクロソフトとみんなが協力して乗り越えつつあるからVistaはそのうちなんとかなるだろう♪というハナシなのですが、Win機は日本メーカー も売ってるからアレでナニなわけで、『正式な認証プロセスの欠如』や『仕様書が膨大かつ日本語でしか存在しない』や『新しいインタラクティブTVの仕様を 採用』や『今日のISDBチューナは日本特別仕様でコストが高い』などは、、、、サムスン、LG、フィリップスにはどのように作用 するんでしょうね。
⇒社団
法人 電波産業会(アライブ) 役員名簿。
注:こういうのは
役員名簿を見ると、各部署の実務担当者の「出向元」が見えてきます(あくまでだいたいの見当
です)。
…IT MediaもPC WatchもNikkei Netも、突っ込んだ記事を書くのは難しそうだなと いう印象を受けました。
自分としては、国内は篭城戦、国外はキーデバイス供給国として生き残るシナリオなら別にそれでも構わないと思い ます。またゲリラ戦として、ブラジルに戦力を集中するのも有りだと思います。
しかしながらその場合、ATSC/DVB-Tからは可及的速やか全面撤退して戦力を温存すべきですし、今 ある家電メーカーの大半は維持できな いでしょう。というより維持すべきではありません。非効率です。たった一億人で、将来的に世界市場 で戦えない企業体を6社も(あとビクターと三洋)支えるのは無 理があり過ぎます。
技術で負けた(る)のではありません。垂直統合だから負けた(る)のでもありません。経 営リソースの配分手腕で負けた(る)のです。
つまり、喫緊の課題は家電業界全体の構造改革で あり、このままではビッグ3の凋落どころでは無いと考えます。なにか打開戦略があるなら己の不明を恥 じ入るばかりですが、いまんとこ読み取れてないです一介のエンコ厨の読解力では。
無いのではないかと疑って
い
ます。
『失われた10年』を経て、さらに10年近くをかさねてなお、各社横並びのように営業利益率
5%近辺というのは、リストラクチャリングがただの「レイオフ」でしか無かった事、執行役員制度の導入が「ホトケつくってタマシイ入れず」だった事を示し
ていま
す。だって数字がでてないんだもん。
欠けているのがスケールメリットなら、ダイナミックな企業統合、過剰機能の削減、重複機能の削減、勝ち目の薄い分野からの撤退、、、があってしか るべきです。それが不十分だから末端にしわ寄せがいくのです。「格差社会」はやむを得ませんが「同一労働・同一賃金 ルールが無い」というのは悪逆非道です。そもそも営業利益率の向上が同時進行しないというのは、コス トカットの対象を間違っている事を示しています。意味の無い犠牲で、日本全体の力を食いつぶすだけです。
戦略の欠如 ⇒開発戦力の分散 ⇒格差社会 ⇒パラダイス鎖国
戦略の欠如 ⇒無謀な戦線拡大 ⇒将兵減耗 ⇒絶対防衛圏
まてこら、オレはサヨク かっつーのw。ん~でもハマりすぎるのでもうちょっと使おうw
一応、考え得る最悪のパターンとしては『大日本帝国崩壊』。 コアが無く事実上の責任者も無い。私欲の野合。
コイツ等が諸悪の根源だ!って糾弾したいわけではありません。これはそれぞれが、自己の利得を最大化しようと努力してるだけです。欠けているの は、全体戦略を立てて、指揮統制を行う機能。つまり、構造問題です。第二次大戦も 同じです。どちらも歯止めをかけるシカケがしくじってるだけです。全体戦略を欠いたままBuy American!だの日本が悪いだのばかり言っていた、70年代 のアメリカみたようなものですわな?加速要素にカウンターを当ててやれば済む話です。
カウンター要素が連動すれば、加速要素に歯止めがかかるわけです。なに、わけがわからないものはいっこいっこ要素分解していきゃいいんですよ。他
にもあるでしょうが、ミスはやりながら直しゃいい。エンコ厨ですから。
ある程度騒ぎ立てて3を動かすとこまで行けば、2が反応します。票になりますから。2が動けば1が全力運転を始めます。3を狙うのは、なんとなくWeb
使ってそうな気がするから。商業ジャーナリズムや有名ライターさんは難しいでしょう。おまんまの食い上げはちとコストが高過ぎです。
70年代 のアメリカなら、「アーリーアダプタ層」の意見を聞いて、ホンダなりSONYなりを買えば済んだ話ですが、2007年の日本の消費者に は「地デジを買わない」という選択肢しかありません。なかなか難しい問題です。TVなんか見ないよって人は、まぁ、多数派では無いですからね。「一億総白痴化」って実はホントだったのかしら?
うーん。しかしなんでホリエモンは逮捕されたんでしょうね?産業構造の転換(会社は株主のもの)を徹底する上でも、他業種が吐き出した雇用の受け 皿としても、webスタートアップ企業のインキュベイターとしても有望だったハズなんですけど。
80 年代後半、日本と同じく資源の乏しい韓国は、国を挙げてハイテク産業の育成に力を入れていた。財閥系の企業を筆頭に、電気メーカーが相次いでDRAM の事業に参入。日本企業の遠く下にサムスン電子があった時、現在の台頭は誰も予想しなかった事だった。しかし、サムスン電子がわずか数年で生産を軌道に乗 せることができた背景には日本からの技術流出があり、日本のメーカーの人材が次々とスカウトされ、半導体の技術を移転した為である。
(略)
三菱は別名「スリーダイヤモンド」、サムスンは漢字で「三星」 サムスンの創始者が日本で唯一残った大財閥で大企業の三菱にあこがれて創ったのがサムスンである。
昔なんかどーでもいい。軌道に乗った以上はただの競争相手です。ヒトモノカネの配分。経営資源の使い方。戦 略構築能力に圧倒的な差があるのです。技術流出などとっかかりに過ぎません。彼らが肚に落としたのは技術よりも、むしろこっちでしょう ね。
※mitsubisi.comの解釈とは一部異なります。あくまでオレはこう読めたという事です。
「殖産興業」とか「産業報国」って結構すきなんですよオレ。口にだすとアホらしいから同僚には言いませんし、会社がでかいほど、こういうの糞真面 目に考えるのばかばかしくなると思いますけど。
【第一段階】
その為には:
【第二段階】
agehaにオリジナル無し
明日はビックサイト - クマデジタルさん
「だめにうす」経由「家電メーカーの"絶対防 衛圏"」
微妙に誤解されている点がある。ここ:
「絶対防衛圏を作りたいメーカーが非関税障壁を推進。実務機関(ARIB/B-CAS)をそれに使う。」
基本的に勝手な仮説というか、自分の「見込み」なので、ご不快だったかもしれません。冷静なご指摘に感謝します。
以下、自分の「見込み」に沿った線で異論をつけさせて頂きますが、こうゆうのに「事実」なんてないですし、自分の見えてない部分やコトバの足りな い部分もあるでしょうから、別のお立場から見たご意見歓迎です。
長いので先に2行でまとめると:◇◆◇
デジタル家電の日 本市場なんて底が見えてるわけだよ。格差社会っていうのもあるしね、通常買い支えるはずのデジタル家電好きな若者が、マトモな給料貰って ない上に今後少子化。金を持っている団塊世代は、デジタル家電が難しすぎて手を出さない。
イ)若者が、マトモな給料貰って ない上に今後少子化
自分で自分の顧客(国内市場の購買力)を減らしている状況です。
ただし、このことは製造業ひとりの責に帰すべきではなく、受け皿産業の立ち上がりが不十分なほうが問題です。産業構造そのものの転換が遅れているわけで
す。この転換が進むと"日本のモノ作り"は更なる変革を余儀なくされます。例えば最終商品を完全に捨てて、intelやフリースケールの方向に進むなど。
あるいは船井電機のような「組み立て業の司令部」に徹するなど。
これらはいずれも「総合家電」の解体が必要です。"絶対防衛圏"は この解体を避ける上で有効な手段です。
近目で見ると経済政策(含む国策捜査)にビジョンが欠落している事と、資本と経営の分離
が不完全である事。この二点の手当が必要です。
遠目で見ると、完全な新産業の創出は、明治維新ぶりです。
お手本モデルは、ここ20年ばかりの北米の他に、中韓台印の経済政策、江戸時代の各藩の財政改革(てゆうか商人資本、商品作物、インター"藩"経済の興
隆)。このへんの事例研究・要素抽出・政策反映・なかでも一般常識化に成功するかどうかが、カギとなります。
ロ)団塊世代は、デジタル家電が 難しすぎて手を出さない
新技術が導入されるときはいつでも平衡を取り戻そうとする人間的反応があるものです。こ こをカバーするものをハイテクに対して「ハイタッチ」と言うそうですが、この「ハイタッチ」 がなければ技術は拒絶されます。ハイテクであればあるほど一層「ハイタッチ」が必要となります(ジョン・ネイスビッ ツ、『メガトレンド』など)。
「タッチ」の語感は解りませんが、「ヒューマンタッチ」とか「おもてな しのココロ」とか、そんなカンジだと思います。
日経あたりの「ハイテクハイテク日本はやっぱりモノ作り」に脳を汚染されると、ハイ・ タッチも知識集約型産業に不可欠な要素だ というのがボヤけてきます。もともと掴みにくくて精神論になりがちな部分ですが、客を見てればわかるようにも思えます。この点、Apple Storeを顧客とのコミュニケーション・チャンネルとして使い、流通や修理サービスまで一貫して自社で囲いこむAppleは要警戒S+です。
団塊世代に関しては、彼らは日本最初の"消費者"です。過去ずっとライフスタイルを不可逆的に変えてきましたし、カネもあれば数も多いです。高齢化社会に お ける消費行動を決定的に、不可逆的に変えるポテンシャルを秘めている事はご存知と思います。そこに向けた商品チューニングを試行する場合、日本の会社の右 に 出るものは無いハズです。
ハ)デジタル家電の日本市場なんて底 が見えてる
イ・ロに基づき、この判断には賛同できません。メーカー自身の無策に負うところが大きい
と考えます。
エリクソンと統合してケータイの国際市場に足場を維持しているソニーという大例外がありながら「垂直統合ビジネスモデルが悪い」という考えが幅を効かせ
ているのは、興味深い事です。
で、日本のメーカーが注力しているのが、海外市場。メーカーは天下り団体と結託して障壁をこしらえているほど 暇ではないし、そもそも国内の小さなパイでは 話にならん。そんな暇あったら、欧州や中国でサムソン品質に満足できない富裕層に 製品売ってこいと。まぁいまはそういうミッションになっている。これは概 ねどのメーカーも同じで、逆に世界の富裕層に売れないメーカーは規模縮小は避けられないと思われ。
メーカーは天下り団体と結託して障壁
をこしらえているほど暇ではないし
これは暇の有無に関わらず、大メーカー内部に戦後一貫して存在する日常業務と考えています。1970(高度成 長期終わり)くらいまではすごい低コストで抜群の機動性を発揮する産業政策実行マシンだったハズです。
沢山ある天下り団体をインフォーマルな・事実上の行政機構と見立てれば、大企業が自腹で支えてくれるので政府 の維持費が安く済む、という考え方があります。支える大企業に とっちゃ不透明な税金ですし、出向社員にしてみりゃ"租・庸・調"として差し出されるわけですからたまったもんでは無いでしょう。そもそも民主制としてこういうシカケ はマズいんですけども、おかげ で日本は先進国では例外的な"安価な政府"で済んでいるそうです(すいませんソース失念です)。
上級公務員(キャリア)のがっぽりもデカイですが、中堅公務員(ノンキャリア)の退職後の働き口としての要素もデカイです。あの人たち特定分野の法令とか
知識とか人脈とか官僚機構を動かすツボとか神の領域ですし。んでナニカ案件があると叩き上げが出向者(なんだかんだ言ってメーカーもそれなりの切れ者と専
門家
を出す)集めて下ごしらえしてからキャリアにココの調整お願いって頼んで電話させます(見方によってはイヤと言えない状況を作ってから話を持って行くとも
言えます)。キャリアの電話をとるのは最高でも同期。ほとんどの
場合は後輩。ハナシはやいです。
このマシンに「復興するのだ」という大義が乗っかっている場合、ノンキャリが机並べてる出向者と"下ごしらえ"をする段階で"民意の近
似値"が出ます。だけでなく非現実的な"衆愚的暴走"も避けられます。
これを支えるコストを関連メーカー(特定分野の利害関係者)みんなで出し合うってのは、アリかナシかでいうと、アリだと思います。日本全体としてリーズ
ナブル。異様に高い国民の貯蓄性向も、大企業の株の持ち合いも、異様に低い製造業の営業利益率も、全体としてみれば妥当です。非民主的だろうが、天下りが
がっぽり持ってこうが差し引きではプラスとなります。
大義があり、結果が伴う限りは。
要するにこれ発展途上国時代の開発独裁体制です。中心に居るのが独裁者ではなく「みんなでしあわせになろーよ」ってキモチと「"和を以て尊しと為 す"」だっただけで。
「復興するのだ」って大義はもうありませんから、維持するのは問題山積なのですが、構造のほうはまだ残ってます。もともと外郭 団体って正規の役所じゃなくて業界の"自主的な"団体ですから、水面下では企業間の主導権争いがあるものですし、義が外れればそれが表面化します。"民意 の近似値"も予測精度がボケます。そこで"和を以て尊しと為す"が強く出ると、内輪でだけカドの立たない方向性になり がちです。ですから、"天下り団体 と結託して障壁をこしらえているほど暇ではないし"というのは、ほぼメーカーの人たちの実感に近いと思います。 実は自分も"絶対防衛圏"をメーカーが "共同謀議"
的に主導した、とは思っていません。たんに、内輪でだけカドの立たない方向性がなんとなくまとまっただ
けだと思っています。しかしながら、この構造は"民意の近似値"の予測精度がヤバいレベルに達しています。コピワンを歓迎する消費者は居ないでしょう。
そして、B-CASもARIBも運用次第で立派な
参入障壁として使えます。したがって、メーカーに"結果責任"または"不作為責任"を
負わせる形であの表現を採りました。
おそらくは、参加したメーカーも放送局もだれ一人全面的に満足はしてないし、主導的にやったという自覚などまったく持ってないハズです。おそら く、"戦犯"などどこにも居らず、自分の論法を不当と感じる方も多いでしょう。実 際なんの証拠もありません。しかし地デジのニュースを拾っている間中、ずっと昭和史系のヨミモノに似たもやもや感を振り切る事ができなかったので、敢えて 戦前に擬した表現を採りました。ここは"ヨミ"です。瑣末な現象の説明ばかりで、全体を俯瞰した情報に妥当と思えるものが非常に少ないところが似ていま す。「コピワンは絶対悪史観」に偏るリスクを考えて冒頭に『フィクションです』と入れました。
余談ながら、"空気"や"雰囲気"で連携できるのは、外側からみれば陰謀や結託にも見えますが、伝統や歴史のある民族のお家芸だと思ってます。日 本の場合は腹芸とか以心伝心とかいいますけど。一個洒落を考えましたのでご笑覧下さい(ホ ントに洒落です。ホンキにしないでください)。
国内の小さなパイでは 話にならん
日本人は日本製品なんか買わないで結構という解釈が可能です。時局柄ご注意を。
"絶対防衛圏"は上記三点の対策として有効に機能し ます。
欧州や中国でサムソン品質に満足でき ない富裕層
マスプロダクションで最も儲かるのはそこそこの層にそこそこの価格で売る事。同時にその 「そこそこの層」を育成してしまう事。これ自体は20世紀初頭にヘンリー・フォードが証明して以来、変わっていません。マーケティングの手法が細かくなっ ただけで す。T型フォードに満足できない富裕層だけを相手にしていた高級車メーカーは、今やフォードかGMの"ブランド"に名を残すのみです。
現在では富裕層に高級品を売って声望を高め、徐々に価格を下げて行く事を「ブランド力」 と言いますが、ひとくちに富裕層と言っても、その中にもアーリーアダプタ(オピニオンリーダ)とフォロワーがいます。富裕層のオピニオンリーダというの は、最も価格性能比に 厳しい連中です。富裕層のフォロワーは「なんでもええからいっちゃん高いヤツもってコイや!」ただのカモです。
日本の自動車やカメラがやった事は逆です。低所得・中産階級から価格性能比を武器に順次 制圧していきました。日本が北米でレクサスやアキュラなどの高級車ブランドに乗り込んだのは、たしか90年代も遅くなってからです。それまで幅広い層に支 持されていたビッグネームが富裕層への特化を志向するというのは、過去資産の食いつぶしが始まったサインです。
さらに、品質とブランド力は厳密にはベツモノです。国内では全く実感が持てませんが、国 際的にはサムスンとその他のブランドイメージに、もはや日本人が思うほどの差はないと見ています。ケータイの国際市場 で、技術では勝っているのにシェアで負けたというのは、日本メーカーの考える「品質・性能」と、消費者の求める「品質・性能」に、もはや 話にならないほどの大きな差が出ている事を示しています。垂直統合は原因の一つではあるかも知れませんが、リストのトップにおくべきも のではありません。
"絶対防衛圏"はこうした無能構造の延命装置として も機能します。
そういえば今日の夜のニュースで、キッコーマンとか資生堂が海外進出で過去最高売り上げを叩きだしたニュースやってたな。どの会 社も海外に活路か。
キッコーマンも資生堂も国内市場を軽視せず、盤石のブランドイメージをキープしています。
海外において醤油は「日本食」には不可欠なものですし、資生堂は日本の「ソフトパワー」が健在である限りはブランドイメージをかさ上げできます。ケータ
イで味噌をつけ、「パラダイス鎖国」で不信感のついた国内電機と同列視すべきではありません。
ソニー、退路なきソフト路線 (時流超流):NBonline(日経ビジネスオンライン) 2007年5月7日、という記事がありまして、うわストリンガーさんすげぇ!とコーフンしながら読んでいたのですが、末尾近くの言い回しに違和感を覚えました。"「まずコンテンツやサービスがあり、それを生かすハードを開発する」というのが、ストリンガー流の新しいモノ作りだ。"って書いてあったのですが、自分にはそこまでの記事内容ははっきりと『モノ作りからの離脱』に見えたからです。
ちょっと「ハイテクハイテク日本はやっぱりモノ作り」というジョーシキを吹っ飛ばすクロスカウンターがあった方が良いと思うので、なんか書いてみます。
経済学は20世紀に入ると、経済発展を産業構造の変化という視点でとらえるようになります。有名なのは「クラークの産業分類」。第一次とか二次とかいうアレ。これをちと改造してみなれんかと探してみました。もくじのうちイ・ロ・ハはWikipediaとかからの切り貼りです。そんなのしってるよと言う方は『ニ)1980年代:中村雅哉の第五次産業論』から読み始めるのが良いと思います。
【もくじ】
コーリン・クラークの産業分類:「ぺティ=クラークの法則」
経済発展につれて、第一次産業から第二次産業、第三次産業へと産業がシフトしていくという説。
批判:
たいへん有名で、まぁ、ジョーシキなわけですが、第三次産業の雑多さが、現実の把握を難しくもしています。端的に言えば「日本はものつくり大国」というジョーシキ。これちょっとハバ効かせ過ぎ。 もうちょっと細かい分類をジョーシキにもって行かなければ、産業構造のシフトが進みません。例えば、製造業のエラいヒトが、腹の底では三次産業を十把一絡げに見下してしまったりします。
60年代の日本人は、きっちり第二次産業を細かく要素分解しています。
第二次産業のなかでも、製造業の古典的な分類はこう。
古典的な経済学では、工業化の進展に連れて重化学工業の比率が高まってゆくと言われていました。しかし1960年代の日本人は、重化学工業化率がアメリカやイギリスの同水準に達しているのに、製造業の生産性に大きな差がある事に悩んでいました。これは古典的な分類では説明が付きません。篠原三代平さんは製造業をさらに分解し、以下のように結論づけました。
こうして、経済発展の指標として高加工度化という分析視点が不可欠とされるようになりました。
…コイツは解りやすい。これが「ハイテクハイテク日本はやっぱりモノ作り」というジョーシキの素だと 思います。1967と言えば、東京五輪にはじまり大阪万博に終わるいざなぎ景気の真っ最中。巨人・大鵬・卵焼き。翌1968には日本のGNPが世界第二位になっています。ついでに「未来のテレビ」の研究も始まっています。
ようするに「オレタチはマダマダこれからだ。もっと発展するぞ!」という自覚が最も強い時期です。だからこそ、高加工度化が不可欠の分析視点になったのでしょう。この考え方が英米から生まれて来る事はなかったと思います。当時の日本人は、「追いつく為に必要なのはナニカ?」「オレタチに欠けているものはナニカ?」といつもいつも探していたのです。
1970年代になると、産業構造の知識集約化という視点が注目されるようになります。例えば:
経済発展につれて同じ産業であってもより知識・技術の集約度の高い方向へと変化し、「物」の生産そのものよりも「情報」の生産がより大きな付加価値を生むという見方。
マーク・ポラト、『The Information Economy』(1977)の定義:(【PDF】知識・情報集約型経済への移行と日本経済 - 経済企画庁研究所・1999)
…コイツは解りにくい。
そうなるとこの分類は「世間のジョーシキ」にはなれない。無理。
「知識・情報集約化」といえばまぁなんとか肚に落ちないでも無いですが、その作業自体は個人でも農業でもやってることです。ぶっちゃけ江戸時代中期の「農学書ブーム」なんてモロにそうです。そもそも非市場(組織内)っていう分類がある事自体、マークさん自身が、これわ従来の産業分類とはぜんぜん別の考え方ですと言ってるようなものでしょう。
いま以上に成長したけりゃ、いや、豊かさを維持したければ、経済の見方を変えろと、「ぺティ=クラークの法則」はちょいと横に置いておけと。
情報関連職種(一般事務従事者を含む)の雇用者数の雇用者全体に占める比率をみると、80年の36%から95年に40%へと上昇している。そのなかで特に伸びの大きいのは、研究者・技術者・デザイナーなど「情報の創造・生産」や会社役員・管理者など「意思決定・計画・ 調整」に携わる職種である。
【PDF】 知識・情報集約型経済への移行と日本経済 - 経済企画庁研究所・1999 - P2
経営者の意思決定を「情報」と呼ぶのはまだ良いとして、デザイナーの仕事を「情報」と呼ぶのはコトバとして違和感が残ります。ハラゴナレが悪い。 だいたい、最初に知識産業化や情報化を定量的に分析したマハループさんは、母親の家庭内教育も計算して生産に加えています(P7)。「ものの見かた」としちゃぜんぜん「ぺティ=クラークの法則」に組み込めない。てゆうか、そもそも「モノ」は見てないわけですから、別ものの軸です。
だからほんとうは、「産業の情報化」ではダメで「情報の産業化」にアタマを切り替えないとイケナイ。
…でも一足飛びには無理だよそりゃ。オレが欲しいのは日経あたりに巣食う「ハイテクハイテク日本はやっぱりモノ作り」というジョーシキを吹っ飛ばすクロスカウンター。ジョーシキとの乖離は"半歩"でなきゃイケナイ。
『高次の産業ほど高付加価値を生み出す』
…非常に簡単だ。これなら知識サービスにソフトウェア生産を、情緒産業にコンテンツを、ぽんぽんと貼付けてゆける。
中村雅哉さんは(株)ナムコの創業社長。コイツはなかなかカネを貸してくれない銀行にかますハッタリとして考案した理屈だそうな。つまり、簡単なダケに潰しが効く。とりあえず学者さんは学者さんで。
え?ゲームですか?と渋る銀行に『高次の産業ほど高付加価値を生み出す』とぶち上げる。こいつに異論を噛ますヤツは居ない。たかがゲーム屋のオヤジにしては…と姿勢を糺したところへこの分類を噛ます。「ぺティ=クラーク」は基本常識だが修正の必要がある事もまた常識。情報産業?産業構造の知識集約化?知識・技術の集約度の高い方向?、、、コトバは知ってても実感を持ってるヤツはそうそう居ない。一次⇒二次⇒三次と産業構造がシフトするってのはわかるけどさー、三次のドコ?ってところだ。もっと解りやすい解説はないものかとみんな悩んでる(またはフドーサンの事を考えている。ホントはギンコーこそ知識サービスの最先端なんだけどね)。
そこへ知識サービスにソフトウェア生産を、情緒産業にコンテンツを、ぽんぽんと貼付けて見せる。ポイントは「情報」という曖昧すぎるコトバを排除している事だ。小難しい事を解りやすく見せてくれるものほど人を平伏させるものは無い。「おお」っと平伏したところへ、オレがそいつを見せてやる!と浴びせかけたわけだ、、、永田喇叭さんに匹敵する傑物だと思うよこのヒト。長生きして下さい。
三次のドコ?ドコが伸びるの?って悩みは2007年現在でも社会全体を覆っている。もっと解りやすい解説はないものかとみんないまだに悩んでる。理由はいくつかあるだろうけど、端的には「ハイテクハイテク日本はやっぱりモノ作り」という「曖昧すぎるジョーシキ」が目隠しになってる。
新技術が導入されるときはいつでも平衡を取り戻そうとする人間的反応があるものです。ここをカバーするものをハイテクに対して「ハイタッチ」と言うそうですが、この「ハイタッチ」がなければ技術は拒絶されます。ハイテクであればあるほど一層「ハイタッチ」が必要となります(ジョン・ネイスビッツ、『メガトレンド』など)。
「タッチ」の語感は解りませんが、「ヒューマンタッチ」とか「おもてなしのココロ」とか、そんなカンジだと思います。
日経あたりの「ハイテクハイテク日本はやっぱりモノ作り」に脳を汚染されると、ハイ・タッチも知識集約型産業に不可欠な要素だというのがボヤけてきます。もともと掴みにくくて精神論になりがちな部分ですが、客を見てればわかるようにも思えます。この点、Apple Storeを顧客とのコミュニケーション・チャンネルとして使い、流通や修理サービスまで一貫して自社で囲いこむAppleは要警戒S+です。
「ゲーム会社」が世間的に「立派な会社」と見なされるようになった90年代は、ナムコ、セガ、ともにゲーセン向け機器開発、ゲーセン運営、家庭用ソフトの二強でした。セガに至っては家庭用ハードも擁していました。スクエア・エニクスのようなパソコン・家庭用ゲームからやって来たソフト専業会社との最大の違いは、スマッシュヒットの数。
ハイタッチを会得する上で、ゲーセン運営は不可欠の情報チャンネルだったでしょう。ナマで、日々顧客の反応を見ている社員が居る、というのは強い。彼らの存在感が90年代終盤に縮退していった理由はここでは深入りを避けますが、当時のゲーマーがハイテク疲れを起こしていた事は言うまでもありません。ゲームに代わるように存在感を増したi-modeは自分には「よりハイテクとハイタッチのバランスに勝る娯楽」に見えました。
あるエンジニアが、NTTドコモ社内の「技術功労賞」を獲得した松永氏に対して、皮肉をこめてこんなことを言ったそうだ。
「それで、松永さんは一体どんな技術を開発したんです?」
すると、松永氏をNTTドコモに誘った上司が、松永氏を弁護してこう答えた。
「真理さんはね、サービスという技術を開発してくれたんだよ」
『iモード』の生みの親、松永真理の実像に迫る(下) - HotWired 2001/05/30
自分はケータイの「技術では勝っている、負けたのは垂直統合の所為だ」という意見には冷淡な態度を採っていますが、端的に理由を示すとすれば、このエピソードが適切です。またこれは、松永氏の功賞にあたって適切な賞を案出できなかったNTTドコモという組織の限界も示していると思います。
話はかわりますが「クリエイタ」というのは暴走するものです。好き勝手に作らせても売れるものはできません。「編集者」なり「アーチスト&レパートリー」なりの、テイマー(調教師)がいて初めて「芸」になり、お金が貰える。エンジニア(技術力)についても似たような事が言えると思います。
ビル・ゲイツ、松永真理、スティーブ・ジョブスの共通点を挙げるとすれば、エンジニアというよりは、エンジニア・テイマー(調教師)の資質を持っている事です。「ハイテクハイテク日本はやっぱりモノ作り」は、この問題を意識から追い出してしまいます。
AppleのiPhoneは、iTMS/iTunesという"垂直統合"を世界中のケータイ市場に持ち込みます。彼らは外部調達で充分な「技術力」はスパッと切り離して、最終商品とサービスの「まとめ」能力だけを保持しています。中の部品がどこ製だろうと気にするのは自分のようなマニアだけですし、取り分が一番デカイのはAppleです。
組織が肥大化し、細分化し、顧客とエンジニアの距離が開けば開くほど、ナニカが見えなくなります。『鼻の効く傑物+垂直統合モデル』はこの距離を埋める上で極めて有効です。ここでは深入りしませんが、同じ効果を発揮できるなら必ずしも『傑物+垂直統合モデル』に拘る必要は無いと思います。というのは、垂直統合には、傑物を失った瞬間に迷走を始めるという構造欠陥があるからです。
中村雅哉さんの第五次産業論を採るならば、日本の産業構造の問題は高次産業が低次産業に従属している事です。
特に四次(知識)は二次-b-ii(組み立て産業)に厳しく従属しています。プログラマが「ハケン」で労働環境が著しく厳しいという状態が、国際的には存在感ゼロの現状を生んでいる。というのがそう思う理由です。
青色半導体の発明訴訟みたいな話もときどき新聞に出ます。実際には彼らこそが「価値を創造する人々」なのですが。
端的には「ハイテクハイテク日本はやっぱりモノ作り」という「曖昧すぎるジョーシキ」が、彼らに正当な報酬が渡るのを妨げてるように思います。
特に発明訴訟はモトローラ⇒フリースケールみたいな技術開発部門の「スピンアウト(事業の分離独立)」が盛んであればかなり抑止できるのではないでしょうか。資本効率からいってもそっちのほうが良い筈です。「組み立て産業」は商品コンセプトに特化できますし*2。技術者は「売れる技術」に集中できますし。開発と営業のコミュニケーションなどで苦労するより、マーケットで市場価格を付ける方が手っ取り早いです。日本の技術が優れているなら尚更でしょう*3。技術がどれほど優れていてもルネサスの経営を褒める人は居ません。この資本構成では期待し難いものがあります。
やはり日本の儲けを損ねているのは、経営層の脳内に巣食う「ハイテクハイテク日本はやっぱりモノ作り」だと思います。
いつか四次・五次の細分化が必要になる日が来るにしても、既に国際的には四次の細分化が進んでいるにしても、「情報の産業化」だって急速に進展してるにしても「日本のジョーシキ」は、遥かにソレ以前の段階にあると思います。
なお、「モノ作り」とはちと外れますが、五次(情緒)も三次(非物質的配分)に厳しく従属しています。番組製作やアニメータの所得が著しく低く、またコンテンツの版権を獲得する事も稀という現状が、そう思う理由です。実際には彼らこそが「価値を創造する人々」なのですが。
*1)金融業は打ち消し線で分類から除外した。彼らのお仕事はこの一軸分類上を嗅ぎ回って、成長性/収益性の見込めるところへ資金を投入することだと思うので。
*2)その部分が「知識集約」なので、倫理的にはこの一軸上の上下関係は妥当では無い。
*3)売れなかったら「優れていない」と言う事で、これまたハナシが速い。
iPodのシェアは米国で80%。日本で50%だそうな。Macのシェアもぐんぐん伸びているし、iPhoneも大人気のようだ。
しかし、今のAppleがなんの会社なのか?というと適当なコトバが無い。
とりあえず「iPodの会社」でも良さそうだが、Win上ですらiPodだけというわけではない。iTunesやらiTSやらがずるずると繋がっている。「家電」ではイメージ的にOS XやiTunesのようなソフトが余るし「ソフト」と言うとハードのインパクトが曖昧になる。Apple自身が社名からComputerを外した以上は「パソコン」とは言えないし「総合ネット企業」では「道路を使う会社」並に意味が無い。
しかしどれもAppleの一側面ではある。これらがもたらす利便性を、見事にマッシュアップしている会社なのは確かだ。消滅の淵まで行ったAppleの復活はミモノだが、ここまで来るとかつてMicrosoftやIBMに向けた警戒の目を向けなければダブスタだろう。
Apple社は、10年以上にわたる超長期ビジョンに基づき、図のような"事業構造のトランスフォーメーション"を実行しているものと思われる。
最終的に目指すのは『コンテンツ流通の垂直統合』。
レッドラインは既存ハードウェアからの顧客奪取。ピンクラインは既存のコンテンツ流通からの顧客奪取。
基本戦略は既に市場に流通しているコンテンツをなんらかの形でブルーラインのどこかに取り込み、ユーザーの支持を取り付けた上で、iTunes Storeでの購買へ誘導すること。
奪取される側から見れば「ヒトのフンドシで相撲とりやがって!」と思う部分がありそうだが(特にピンクライン)、それはユーザーの責任だし、なによりコンテンツ商売するならまず客をコンテンツ漬けにしなければならない。元気の出るオクスリも初回はタダだし(と聞き及んでおります)。
これは二つの需要にウマく応えている。一つは「ネットでコンテンツを入手したい」。もう一つは「ライブラリの管理」。より重要なのは後者。ビル・ゲイツさん風に言うと " information at your fingertips " だ。
ブルーラインはラジオを作るラジオ局であり、映画館を運営する映画配給社であり、TVを作るTV局であり、ウォークマンを作るツタヤであり、ゲーム機を作るゲーム販売社である。「デジタルなら全部まとめて商売できるぜしかもパソコン事業持ってるしオレら」というのがデジタルハブ構想である。と思う。
しかしこれは未だ未完成であり盤石では無い。最低でも当面の間(そして恐らくは可能な限り永く)、Appleはブルーラインの水揚げを損ねるものを全力で排除するだろう。
例えばSongbirdやDemocracyのようなiTunes代替物。いずれも独自ライブラリを作るファイルブラウザで、iTSに繋がらない。また例えばOpen-DRM。現時点ではAppleにお金の入らない機械にiTunesへの接続を許す理由がない。将来的にiTSの売り上げが伸びればFairPlay使用料を取るカタチ(これがOpen-DRM)も有り得るが、ショバ代という事でiTunesへの接続自体に課金するほうが美味しい。EMIのようなDRM Freeはブルーラインの水揚げを損なわないが、その場合でも、野方図なコピーを抑止するために個人を特定できる情報が不可欠だ。iTSへのアクセスをiTunesに限る理由は無い。取り扱いタイトルが充実してくれば「コンテンツの卸売り業」ができる。
いずれにせよ「Macintosh」はブルーラインのコアたる販売窓口・兼・ホームサーバである事が第一義であり、その伸張とともに、今日的な意味での"パソコン"である必要性は漸減してゆくと思われる。
Appleにとって最も重要なのは「ライブラリ管理の容易さ、見たい/聞きたいものの探し易さ」。その為にはまずユーザーのライブラリの充実が必須。非合法に入手したコンテンツといえども排除しない事。おおっぴらに対応はしないまでも、ユーザーのライブラリが充実してゆけばゆくほど、ライブラリ管理の容易さ、ユーザーサイド・マルチユースのやり易さが効いてくる。
太字の二つは矛盾するが~特に動画対応フォーマットの点で~、そのへんのさじ加減が肝心なのだろう。
ここから先は『ウィンドウと作品』という分類を試用してみます。
「作品こそがカネを生むのぢゃ!」と言う場合、まずソフト・ハードの区別を捨てるべきです。お客様の為にステキな椅子を用意した映画館というのはそれはそれで感心するのですが、ウケたからといって椅子職人の為に映画館を運営するというのは、ナシです。
一部の椅子マニアの聖地となる可能性も無くはありませんけどそれもう映画館ぢゃないし。
『作品』の事を一般に「コンテンツ」と言いますが、音楽や映画やアニメやマンガやゲームを「コンテンツ」呼ばわりする作り手はいません。例えばもし、芝居を「コンテンツ」呼ばわりする大道具さんが居たら、どれほど有能だろうが使えません。ハナシ通じねぇもの。いっちゃんでぇじなトコロが。
で、もしもそういうスタンスが芝居~またはそれを提供する場~に混じっていたら、敏感に嗅ぎ分けてぷいっと横向いちゃうのが上スジの客というものです。彼らもまた作品を「コンテンツ」と呼ぶ事はありません。
コンテンツという言葉はもともとは流体力学というか、配管設計の世界から来たらしいです。石油とかコーラとかそうゆうの。「今回のコンテンツの特性は云々、従ってバルブに求められる要素は云々」みたいなカンジでしょうか。
ベンリな言葉ではあるのですが、もしも石油やコーラをあきなう人がフツーに「コンテンツ」とか言いだしたらよもまつです。
プラント設計の人が「ウチのバルブを売る為にコンテンツ・ビジネスの発展を」とか言いだしたら本業の能力を疑います。
例え流通に過ぎなくても作品提供に関わる場合、技術的なアビリティは重要ですが、メンタリティは邪魔になると言う事です。プログラマでも技術者でもない人がそれに感染しても、メインカメラをやられるだけでトクにはなりません。
なにかと言うとブンカだサクヒンだと愛を振り回すのも考えものではあるのですが、作品は作品。儲けの源に敬意を示さない商いは立ちません。
ここでは「作品と接触する機会」を『ウィンドウ』と言う事にします(てゆうかしてください)。客が「作品と接触する機会」はMacというハードではなく、iTunesという『ウィンドウ』。iPodは携帯音楽プレイヤというハードではなく『携帯ウィンドウ』。
客からみると個々のウィンドウは「作品と接触する機会」ですが、供給側からみれば『収益機会』です。iTunesにはiTSという収益機会がくっついていますし、iPodが売れればそのぶんお金が入ります(ここでもハード・ソフトという脳内ファンタジーが邪魔になります)。
本来、ウィンドウという言葉は、映画界のヒトが流通経路を選ぶ時に使うそうです。映画館、TV放送、DVD、、、、一本の映画を「どのウィンドウ」にどの順番で流すのがいっちゃん儲かるか、みたいな。ワンソース・マルチユースというヤツですね。慣れて来ると手持ちの「ライブラリ」の中からホラーだけまとめてこのウィンドウに流せば売れる!みたいなマルチユース(というか付加価値の付け方)もできるそうです。これ文庫本とかでもありますわな。「夏のナントカ」とか揃いのオビつけて平積みにして、みたいな。別に新刊でなくても映画とのタイアップでなくても、売り方(というか付加価値の付け方)はいろいろあるわけです。ライブラリさえ溜め込んであれば。
最近ではハードディスクに作品を溜め込んで「ライブラリ」を持ってるヒトが多いです。Mac(机/膝上)、iPod/iPhone(通勤通学)、AppleTV(TVの横)、とウィンドウもたくさんあります。消費者も、たくさんの作品をどう取り回すかと言う事を意識せざるを得ません。ここでは仮に「ユーザーサイド・ワンソース・マルチユース」と言います。
これがまたマウスホイールでくるくるとよく動くんだ。
…であります。
iTunesのCDDBとかタグとかマイレートとかスマートプレイリストとかなんとかシャッフルとかカバーフロウとかの機能は「ユーザーサイド・マルチユース」を「カンタン・ベンリ・キモチイイ」にしてくれます。
客にとってはMacもiTunesもiTSもiPodもiPhoneもAppleTVも「ユーザーサイド・マルチユース」のための設備投資に過ぎません。Appleが優れているのは「モノ作りのアビリティ」ではなく「ソリューション・プロバイダとしてのアビリティ」です。おそらく彼らは中韓のケイタイメーカー同様、技術的なイノベーションはほとんどしていません。客を見てるだけです。
実のところ消費行動自体が「消費」ではなく、目的達成のための投資であります。客は自分で自分の目的が曖昧だったり非明示的だったり非合理だったりするだけです。これを満たすものが「直感的」で「良いもの」で「人間らしい」です。
極端なハナシ「優れている」という印象や「コレを買える漏れは勝ち組」という自我さえ満たせればそれで良いケースというのもあります(1970 - 隣の車が小さく見えます)。
商売上は技術もデザインも要素の一つに過ぎません。「ハイテクハイテク日本はやっぱりモノ作り病」が進むとMOT(マネージメント・オブ・テクノロジー)とか横文字で言われなきゃ解らないような視野狭窄を起こします。MOTというのはひらたく言うと「儲からないなら趣味でやれ」です。
Appleは「作品」を生み出しているわけではありません。ただ「ウィンドウ」を固めているだけです。それでiPodの周辺機器メーカーからロイヤリティを得たり、ケータイ通信事業者に通話料のキックバックを求める事ができています。
歴史的には、Appleのやっている事は特に目新しい事ではありません。テレビでも映画でも、ウィンドウを固めた者の取り分が一番デカイものです。一県一波制に基づく地方局の電波利権、映画館の系列化、などなど。ラジオとかゲームとか出版とかでも調べれば出て来るでしょう。おそらくリモート・イグジステンサブル・エンタテインメント[*1]の黎明期にはつきものの動きだと思います。
余談ながら『もやしもん』に、酒造りの一工程を巡る戦争のハナシが載ってたんで、どんな業態でも黎明期には可能な限り「川上から川下まで」を囲い込もうとするものかもしれないです。
[*1]:またはパブリッシャブル・エンタテインメント。距離の制限を超えて再現できる娯楽。どちらも勝手な造語です。「時間の制限を超えて」の方はコピーライト(和名:著作権)っぽくなるのでそのニュアンスを割愛したかった。
ここでは個々の「Apple製ウィンドウ」についてざっとまとめてみます。できればこの図を横に開いて読んで下さい。
ブルーラインが流通回路ナンバーワンになれば、Appleは版元(コンテンツ・ホルダー)に対して優位に立てる。
最低でも ブルーラインが完成するまでの資金源として欠かせないので、シェアを伸ばす事は重要。Mac上でWinがシームレスに動くなら、Winアプリを全て"コンテンツ"として扱える。
世界的に見れば3Gの普及はこれからなので、まずは世界一普及しているGSMでシェアを奪取。IP網を軸にしたiTSを流通経路に使ってケータイ通信事業者のコンテンツ流通進出を先制。武器はワールドワイドのスケールメリットと「既にiTunesに溜め込んだライブラリ」。
ここでは個々の「作品ジャンル」への進出過程を時系列で見てみます。
第一に重要なのは 『ファイル管理システム』。大量のコンテンツの中から、聞きたいものを速攻で探し出せること。この「大量のコンテンツ」についてスティーブ・バルマーさんはかつて「iPodの中身は違法コピーで一杯」と発言しているが、Apple自身はノータッチなところがミソ。音楽で商売するならまずは客を音楽漬けにするのが先だ。
第二優先は 『接触ウィンドウ』。消費者とコンテンツの接触機会。音楽においてそれが「ウォークマン」である事は既にRioなどのmp3プレイヤが証明していた。この二つで圧倒的な優位を確保した上で、自社の 『購買ウィンドウ』に誘導する、というのが基本的なステップであるように思われる。
最後がYahoo!ミュージックへの進出。Yahoo!から見ればユーザーデータをiTSアカウントで全部持ってかれてもiTSの「出店」に集客効果があると言う事。iTSの取り扱いタイトルが充実してくれば、ポータルに対して 作品卸売り業が、版元に対しては 決済代行ができる。扱い品目をデジタルデータに限れば在庫管理の必要が無いが、その気ならAmazonとも楽天とも競合できる。
音楽ほど明瞭ではないものの、2005はDVDリッピングやP2Pでユーザーが映像ライブラリを溜め込む事に馴染んだタイミングと言える。ただしこの時点での主流はMPEG-4ASP+mp3.AVIであり、映像コデック・AVIの取り回しともに弱いAppleとしてはこれを受け入れる事はできなかった。ASPもAVIも多様でありすぎる。
最も重要な 『ファイル管理システム』は既に2001年のiTunesで確立している。iTSで作品を買うというスタイルも既に2003年に確立している( 『購買ウィンドウ』)。しかし第五世代iPodとAppleTVの間にはドッグイヤーで8.75年ものタイムラグがある。2006年はYouTubeがブレイクした年だが、音楽と比べると、ローカルに映像データを溜め込むというのは気楽に出来る事ではない。
音楽同様に、 著作権リスクを外部化 したカタチで客を映像漬けにする方法は明瞭ではないが、映像で商売するならまずは客を映像漬けにするのが先だ。YouTubeを字義通りテレビとして使って、Apple自身の利益はiTSで出せば良い。「画質」より「利便性」が重要な事は、過去の映像メディアの世代交代を見れば明らかだと思う。
ゲームに関しては先行する「ユーザーライブラリ」というものが無く、さらにiPod用ゲームが話題になっている様子もなく、すげぇ突飛に思われるとも思うんだけど、iPod/Apple TV/Macはゲーム・ウィンドウとしても軽視しがたい。
もしもゲームの版元が開発やユーザーサポートの負担を減らしたいと思ったら、ハードウェア構成に幅の少ないMacintoshは、向いている。AppleTVはさらに向いている。ケータイでゲームする事を考えればiPodのクリックホイールは十字キー+Aボタンとして充分だし、iPhoneにモーションセンサーの一つも付いた日にゃあApple TVと組ませてWiiになる。iTSでオンライン販売できれば流通コストも激減するし、FairPlayなら安心だ。ユーザーとしてもいちいち棚から光学ディスクを出してくるよりiTunesライブラリから呼び出す方が楽だろう。
実はAppleが最初にゲームに色気を見せたのは1999年、初代iTunesよりも前の事だ。
同年1月のMACWORLD Expo/SFにて、ジョブスさんは基調講演で自らConnectix Virtual GameStationというPlayStationエミュレータを紹介している。これは翌月のMACWORLDExpo/Tokyoでも紹介され、大きな反響を呼んだ(当時のMacはまだOS9起動で、液晶iMacが出るか出ないかというところ、ハイエンドはG3)。SONYは速攻でConnectix社を訴えたが 敗訴 。後に同事業を買収して市場から「なかったことに」したと記憶している。
ここからジョブスさんは、ゲームコンソールから直にコンテンツを引っ張ってくるのは難しいと学んだものと思われる。北米においてエミュレータは特に非合法でも、またそういうイロのついた存在でもないが、日本のゲーム会社は収益構造上それを受け入れる事はできない。また、容易く勝てる相手でもない(初期には赤字のハードも、タイトルが充実してくる頃にはコストダウンで黒字化する。つまりPS2直前の1999というタイミングはもろにPS1の収穫期。また、初めて後方互換性を備えたPS2の初動をヌッ頃しかねない。SONYとしては全力で対策する必要があった)。
しかしその後、Windows用ゲームが世界的に盛んになり、コンテンツに充分な厚みが出て来た。
もしも2007秋に予定されているLeopard以降のMacOSXでWindowsがシームレスに稼働するならば、iTSにWin用ゲームタイトルが並べる事ができる。
…というのはWWDC 2007では出てこなかったが、 id Softwareの次世代ゲームエンジンが紹介された 。ゲームエンジンとはゲームプログラムのコアみたいなもので、この上にキャラクタなりなんなりを載っけて行けばゲームが作れるよというものだ。専門化が進んだゲーム製作の垂直分裂と考えればいいだろう。実際これを下敷きにしたゲームをマニアさんが作ってしまう事もある。
基本的にゲームでグレーなユーザーライブラリが先行するとは思えないが、音楽も動画もライブラリ管理が当たり前の時代になんでゲームだけ?という時代はいずれ来る。
時期 | 音楽 | 動画 | ゲーム |
---|---|---|---|
1999/01/04 |
MACWORLD Expo/SFにて、 Connectix Virtual Game Station をジョブス自身が基調講演で紹介。 |
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2001/01/09 | iTunes発表 | ||
2001/10/23 | iPod発表 | ||
2001/11/02 | iTunes 2.0:iPodをサポート | ||
2003/04/28 | iTunes Music Store開始 | ||
2004/10/28 | iPod photo | ||
2005/5/9 | iTunes 4.7.1:動画対応 | ||
2005/10/12 |
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第5世代iPod:動画対応 | |
2006/09/12 | iTunes Music StoreをiTunes Storeに改称。 | ||
映画販売を開始 | iPod用ゲームの販売を開始。 | ||
2007/3月 | Apple TV発売 | ||
2007/6月 | Apple TV、YouTubeに対応 | ||
iPhone発売 |
流通部門が寡占になると、コンテンツの制作者は、制作資金調達、マーケティング等において流通事業者に大きく依存せざるを得ない状況になる。最終的には付加価値の多くを流通事業者が取得する構造となり、価値を創造する人々に成果に応じたリターンが渡らない。
一旦構造が出来上がると既得権益化して崩しにくくなる。コレはジョブスさんの性格や考えとはほぼ無関係。例えば、映像ビジネスを単純化するとこうなる。
日本の場合、既存ウィンドウをもってかれると映像製作者の資金調達が困難になる。ハリウッドの場合は作品の見込み売り上げ(映画館・DVDなど)をベースに資金調達するが、なんだかんだ言っても日本の映像産業の資金源はキー局。視聴率狙いの広告資金が主軸だ。
別にキー局や家電メーカーがへげへげになっても自分は困らないが、雇用やGDPには絡んで来るし、なにより映像製作社がへげへげになるのは困る。要するにソフトパワーどころではない。
で、1)~3)はAppleがどうというより、日本の構造問題なのであった。
瀕死のAppleがここまで来たんだから、日本がもうダメポって事もないと思うんですけども。